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精霊の森は今日もやかましい。  作者: 森の民
本編
2/18

電光掲示板は口ほどに顔文字を語る1

「ただいま!おみやげがあるぞ!( *´艸`)」


帰ってきた友人はいつも通り爽やかだったが、何故か頭頂部に顔文字付きの電光掲示板を浮かべていた。




電光掲示板は口ほどに顔文字を語る




いや顔文字で語るな。


ここは精霊の森エスペリトゥヴェルト。

『人間そっくりの見た目だが不老不死で魔法チートが日常茶飯事』な精霊という種族が暮らす常春の国である。ちなみに周囲が森に囲まれており国の中の建物なども自然物でできているため、暮らしている本人達は国ではなく森扱いをしている。

それはともかく今ここには年齢が1000歳くらいの若者が3人いた。いや1人だけ2600歳前後だが全員見た目年齢が20代くらいで年寄り連中とか余裕で8000歳とかいくのでこいつらは若者でいい。


1人目。やや癖のある豪華な金色の髪と碧海色の瞳をした何かなんとなくモテるラインハルト。2600歳前後。

2人目。目に優しい栗色のさらふわ髪に柔らかな栗色の瞳をした発言が原因でモテないフィン。970歳前後。


そして3人目。金にも銀にも見える眩いプラチナブロンドのふわふわ髪と輝くようなラベンダー色の瞳をした何故かモテそうで絶妙にモテないアデル。1000歳前後。ちなみに今現在この男は黒い液晶画面の電光掲示板を背負っている。


「ハルトさん、アデルさんのこれ…どうします?」

「いや…フィン…どうって…」


ラインハルトとフィンは目の前の光景に困惑していた。状況が状況だ。


「二人ともどうしたんだ?(;・∀・)」


いや顔文字と同じ表情をするな、と喉まで出かかったラインハルトだがまず確認をとる。


「アデル。なあアデル。なあ自分の状態わかってるか?後ろのそれに気づいてるか?」

「それ?(;´・ω・)」


あ、やっぱり気づいてない。あと顔文字と同じ表情をしてるんじゃなくて、顔文字がアデルの表情を真似ている。いやそれはともかく。


「後ろのそれとは?(´・ω・)?」

「お前マジかよ…。」


頭を抱えるラインハルトを尻目にフィンは唐突にアデルの前に魔法で大鏡を出した。


「はーい、よく見てくださいねー。」

「手品か何かだろうか。(∩´∀`)∩」

「するわけないでしょ。いや頭の上。」

「…?(´・ω・)?」


大鏡を見た次の瞬間アデルは絶句した。


「!?(;゜Д゜)」

「いやこっち見んな!何で気づかないかな!?そんなでっかいものに!!」


それもそうだろう。アデルの電光掲示板は横は1m弱、縦は60cmくらいの液晶画面。

異世界からエスペリトゥヴェルトに普及したテレビというものがあるのだが、ちょうどそれの50インチサイズくらいはある。それなりに大きい。むしろ気づかないほうがおかしい。

とにかくその50インチの空中浮遊電光掲示板の液晶画面いっぱいに顔文字がでかでかと表示されているのである。


「お前どうするんだよ、それ…。」

「どう…といわれても…。(;´・ω・)」

「原因とかわからないとどうにもならないんじゃないですか?原因になりそうな何かとかわからないんですか?」

「原因…あっ。(;゜Д゜)」

「わかったのか?よしアデル言ってみろ。」


何事か思い出したのかアデルは自身ありげに言った。


「たぶんアキハバラだ!(`・ω・)」


キリッとした顔のアデルとは対照的に2人はあんぐりと口を開けた。


「アキ…」

「ハバラ…」

「そうアキハバラ!(`・ω・´)」


さて話は変わるが、ここでエスペリトゥヴェルトのゲートの話をしよう。

ゲートとはエスペリトゥヴェルトに作られた亜空間と繋がる場所で、番号入力画面にコードを入れて専用の鍵を回すとコード先の空間や世界に行く事ができる門である。つまりゲートを通して色々な異世界に行きたい放題なのだ。実際は使用許可が下りないと厳重に管理された鍵をもらえないため気安く行けないのだが。やりたい放題はよくない。

それはともかくアキハバラはとある異世界にある街の名前だ。

そこに行きたがるような者はただ一人。


「アキハバラに行ったならハインリッヒ様ですよね?」

「その通りだ、よく分かったなフィン!(*´ω`*)」

「わかりますよ…。テレビといいゲートといいアレコレとんでもないもの作ってるのはあの人ですから。」

「フィン、陛下に不敬だぞ?(´ΦωΦ)」

「まあ2人とも落ち着こう。1回落ち着こう。な?」


ハインリッヒとはこのエスペリトゥヴェルトの国王である…のだが、国政がからっきし駄目なくせに魔導科学は天才的という、国王とは名ばかりの王室御用達変人科学者である。ちなみによくわからない発明をするのも大好きである。

そんなハインリッヒだから異世界でしか手に入らない素材を欲しがって、アキハバラやオカチマチやスミダクへ頻繁に行きたがるのだ。


「つまりハインリッヒ…様の護衛で一緒にアキハバラに行ったわけか。」

「ああ、そうだ…いや、何でハルトは毎回毎回陛下の名前と敬称を区切るんだ?(´・ω・)?」

「あー…いや、うん。」


それもそのはず。

ラインハルトとハインリッヒはラインハルトが20歳のころからの付き合いだ。ましてやハインリッヒのあまりのろくでもなさを知っているラインハルトからすれば様付けはしたくない所だろう。まあラインハルトの勝手な事情である。


「しかし気づかないとは我ながら情けない…。(´;ω;)」

「…ていうかお前のでかい身長だと電光掲示板の大きさも相まって威圧感がすごいな…。よく気づかなかったなコレ…。」


ちなみにアデルの身長は188㎝である。


「とにかくハインリッヒ様が何か知ってるかもしれませんね。」

「行ってみるか。」


3人は電光掲示板をどうにかするためハインリッヒの執務室に向かう事にした。

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