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物心ついた頃から漠然と何かになりたかった
得意な事がある訳じゃないが何かになりたかった
勉強は平均値だったし友達もそこそこいる恋愛もほどほどに経験した
貿易の仕事に就職しキリがいい所で独立トントン拍子で社長と呼ばれる様になっていた
同級生のバンドマンは未だにアルバイトをして必死に夢を見ている
叶うかも分からない夢で人生を食い潰している
生活に不自由は無いしやりがいだってある
それなのに彼が羨ましく輝いて見える
得意じゃないが好きな事はちゃんとあった
今更降りれない
何かじゃなくてなりたいものがちゃんとあったんだ
変わりたいが変わらない これが私の変身