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実力ある異世界人を目指して〜憧れの悪役は実力隠してやりたい放題  作者: グレープファンタジーの朝井
3章 攻略任務

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87.リザルト

 今回の試験で何人もの生徒が犠牲となったが、上層部はこれを問題視せず無理やり解決することにした。


 いくら聖騎士の卵とは言え、魔物にやられるようじゃやっていけないとの意見だったらしい。


 しばらく日が経つと学園生活はいつもの日常を取り戻していた。


「本当に生きて帰ってこれたんだ」


「僕を何だと思ってる」


 しばらく会話のなかった二人は久しぶりに学園の屋上で再会する。


「それでもクラスの席が減ってたらドキッとしちゃうでしょー」


 レインたちのクラスは二つの席が消えており、彼らがどうなったのかは誰にも分からない。


「死んだか、退学した生徒でもいたんじゃない? 初めての大型試験にしては随分と派手だったからね」


「山岳の爆発は不幸だったよねー。それに不審者もいたみたいだし、亜神教徒が関与してたって噂だよ」


「はいはい宗教宗教」


「なんで面倒くさそうなの?」


「試験はほとんど活躍できなかったし関係ないよ。もう少し楽しみたかったのに」


 心の中ではガッツポーズを決めるレインだが半面、みんなの熱いバトルを見られなかったことを非常に悔いているようだ。


「まあ必要な犠牲だ。試験のほとんどが垂れ流しみたいだったけど、追々ミリアナとマリアが話してくれるだろう」


「う〜ん、特に面白いものはなかったと思うけどねー」


「話を聞くのが面白いんだ」


 ちなみに試験内容はザバルタが圧勝。次を追いかけるのがウォーチスと言った結果だ。


「あ、そうだ。確か皮膚が黒くなった生徒が襲ってきてびっくりしたってのがあるよ」


「なるほどね」


 全員を治したか把握はしてないが確認した黒化生徒は一応レインが完治させている。その後に回復した生徒もいれば寝たきりの生徒もまだいる。


 異常のあった生徒は、記憶の混乱と魔力の不制御が後遺症となった。いずれも死に至るようなものではなく、着実に回復できるよう医療機関も尽力を尽くしている。


「興味なさそう」


「いや今の時代そういうのに厳しいじゃん」


「なんで? というかそう言うのって気にするものじゃないでしょ?」


「確かに。その見方こそ世間から文句を言われそうだ。優遇ではなく対等の扱いが一番だからね」


「優遇でなく対等、か……。男子も女子も隔てなく聖騎士になれる。そんなふうな考え方があるからなのかな?」


「うーん、どうだろう。身体の構造が違うし、有利不利はあるだろうけど、そんなものは言い訳かな。頑張っている人は声を荒げるようなことはしないしね。言い訳するのは怠惰で他人が羨ましいだけの欲張りなんだ」


 今回の試験結果もそうだ。対等ではあったが力の差は適当ではなかった。誰かが得をした分、誰かが損をする。そんな試験だった。


「命あるだけまだマシだよ。本当の敗北は死んでしまうことだ」


「正確な人数は分からないけどガレオスの生徒もかなりいなくなっちゃったし」


「まあまあ、居なくなった人たちがどう思ってこの試験に臨んでいたのかは知らないけど……それを理不尽だなんて思った生徒は一人もいないだろうね」


「どうなんだろうね」


「もしいたとしたら、それは大馬鹿者だよ」


 他と対等に並んだだけで、力は自分そのもの。自分の腕前が上がったんだと、そう勘違いした人はどこにもいないのだとレインは言う。


「……まあこんな事を言っても死んだ人が戻るわけじゃないし、僕らは更に強くなる必要がある。対等なだけだと自分の力を見誤るしね」


 この試験を生き延びたからこそ引き締めなければいけない。レインは一人の生徒としてマリアに伝えた。


「えっ……そう言えばレインってば試験で生き残れてたよね? 私でさえかなりハードな試験だと思ってたんだけど……」


 思ってもないことをマリアは言う。


「……運が良かっただけだよー。耐久力だけには自信があるんだ」


「うん、確かに。レインは丈夫だしゴリ押しで生き残っちゃったのかな?」


「だとしたらそれは評価に値すると思うよ。魔物の猛攻を受けて立っていられるんだから。それはもう素晴らしいタンカーだ」


「へぇ〜。頼りにしてるね?」


 身代わりにする気満々のマリア。


「言っておくけど、逃げ足も速いからね?」


「むう……冗談」


 不貞腐れて反応する。


「次の大型試験は夏休み前ぐらいになるらしいよ。毎年恒例の試験らしいし楽しみだなあ」


「誰か死ぬかもしれないのに楽しみだなあって……」


「何言ってるの? 次の大型試験は死ぬようなことは起きないよ。詳細は分からないけど結構ドキドキするらしいよ」


「スリル系なのか、ハニトラ系なのか気になるな」


「ハニトラ系ってなに? もしかして恋愛のことハニトラって呼んでるの?」


 ばかにするようなマリアの表情にレインは眉を痙攣させる。


「もーうっ。レインはスケベなんだから。いきなり艶で攻めるような恋愛なんて下心しかないでしょ?」


「……なるほど?」


「レインってば童貞で付き合ったこともないし? 女の子見るとキョドキョドするし、手も触ったことない!」


 勝手に妄想を膨らませて話を誇張する。


「破廉恥な恋愛なんて……レインのエッチ! きゃー」


「……帰ろうかな」


 遠くを見つめる視線の先には雲が迫っていた。湿ったようなニオイに季節の変わり目を感じる。

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