表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/37

道を通る時に

『猫のお知らせ屋』の朝は早い!

 学校へ通う、みずほちゃんの登校の準備が始まる前に、儀式を終わらないとダメだからだ……。


 だから、眠い……頭が、ぐるぐるしちゃう……。


「稲穂、大丈夫? 昨日の夜中に起きて遊んでいて、あずきに怒られてたよね?」


 みずほちゃんが、かわいい水色のワンピースで、僕を見つめる。昨日、ちょっと起きたら、ぼくのしっぽがあって楽しかったんだ……遊んじゃうのは、仕方ないよね。


「抱っこ……」

 僕は眠い目をこすりながら、みずほちゃんに言うが「今は、大きいから出来ないよ」と、断られた。


 みずほちゃんと僕が朝ごはんを食べ終えると、猫のあずき先輩がやってくる。あずき先輩は、ゆっくりとした足取りで僕の前を通りすぎるので――。


「あずき先輩、抱っこしてあげますね」


 と、言って僕が近づくと「ヴァァォ~~!」と、言ってあずき先輩が怒る。それでやっと目が覚めた。そんな事をやっていると、みずほちゃんの登校の時間。


 僕もみずほちゃんについて、玄関に座り玄関の靴を履く。僕の靴は、マジックテープってやつが付いていて、あずき先輩は紐が付いている。


 同じ靴なんだけど、あずき先輩の方がかっこいい。なんでお知らせ屋のお仕事セットの鞄から出た、僕の靴はマジックテープだったんだろう?


「稲穂も、もうお仕事なの?」

 みずほちゃんは、靴をトントンしながら僕に聞く。僕も同じくトントンしながら――。


「そうなの、途中までついて行ってあげますね――」と、答えた。


「いいけど……。見えないところに居てね。友達と手をつないでる時、稲穂を友達が見たら、稲穂が見えて大変な事になっちゃう」


 みずほちゃんは、とても真剣な目で僕を見る。人間になった僕は、猫の時よりその意味がわかる。わかるから……ちょっと悲しい。


 子どもは、大人より僕達の近くにいる。大人はきっと僕達の事、本当に見るまで信じない。子どもたちは、信じてくれる気がするんだ。友達になってくれないかな? だめかな? 学校の7不思議になっちゃうかな? 学校にいないけど~。


 ……僕の事を知っている、するがくんは……わりといいやつだから……もう友達なのかな? どうだろう? でも、みずほちゃんと一緒のところを見ると、僕の胸がもやもやしちゃう……なぜだろう……。


「稲穂? どうしたの? おこっちゃった?」

 みずほちゃんの目が、僕をのぞきこんでいる。ぼくは、ちょっと考えてたみたいだ。


「みずほちゃん、ぼくはするがくんと友達なの?」


 ちょっとがっかりした顔したみずほちゃんに、手を引かれて歩きだした僕。


 朝の境内(けいだい)を通ると、きれいな空気と緑の匂いを感じる。今日も少し遅く起きたらしいニワトリが、コケコッコー遅い朝を知らせる声を聞きながらふたりで歩く。


 特別な毎日。


駿河君(するがくん)は、きっと稲穂とあずきの友達になってくれると思う。でも、その前に会ったら、この前の事、謝らなきゃだよ」


「うん、わかった……」


 人通りにない少し、広い道まで来ると……。


「もう、お仕事行くね」


 僕はそう言い僕達は、立ち止まる。


「うん、わかった。気をつけてね」


「みずほちゃん、いってらしゃい」


 僕は、大きく手を振ると、みずほちゃんは周りを見回してから、少し小さく手を振ってくれた。


 僕は、この道を右に曲がると歩き始めた。多くの人たちが僕とすれ違う。子どもも大人も目的地に向かうように、猫の僕も目的地へ向かう。


 少し大きなトラックの横を通り過ぎ、トラックの後ろの横道に入り少し進む。そしてそのまま『虫の知らせ』の受取人を静かに待つ。


 その時、息を弾ませて走って来る少年が見えた。僕は、僕の前を通る彼に歩調を合わせて、彼の手を少し強くつかむ。


「痛いっ!」


 彼の走る速度が遅くなり、道路の前で立ち止まった時に――。


 大きなトラックが一台、ブォォーーォォー!と、音を響かせて、彼の目の前を通り過ぎた。


「えっ……」

 彼は、小さな声でつぶやいた。


「貴殿に謹んで申し上げまする。道路を、飛び出しちゃ危ないよ……。今日は特に、道路のわきに止まっている、このトラックのせいで君は見えづらいからね」


「もちろんトラックが、無くても右見て、左見て、右だよ。わかった?」


「うん……」

 彼は、そう言うと辺りを見回すが、誰も居ない事に気づき行ってしまった。


 僕は、ほっとなでおろす……。今日も、お仕事はうまくいった。早く帰って寝なきゃ!猫だから!


 僕は、帰り道、はなうた歌いながら帰ったのだった。



 おわり

 

見ていただきありがとうございます!


またどこかで~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ