みんなと食べたい
『猫のお知らせ屋』の、僕の朝は早い。
早朝起きて、台所で朝食の準備しているお母さんの足元へ行きごはんをねだる。お母さんはきりの良いところまで調理をすすめると、やっと僕にごはんを出してくれた。
ごはんは、美味しいく夢中になって食べちゃう。
ご飯を食べたらおうちの見回り、みずほちゃんの部屋の近くまで行くと、みずほちゃんと猫のあずき先輩が起きて来る。
あずき先輩の今日のごはんは、僕と同じカリカリのフード。あずき先輩が食べるカリカリのフードは、なぜかとっても美味しいそう。食べているのを間近で見守っていると……あずき先輩は、みずほちゃんをニャーン、ニャーンと鳴いて呼びつける。
(あずき先輩? どうしたのお腹いっぱいになった?)
「あずき、稲穂はもうごはん食べたって、メモに書いてあるから大丈夫だよ。安心して食べてね」
みずほちゃんは、お味噌汁を食べる、手を止めてそう答えた。
(でも、まだ食べられるよ?)
そういう思いを込めてニャーンと鳴きながら、みずほちゃんとあずき先輩を交互に見た。
その思いなぜかとどかず、みずほちゃんの手が伸びて来て、僕を抱っこするのだった。
「稲穂、あずきは見られてるとごはん食べにくいって、稲穂は、ちょっとゲージの中に入ってなさい」
ゲージの扉が閉められては、仕方がないので中に転がっていた、ふわふわした布のねずみのおもちゃで遊んで寝た。
起きるともうゲージの扉は開けられていたので、家の中をウロウロしたり、あずき先輩と遊んだでいるとやっとみずほちゃんが帰ってきた。
でも、みずほちゃんはただいまのあいさつもそこそこに、巫女姿に着替える為に僕を部屋から追い出し、部屋の扉を閉めてしまった。
一階へと降りて台所へ向かった僕に、モップを片手に歩いているお母さんが声をかける。
「あら、稲穂、瑞穂は帰って来たみたいけど……。君を抱っこしてこっちに来ないって事は、瑞穂は巫女の白衣に着替えに行ったの?」
僕は、そうだよっとニャーンと鳴いた。そうするとお母さんはわかってくれたみたいで、僕を抱っこして膝の上に乗せて椅子に座ると――。
「稲穂は、猫なのに働いてばかりで、大変ねぇ」っとい僕の両手を、持ちながらそう言った。
(そんな事ないよ――だって……)
そう僕には、今日の目標あった。
そのために僕は、お母さんにひたいをすりつけて、ゴロゴロと喉を鳴らしがらみずほちゃんを待った。
二階から降りて来たみずほちゃんは、「おまたせ」と、言って僕を撫でる。目をつぶりゴロゴロ鳴いている僕を、お母さんのもとから抱き上げる。
僕はみずほちゃんに抱っこされている間に、神社の本殿に着いた。そうして儀式を経て人間になると……鞄からおにぎりを取り出した。
「わっ……待って! ここで、食べちゃだめ!」
みずぎちゃんは、一礼するのもそこそこに、僕を本殿の外に連れ出す。
「稲穂、本殿で、ごはんを食べちゃだめだし、それにもうすぐご飯だから食べちゃダメだよ」
この神社を守る狛犬の影で、みずほちゃんは、腰に手を当てて怒っている。
「何でだめなの? 美味しいのに……みずほちゃんもどうぞ!」
みずほちゃんは、僕の差し出したおにぎりに、ちょっと戸惑いつつも、僕の手ごとおにぎりを包み込み……そしてゆっくり、わかりやすく話はじめた。
「もうすぐごはんだし、お母さんに怒られるよ。それに……稲穂がごはんを食べないとお母さんえんえ――んって泣いちゃうかも? あずきも心配するだろなぁ……」
お母さんとあずき先輩が、心配するのはだめかも? もしかするとあずき先輩は、怒るかもしれない……。
「みずほちゃん……」
「わかった? 今日は、しょうがないけど、ごはんの前には、食べちゃ駄目だよ?」
「わかった。でも……美味しい猫用の缶詰なら、おにぎりの後に食べられると思う……だから今日の夜のごはんは、美味しい猫缶でお願い。それならいっぱい食べられるよ! どうしょう……こんなに幸せで……」
「もう、わかってない。ちょつとお母さんに言わないとね」
そう言うとみずほちゃんは、ずんずんおうちへ歩いて行ってしまう。どうしょう……よくわからないけど大変かもしれない! あわててみずほちゃんを追っておちへ帰ると、猫じゃないあずき先輩がいた。
「あずき先輩……みずほちゃんは?」
「ちょっと怒ってる、そんで俺がお前と話す事になった」
あずき先輩は、玄関前でとうせんぼする様に、前へ立ち片腕で玄関を抑えている。怒ってるのか、お腹すいてるのかわかりにくい。けど、怒ってたらどうしょう。
「はい……」
しっぽは、とてもさがってしまう。
怒られかもしれなくて怖い。僕は、ずんずんと家の中に進むあずき先輩の後ろを、ちょこちょこっと歩いてついていく。
僕達はダイニングテーブルに向かい合わせで座り、あずき先輩は、隣の椅子にひじを掛けくつろいで座る。
僕は、両ひざに手を置きなんか……この雰囲気だけで、怖い涙出ちゃいそう……。
「稲穂、先におにぎり食べていいよ」
「はい」
稲穂って最初に言われた時に、少し涙が出た……けど、すぐに怒られなくて良かった。
おにぎりの入った、いい匂いの竹の皮を開けると、おにぎりが2つ入ってる。ちょっとあたたかくて、凄く素敵。
「みずほちゃんまだ……怒ってるかな?」
僕は、机の上におにぎりを置き、おにぎりを見つめる。
「みずほは、そんなに怒ってなかった。でも、困ってたな」
「一緒にご飯を、机の上で食べたかったな……」
僕は、おにぎりを見つめながら、そう言うと少し悲しい気持ちになった。今日の目標はだめみたい。
「今日は、諦めておにぎりたべちゃいな、後で、俺が瑞穂には伝えておいてやるから」
そう言って、あずき先輩は身を乗り出してきて、僕の頭を撫でた。やっぱりあずき先輩は、あの時の優しいお兄さん……でも、なんでいつもこわいの?
おにぎりは、美味しい。今日は何か入ってる。黒くてつやつや、あまい味。
「あずき先輩、これなあに?」
あずき先輩は、机に手を置き、前のめりになっておにぎりをみる。
「これは、昆布だな、海の海藻の昆布を甘く煮たやつ」
「そっか、昆布か……あずき先輩、一口どうぞ」
「いいのか? 後で、泣くなよ」
「うん、泣かないよ。でも、一口、一口だよ。ちょっとだよ、少しって事だよ。」
「じゃあ、いただきます」
僕が、手に持ったおにぎりを、あずき先輩の前に出す。あずき先輩やっぱり机に手を付き、おにぎりをガブッっと食べた。
僕は思わず「ふふふ」ってなって思わず、足もバタバタしちゃう。
「あずき先輩は、人間になっても食べかたは、変わらないねぇ――」
「お前は、人間の時のがお上品だけどな。猫の時は、ガツガツ食べるから」
その時、あずき先輩が片手で、自分の手首を掴んで伸びをした。
「お前、瑞穂と、一緒におにぎり食べたかったのか?」
僕は、おにぎりを見た、おにぎりはもうわずか一口になっていた。特別なものは、無くなると寂しい。でも、今日の目標のみんなで、おにぎりを食べるは少し成功かもね。
「みんなと一緒に食べたかったかな。あずき先輩も、そう思った事ある?」
「ある」
「一緒に食べもした、でも、それ出来ない事の方が多いよって事、だからまた今度一緒に食べて言ってみな。後、約束事は鞄のごはんは猫用ですて事と、どこでも食べるなって事。後、お母さんや瑞穂がせっかくごはんくれるんだから、よそで勝手に食べるなって事」
いつもあんまり話さないあずき先輩が、凄く話して、動いてる……。
「まとめると、ご飯を勝手に食べるな! わかった?」
「わかった。けど、あずき先輩がこんなに動くの初めてみた」
「お前は、この!」
そうあずき先輩は、僕の頭の髪毛をもしゃもしゃにした。そしてひとしきり笑った後に――。
「瑞穂にごめんねして、ご飯一緒に食べたかった事を、ちゃんと言えよ」
そう言って、あずき先輩は猫に戻った。真っ黒な猫の先輩は、しっぽをたてて僕の足にスリーと触りながらキャトタワーに方へと歩きだす。
「あずき先輩ありがとう」
そうすると彼は少しだけこっちを向き「みゃっ」と小さく鳴き行ってしまった。そろそろ仕事の時間。玄関で靴はく。
「いってきます――!」
大きな声を、聞いてみずほちゃんが階段を、降りて来る音がする。
目をつぶって何を言うか考える。目を開けるとみずほちゃんが、目の前に居た。
「みずほちゃん、ごめんなさい! 僕は、おにぎりをみんなで食べたかったの! そしていっぱい食べたいの、猫缶大好きなの、みずほちゃんも大好き!」
全部言えた。ちょっと心配でしっぽもしゃもしゃしたら――。
「しっぽもそんなにしたらだめ。でも、いっぱいはだめだけと……、今度のお仕事の時は一緒に食べましょ。お仕事頑張ってね。いってらしゃい」
僕は、ちょっとまって、体を斜めにかたむけて――。
「大好きは――?」
みずほちやんは、少し慌てて。
「猫の時、10回言ってあげる!だから、気をつけて帰って来てね」
言ってくれたので、僕はデヘェ~となってお仕事に行ったのでした。
おわり
見てくださりありがとうございますー!
また、どこかで~。