#4 幽霊の願い事
ピンポーン、ピンポーン <…朝から誰だよ…せっかくの休みなのに…>
俺は寒いし、布団から出たくなかったから、
「レイ…ちょっと出て…」と、リビングのレイに言った。
「まったく…減点1…ハイハイ。たまには早く起きればいいのに…ちょっと待って下さい」
と、レイが言った。 ガチャッという音が聞こえた。
「イヤー、また会ったね」こ、この声は…!
「笹木君じゃん!どうしたの?」
あー、やっぱり。自称幽霊の笹木信夫だ!な、なんで来たんだ? 「ジュンは?」 「今寝てる。寝坊助だから」
と、レイは笑った。
「ジュンに用事?」
「イヤ、そうだったんだけど……そっかぁ、寝てるか…じゃ、また今度…」
「ちょっと、俺は起きてるぞ」
「あっ、おはよう」
「良かった」
笹木はニコッと笑った。これで人間だったら誰にでも好かれるのに…って、思ってるのは俺だけか?
「で、用件は?」
「あ、えっと…実は…」
笹木の頼みはこういうものだった。俺達が住んでいる町内に住んでいた笹木は死ぬ間際にある落とし物をしたらしい。笹木に聞くと、「ペンダントなんだ。大切な……」
「心当たりは?」
「うーん、それが…」
よく覚えていないらしい。余り接点はないが、レイの友達だ。放っておけない。だから、手伝う事にした。
とりあえず大まかに探した。その次は路地裏や公園を探したいたが、きりがなかった。探し始めた当初は青くすんだ空だったが、次第に、雲が掛かっていた。小一時間ほどすると、雨も降ってきた。
「そろそろやめようよ」
と、レイは言ったが、
「まだまだダメだ」
と、俺は返した。笹木も、「ジュン、もういいよ」 と、いい始めた。その時、雷が落ちる音が近くに聞こえた。雨は土砂降りになっていた。笹木がもう一度、ーもういいよ、と言おうとしたとき、前から誰かがやって来た。あの影の薄さ、もしかして…ユーレイ!?女の幽霊は笹木の方へ近づいた。
「信夫さん…」
「智香子さん!」
あっけにとられている俺とレイをよそに、
「僕はあの日アナタに会いに行こうとした…その途中、トラックに跳ねられて…アナタに渡すはずだったペンダントを渡せず、死んでしまったんです…」
「私はアナタに裏切られたと思って自殺してしまったんです」
「ジュンさん、一緒にペンダントを探してくれてありがとう。この恩は忘れない。ありがとう、ありがとう」
二人の影が薄くなって……そして、消えて行った。俺達はしばらくそこに立ち止まっていた……
あの日から、1週間立ってまたいつものように戻りつつあった。
ピンポーン、とチャイムがなった。
俺が玄関に行くと、
「やっぱり、お礼してからじゃないと成仏出来ないからな」
照れくさそうに笹木が言った。俺は、
「おかえり」
と、口にしていた。
「ただいま」
笹木が返した。おかえり、ただいま、か……いい言葉だな。
<続く……>
少し感動出来るかなあ、というのを書いてみました。最終回っぽいですけど、まだまだ続きます!