#1 「なんで、俺がっ!?」
神様は見ている 「次は…」少しの間言葉を切り、「コイツを矯正してくれ」私は一枚の紙切れを手渡された。 「はぁ…。前科はあるんですか?」 「イヤ、まだないが小さい事で色々とな。早い方がよかろう」 「…分かりました。行ってまいります」
「それじゃガンバって」
の声を背に私は出掛けた。 <はーあ、何だか眠れなかったな…>枕元の時計を見ると、それもそのはず、まだ夜中の3時だったのだ。<それじゃ眠れてないはずだ>もう眠れそうにないので水を飲みに起きようとした…俺は肝がぶったまげそうな位に驚いた。起きた矢先知らない人が目の前に立っていて驚かない奴がどこにいるだろうか?「ユ、ユ…」よく見ると、俺と同じぐらいの歳だ。後ろに髪を束ねている。……女だ(苦手何だよな)。ユーレイと言おうとすると例の目の前の人に口を塞がれた。
「静かに!私はユーレイじゃない!私はレイ。いい、覚えた?レイよ、レイ」
「ユーレイ?」
と俺が言うと、ため息をついて、
「君の名前は?」
「谷川ジュン。」
「ジュン、いい?私はあなたの生活態度を矯正するために派遣されたの。つまり私は君の教官ね。教官の命令は絶対!」
「ちょっと待てよ!」
だってそうだろ?やって来るなりそんなアナタを矯正します、と言われても…
俺が不満そうな顔をしていると、レイ(何となく恥ずかしい…)は紙に何か書きこんだ。
「減点1…」
「なんだそれ?」
「ジュンの態度に点数を付けてるの」
「え〜」
これから厄介な事になりそうだ……
レイから聞いた話をまとめると、俺は何か悪い事をして<俺は自覚してないけどね>とにかくどこかのお偉いさんの目に止まり、レイが派遣された、という訳だ。
「で、何をすればいいんだ?」
「そうだねー。とりあえず困ってる人を救うとか?」
「た、例えば……?」
「うーん。まぁ、何か見つけたら教えるね」
「それじゃ……」
と言いかけると、
「何言ってんの!私はこれからジュンと寝食を共にしなきゃならないんだから」「え〜?親は居ないんだけど……」
「ジュンの親が居ないのは知ってるよ。確か…」「俺は一人暮らしなんだ。高校生だから珍しいってよく言われる。寝る場所は…」
「じゃ、あそこのソファでいいや……」と、リビングのソファを指さした。
「はいこれ毛布」
「ありがとう。あ、一日一膳が目標だよ。忘れないでね」 「はいはい」 「減点2……返事は一回!」
ヒィッ!
「わ、分かったからそんなにビシビシ付けんなよ…いや、付けないで下さい」
「これが仕事だからね」
ニコッとするとレイはリビングに消えて行った。
ーーーーー翌日ーーーーーあれから一睡も出来ないと思ったが人間睡魔には勝てないものでどうやら寝ていたらしい。朝起きると、レイがエプロンをして朝食を作っていた。
「な、作ってんだ?」
こう質問しなければならなかったのは、煙がキッチンからもくもくと出ていて、視界が遮られていたからだ。
「目玉焼きだよ」
「目玉焼きって、そんなに煙が出るもんか?」
「案外難しいんだよー」
「ちょっと、貸してみろ」と、手探りで道具を探していると、今度は火が出てきた。何とか火を消して、落ち着いたのはもう学校にいく時間だった。
「いいか?明日からは俺が飯を作るからお前は作らなくていい」
「…は〜い。才能高し…加点1…私も学校行っていい?」
「でも…まさか学校には入らないよな?」
「えっ、一緒に授業受けちゃ駄目?」
「イヤ、ダメとは言わないけど…ホントに行く気?」「私、実は頭いいんだよ。それと…資金として少しお金も持ってるんだ」
そう言うとポケットから札束が……
「まぁ、いいや。早く行くぞ!」 二人でバスを待っていると同じクラスの出来れば関わりたくないお騒がせ野郎の桐生が、
「彼女?」
「ん、んな訳ねーだろ」
「じゃあ、誰だよ?俺がジュンに先を越されるなんて……」
「だー、かー、らー!」
レイがヒソヒソと、 「何かめんどくさそうな人が友達なんだね」
「君、可愛いね。ジュンより俺と付き合わない?」
「けっこうです!……ジュン、行こ」
「あ、うん」
桐生が耳元で、
「態度悪いな」
「お前が悪いんだろ」
そんな事を話していると、降りる駅に着いた。
<続く……>