【第16話】夜のマンツーマン
「『幻術』 『幻影のナイフ』!」
部屋の隅から投げたナイフが、テーブルに置いた赤いリンゴにぶすりと刺さる。
アズサがパチンと指を鳴らすと、ナイフは消えリンゴからは甘い汁があふれた。
「おおー!」
歓声の声を上げ拍手する。
「これが私の得意とする闇の魔法。
レインもこれくらいの魔法は使えるように頑張ってね」
夜、2人きりで秘密裏に、アズサの魔法の授業が始まった。
初めての魔法の授業、期待と不安が半分こ。
まあそれはいいとして
「ねえアズサ?どうしてお互い下着なの?」
いくら2人きりとはいえ、こんな格好、アズサは自信、あるかもだけど……
するとアズサは得意げに、
「そりゃあレインの可愛い下着が見たいからに決まってるじゃない」
な……
何その理由!
「アズサのえっち!!」魔法と関係ないんかい!
怒る僕を見てアズサが笑う。
「あはは冗談よ冗談!やあ〜ん、ごめんレインっ!怒んないで
これにはちゃんと理由があるのよ」
「理由ぅ?」
膨れる僕に、アズサが理由を教えてくれた。
ーーー
魔法を使える様になるには魔源という体内に眠る魔力の源を覚醒させる必要があるらしい。
「本来は時間をかけて覚醒させるんだけど、今回は時間もないし、それにレインの魔力は他に比べて小さすぎるから、悠長にやってちゃ最悪何十年もかかるかも」
「僕そんなに才能無いの?」
「うん。」即答……!
※普通は1、2週間、長くても1ヶ月くらいらしい。
「まあ、レインの極めて少ないの魔力量は魔法石でどうにかなるけれど、覚醒してなきゃその恩恵も受けられない。
だから無理やり魔源を刺激して、それで覚醒を促します」
無理……やり…。
「その時に私の魔力をレインの身体に入れる事になるんだけど、そこで余計な衣服なんかがあると入れるのに邪魔になっちゃうのよ」
成程、それなら仕方がないのかも。
でもショック……自分に才能が無いなんて。
落ち込む僕にアズサが両肩にポンと手を置き慰める。
「安心してレイン、覚醒さえすれば、必ず魔法が1つ手に入るから」
「ほんと?僕もアズサみたいに、闇の魔法が使えるようになるのかな?」
「それは覚醒してからのお楽しみ。火、風、水、土、そして闇、どの魔法が適正かはその時に自ずとわかる筈よ。 さあレイン、わかったらこっちに来て座って頂戴」
僕はアズサの言う通りに従って、寝室のベッドに腰かけた。
アズサがすぐ後ろに来てぎゅっと背中に胸を押し付ける。
後ろから腰に腕を回して、肩に顎を乗っけると、
「じゃあ始めましょ」そっと耳元で呟いた。