↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太夫、傾国の娼妓(やり手爺)からの、今世は悪妃の称号ご拝命〜数打ち妃は悪女の巣窟(後宮)を謳歌する  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定
3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/124

56.投資と無駄金とサロン

「それで魔力が幾らか抑えられていたのでしょう」


 更に言うならば殿方は命のやり取りをしたり、疲れている時ほど、夜に燃える方もおられます。陛下も今より当時は若いのですから、尚更だったかもしれませんね。


 もちろん口には出しません。まだ恥じらう若き新妻ですから。


「陛下の事です。狩りでは覇気を使いながら大きな熊と虎に対峙したでしょう。徹夜が続くなど、精神的な疲弊が大きくなると魔力量も目減りしていきますからね」


 苛々すると覇気やら威圧やら、無意識に放ちそうな性格……。


「何か失礼な事を考えておらぬか」

「なんの事やら?」


 本当の事しか考えておりませんでしたが、うっかり呆れた目を向けたのやもしれません。


 ニコリと微笑んで、ヨリヨリをモグモグします。


「しかし最優先すべきは、この後宮の地理的な環境を整える事ですよ。それに今やっても、陛下の下手っぴな魔力調整では、皇貴妃が覇気を当てた時のような変調をきたしかねませんから」

「下手っぴ……」

「なるほど。しかしこの宮だけならまだしも、他の宮まで環境を整えるとは、どうされるおつもりなのです?」


 下手っぴと指摘されて愕然とする陛下はどうでも良いのですが、丞相の口調は気に入りませんね。


「はて? 何故(なにゆえ)丞相は、さも私が担当するかのような口調でお話されるのでしょう? そもそもこの宮以外の主は、私ではありません。私は何もできませんし、契約にはそこまでする事、入っておりませんよ。あくまで動くのはこの後宮の責任者方。ね、陛下?」


 後宮全体の責任者は、陛下と皇貴妃です。それに私は、さっさと去るつもりしかないのです。自腹でこの場所を修繕するはずもありません。


 そもそもあの廃れた建物の半分は、基礎の部分からやり直さねば、修繕したところで建物部分が傾きかねない状況です。元が古い建物。なのに無人となり、雨ざらし状態が100年以上続いたようですからね。半分だけでも基礎が生きているだけで、寧ろ凄いというべきです。


 けれど私には、そんなの関係ありません。投資ならば額が大きくても許容できますが、無駄金となれば別。私からすれば長く住まうわけでもないのです。改修費用の他、撤去費用が高くつく不良物件など要りません。


 思わずムスッとして、本来の責任者に丸投げの姿勢をハッキリ誇示します。


 そんな私に、丞相は小さく苦笑い。


「ふぐっ。小娘、策はないのか」

「ガウニャ〜ゴ」


 あら、子猫が割って入りました。お腹が満たされて喉をゴロゴロ。私のお膝にピョンと乗って、丸くなりました。


 なんと可愛らしい! モグモグしながらヨシヨシしましょう!


 そこの殿方二人に加え、後ろの護衛も最初こそ驚いておりましたが、慣れたのか反応しなくなりました。


 護衛にも、やはり靄として見えているのでしょうか? 後で確認してみましょう。


「貴妃、私の言い方が悪かったのは謝ります。陛下に助言して下さいませんか?」


 しれっと陛下が私にした質問を丸っと無視してモグモグしていれば、丞相が先程の発言を謝罪しつつ、下手に出てきましたね。


「今は何とも。……ああ、それならば四夫人が揃ったのを記念して、陛下と皇貴妃とで沙龙(サロン)を催して下さい。小宴ではなく、あくまでも顔合わせと談話が目的の沙龙(サロン)です。出すのはお茶と茶菓子程度。大皿に盛り、最初陛下が必ず先に食べてから、適当に取り分けて下さい。毒を入れにくくなりますから」

「毒……」


 はぁ、と陛下がため息を吐きます。そうですね。後宮の女人は毒の混入が大好きなようですから。


「陛下と四夫人と三嬪。更に各人の筆頭女官を各一名は必ず。丞相が混ざるのなら、他の三公方にもお声かけ下さい。参加は自由でかまいません。けれど、それ以外の者への参加は許されませんように。元々、私には陛下と後宮の者以外、いなくても良いので。そうですね。内々の単なる顔合わせと、談話を目的に……来週以降、三数週間以内で日時を組んで下さい。そして陛下は必ず、皇貴妃以外の全ての貴妃と嬪に私を伴って声をかけ、できるだけ皇貴妃とは目を合わさぬようにされると上出来ですね」

「それは……」


 陛下が渋るのは予測済みです。愛妻家を前面に押し出してきた皇貴妃だけの夫で在り続けた方ですからね。私を迎えた事で不仲となったように見えるのは、避けたいはず。


 無表情な丞相は、陛下の出方を観察しているようですね。恐らく今が、陛下の小さな正念場です。本当に小さなものですよ、陛下。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。