青、青、青
とある画家の美術展にいった。
その画家は変わり者で、青い絵しか描かない。
実際に、見た絵は全部青色のものだけだった。
海や川、湖、雨。
青いものばかりをモチーフにしているから、色が青ばかりになるのは当然だ。
でも、飽きはしない。
力強い青、優しい青、透明感のある青。
同じ青でも、まったく表現の仕方が違うからだ。
個性的で、ほかの画家にはない魅力を感じる。
こんな絵を描いた画家はいったいどんな、人だったのだろう。
俺は画家だ。
けど青しか使わないと決めている。
単純に青が好きだという理由もあるが。
「わたし、あなたが描く青い色の絵がすきなの」
惚れた女がむかし、そう言ったことがあったからだ。
遠くの地に引っ越してしまったが、青の画家として有名になれば、彼女に気づいてもらえるかもしれない。
そう思ってるんだ。