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300字SS

最後の音楽

作者: こどー

 里は美しい音に満ちていた。今宵の奏者は弦を操る。

 布さえない家々の窓から流れる音は夜気の中で重なり、複雑に響き合う。

 ひとつ、音が遅れ始めた。ふっ、と女は肩を震わせる。

「おお、あれはおれでも分かるぞ。下手くそがいる」

「言ってやるな、まだ三夜目の子供なんだ」

 口では咎めておきながら、女は笑いを引っ込められないようだ。

「初夜は音を出すのに難儀して、やっと出たと思えば甲高い音。二夜目は弦を切って、ほどなく降りた」

「今宵」

 肩を抱く手に力が入った。

「最後まで聴けるとよいな。宴の直後に発つのがよい」

 女は小さくうなずいた。

 音が消え、明けが訪れる束の間の隙。皆が寝静まる頃は、すぐそこまで迫っていた。

300文SSでした。お題は「手」。

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