story.15
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それからしばらくして
月華
「なんや?」
東
「どうされましたか?」
月華
「いや、お嬢はんが起きてると思うてたから。」
東
「お香を焚いていますわ。妖には効果はありませんが人間には催眠作用がありますわ。ですので、眠っていただいているのです。起きてしまわれたらその後、ゆっくり眠れるとは限りませんので。寝れるうちに寝ていただこうと思いまして。そして、これは私的なことですが…私は零蘭様に一生を誓うと決めましたわ。お父様から零蘭様のお話はいつも聞いておりました。母君をすぐに亡くされてその愛情を受けて来られなかった、と。陰陽師養成特別学校に入ってからの私生活についても話は聞いております。契約は致しませんがサポートさせていただきたいのです。いざとなれば戦力にもなり得ますわ。」
月華
「それは、うちが決めることやない。お嬢はんが決めることや。お嬢はんに許可を貰うて。」
東
「わかりましたわ。」
2時間後
青竜
「ただいま帰りました。れいちゃんは?」
月華
「東はんが見とりますよ。」
蒼竜
「そうですか。眠れているようで何よりです。月華さん、術を。」
月華
「わかっとります。」
月華が水龍に近づき、触れた。
月華
『解』
術が解け、容姿が戻った。
淡い水色の綺麗な長い髪、目には布を巻き付けたままである。
月華
「なんや、目の布は巻いたままなんか。」
水龍
「えぇ、私の目は特殊ですので。あまり人様にお見せしないようにしているのです。不快でしたら申し訳ありません。」
月華
「大丈夫やで。」
そのとき、部屋のドアが開き
東
「零蘭様、月華様ですよ。」
零蘭
「月華…」
その声は弱々しく。寝ていたのにも関わらず酷い顔色であった。
泣きはらしたかような目をしていた。
無気力になってしまっていた。
月華
【これは、相当なショック受けてはるな。どないにしたらええんやろか。かける言葉がわからへん!!】
「どないしたん?」(零蘭を座らせ、抱きしめた。)
零蘭
「おじいちゃん…死んじゃったんだよね?」
零蘭の発した言葉を聞き、全員が黙ってしまった。
青竜
「えぇ、そうですね。れいちゃん、私が父上の後を継ぎ青竜となりました。弟は蒼竜、妹は東と言います。東はれいちゃんと共にいたいと望んでいます。どうしますか?」
零蘭
「契約はしない。それでもいいなら。陰陽局の人にお願いしないとだね!」(弱々しく笑っていた)
蒼竜
「そうか、東を頼むぞれい(零蘭のこと)。」
零蘭
「うん。東さん、よろしくね。」
東
「えぇ、よろしくお願いいたしますわ。では、私が陰陽局に行って参りますわ。では、行って来ますわ。」
東が消えた。
蒼竜
「心配しなくて大丈夫だ。しばらくは、ここで療養するといい。兄上もそれを望んでいる。」
零蘭
「うん、お願いします。…そこにいるの、水龍だよね?大丈夫?」
水龍は零蘭に視線を合わせるためにしゃがんだ。
水龍
「えぇ、大丈夫ですよ。ご心配をおかけしました。零蘭様、あなたのご病気をお治しいたしますね。私の目を見てくださいね。」
目に巻いていた布を取り外した。
そこからは、とても綺麗な白に近い水色と淡い紫のオッドアイだった。
その目を見た瞬間…
零蘭
「体、らく。」
水龍
「それはよかったです。」
目に布を巻き戻した。
零蘭
「巻いちゃうの?」
水龍
「えぇ、気持ち悪いでしょう。皆様に不快な思いを抱かせてはなりませんので。」(ニコッとした。)
零蘭
「綺麗だと思うけど…それの何が気持ち悪いの?」
零蘭は、本当にわからないという顔をしていた。
それを見ていた青竜たちは…
月華
【妖にとって、目の色が左右でちゃうのは不吉とされとる。せやから、目を隠しとるし、本人にとってもコンプレックスに決まっとる。それを、正面から…さすがやな。】
青竜
【昔から変わっていませんね。】
蒼竜
【この娘はなんなんだ?】
水龍
「左右で違うことは不吉とされているのです。ですから、目を隠しています。」
零蘭
「綺麗なのに…もったいない。青竜のおじいちゃんも嫌ってたの?」
水龍
「いえ、零蘭様と同じようなことを先代青竜様もおっしゃられました。あなた様は、四獣の皆様と似ておられるのですね。」
零蘭
「知らないけど…多分、私が人間のことが大嫌いだから。それが、原因だと思う。」
その場にいた全員がびっくりした顔をしていた。
零蘭
「なんで、嫌いなのか不思議なんでしょ?」
青竜
「えぇ、そうですね。父上から聞いてはいましたが、それはショックからだと教えられています。」
零蘭
「まだ、誰にも話してない、けど…10歳になったとき、あーくん(朝陽のこと)とお兄ちゃんが話してるの聞いた。お母さんが死んだのは殺されたからだって。仕事のせいじゃないって…。で、その犯人が偉い人?らしくて、お兄ちゃんは犯人を探してた。そうしたら、お兄ちゃんも殺された!!!!…警察で聞いちゃったの…キャリアのガキは消しましたって…これ、お兄ちゃんのことだから…警察の人間も陰陽師の大人も信用しない!私が陰陽師になるのは、復讐のため!絶対、殺す。」
そう言い放った零蘭の目には怒りがこみ上げられていた。
言い放った口調はとても冷たいものだった。
そして、この話を聞いていた5人は怒りと嫌悪に震えていた。
月華
「お嬢はん、その話は…本当なんやな?この話、巫女様に話してきてええか?これは、僧正坊はんにも伝えたほうがええやろな。」(険しい顔をしている。)
零蘭
「巫女さんと天狗のおじいちゃんだけなら。このことで、問題起こさないで。」
青竜
「わかっています。」
水龍
「私も、族長に話してきてもよろしいですか?族長は美奈様の眷属でしたので。お伝えしたほうがよろしいと思うのですが許可をいただけますか?」
零蘭
「いいよ。少し、休みたい。」
月華
「部屋に一緒にいこか。」
零蘭
「大丈夫。1人で行く。」
零蘭が部屋からいなくなった。
東が戻ってきた
蒼竜
「俺は、僧正坊のところに。」
青竜
「えぇ、頼みますよ。東は水龍の付き添いで行ってください。月華さんもお願いします。」
各々が行動を始めた。
部屋の中で…
零蘭
「だれ?」
白帝
「白帝。白虎の息子だ。」
零蘭
「そう。で?」
白帝
「ちびっこ、お前のことは親父から聞いた。お前は、何を目指しているんだ?」
零蘭
「復讐。」
白帝
「復讐?…そうか。覚悟できてるんだな?」
零蘭
「できてる。だから、唯一の親戚である叔母さんも裏切った。絶対に、お母さんとお兄ちゃんを殺したやつを許さない!!」
零蘭の目からは大量の涙が流れ出ていた。
白帝
「殺された?」
零蘭
「うん。」
白帝
「それは…」
16話に続く
お読みいただきありがとうございます。
登場人物につきましては学業が落ち着き次第まとめて投稿いたします。
それまでお待ちいただければ幸に思います。




