7話 飯と友とステータス
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少し待ったらメイドさんが呼びに来たので、ついて行く。
今更だが、俺たちの部屋は高級ホテル風の風貌で、調度品一つ一つまで丁寧に造られている。
そして、その部屋は王宮から少し離れた別棟にあるのだが…
そこからの移動中に問題は発生した。
「おーい! 待てってば悠!」
こいつ、燈火だ。
正直【運気】100と、生えてきたスキルの[予想]と[勘]のせいで確実に厄介事を持ってくる事が察せられる。
正直これもチートじみた話だが、察知できるだけで回避できるとは限らないし、戦闘に関しては余計な雑念が入る気すらする。
そして現に──
「うおっし、捕まえた」
こうして捕まったのである。
というか今の移動、<勇者>としての高スペックをムダ使いしてないか?
「げ、なんだよ燈火。なんか話か?」
「げ、てなんだげって。で、話だが…お前ももう察しているだろうが、ここでは話せない。食後俺の部屋に来てくれ。いつものメンバーも呼んである。部屋はEー35な」
その面倒事ってのは、帝国が黒いって事だろう。
いつものメンバーと呼んでいる奴らも俺と同じく中々のラノベ読みで、事態を察していることだろう。
ああ、因みに部屋のEー35ってのは部屋番号の事だ。
俺のはFー03、近くに誰の部屋もない孤立した場所だ。
正直部屋を離してる時点できな臭さが増してるんだが…
取り敢えず今はいいや。問題事はその時の俺に押し付けよ。
「あいよ。どうせそんなこったろうと思ったよ。あ、あと俺も話があるから飯は一緒に食おうぜ」
「了解」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ということでやって来ました食堂!
なんと言うかゴージャスで、凄い。
頭上のシャンデリアが宙に浮きながら動力も無くキラキラ光ってて…まさか、と言うかやはりこれも魔道具か?
食堂は長テーブルがいくつも縦に並んでいて、入口から見て正面に当たる場所に皇族専用と思しき一際豪華な長テーブルが横に向けて置いてある。
イスは普通に部屋にあるとの同じタイプだった。
テーブルには既に豪華な料理が並んでおり、個人用の皿には何も乗っていないことからして自分で取るタイプだと言うこともわかる。
自然と並んでい席につくと、いつの間にか専用席についていた皇帝が話し始めた。
「勇者諸君、この度は──」
ここから先は長くなるの上に、主に召喚特された時にした話のやき直しだったためカットする。
「──ということだ。ではこの出会いを祝して、乾杯!」
「「「乾杯!」」」
予想通り話はクソつまらない自慢話+上から目線でムカついたが、そんなマイナスな気持ちで飯を食いたくないため乾杯自体には素直に乗っておく。
予め飯には[鑑定]をかけておいたので、恐らく毒は仕込まれていないだろうと判断した。
あと一つ、[鑑定]で思いついたことをやっておこう。
「(そうだ、ここにいるクラスメイト全員のステータス、固有スキル、職業を鑑定しておいてくれないか?)」
《悪い、いま森羅万象のせいで手が離せないわ。もう1人作ってくれ》
並列君に頼んでみたがどうも手が離せないらしく、代わりに新しく意識を分けることを要求してきた。
燈火との会話もしたいので、仕方なく智の極地を発動させる。
並列君──いや、もうこの際名前をつけよう。
そうだな…アルファで行こう。
アルファの思考リソースを削るのも不味いので、俺の方のリソースを使う。
と言っても普段の生活でそんなにリソース食うことはないだろうからな。
「(おし、これで出来たかな?)」
〔ああ、出来てるぞ〕
問題なく発動できたようだ。
よし、せっかくだしこいつにも名前をつけるか。
うーん。やっぱりこのまま行くとベータだよな。
アルファについては気にならなかったが、今になってなんか適当すぎる気もしてきたが…
「(なあ、お前の名前ってベータでいいか?)」
〔自分に名前をつけられるって変な感じだが…まあ、名前付けないとややこしくなるもんな。それでいいぞ〕
許可を摂ることができたため、問題ないだろう。
アルファも意識が別れただけの俺なので、結果は大抵同じだろうな。
「(取り敢えずわかってると思うが、鑑定よろしくな)」
〔うい〕
さて、ベータに鑑定も頼んだし、燈火と話でもすっか。
「で、話ってなんだ?」
話そうとした瞬間、燈火そうが切り出してきたので、それに合わせて進めていく。
若干調子は狂ったが、気にしないでおこう。
「ああ、スキルについてだ。お前の固有スキルって何だっけ? モグモグ」
そして今回の話の内容は、ズバリ固有スキルの特徴と性質である。
何かしらの共通点がわかれば、後天的にスキルが生えることも分かっているのだし、新たに獲得できるのではと思ったからだ。
<叡智>が限定的な成長チートかもしれない上に、現在帝国に対しヘイトを貯めまくっている俺が、何も身を守る術を持たないってのは不味いだろうと言うことだ。
「たしか…ゴクッ【灼熱剣】と【鬼才・武】だな」
「もう試したか? ムシャ」
「いや、ステータスコールで確認してみたが、使ってはいない」
「そうか。ゴクン。で、どんな効果だった?」
「【灼熱剣】は文字通り剣に火属性を持った炎を纏わせるスキルで、パク、【鬼才・武】は有り体に言えば武術系に属するスキル限定の成長チートだな」
「え、そんなにブーストかかるのか!?」
密かに、『<叡智>って実は成長チートなんじゃ?』とか思ってたけど、もしかしたら全然だったりして…
「ああ、Lv1の状態で武術系の成長、習得速度が2倍だと」
「はあ!?」
2倍だと!? もし補正が「Lv×2」倍とかだった場合、Lv10になったら20倍かよ!
いやでも、なにかデメリットがあるかもしれないし、保有者の成長度合いによって効果が変わったりするか隠し効果があるかもしれないんだから…
…て、やべ、急にでかい声出したから注目されてんじゃん。
取り敢えず周りに見えるよう頭を軽く提げてから話に戻る。
「嘘だろ…」
「で、お前のはどうだったよ? たしか<伝説級スキル>とか言ったよな? 固有より伝説の方が凄そうだし、とんでもない効果だったんじゃねぇか?」
「ああ、そりゃもうとんでもな効果だったよ。持ち主が俺じゃなかったらな…」
「そりゃどういうことだ?」
「このスキル、思考強化系だったんだよ…ッ!」
「いや、十分当たりじゃねえか!」
「それがな、どうしても高性能ソフトを積んだ低スペPCみたいになるんだよ…」
「ああ、なるほど。要は宝の持ち腐れ状態ってことか」
うわ、納得されたよ。
できれば『お前はそんな低スペPCなんかじゃない!』とかフォローして欲しかったが…
色々と話し込んでいるうちに時間が経っており、夕食が終わったクラスメイトはボチボチと帰り始めていた。
それに合わせるように急いで飯を詰め込み、部屋に戻った。
ああ、因みに料理は美味しかったです。
現在謎の食欲不振だったせいであまり味は覚えていないので、それなりに美味しかったとだけ言っておこう。
まあ、その食欲不振も倦怠感もステ不足が原因なんだろうが。
閑話休題
さて、一旦自室に戻ってきたのですぐさま燈火の部屋に行きたいところだが、まずはアルファとベータの成果を確認しないとな。
それに部屋なら普通に声出しても奇異の目で見られないしな。
「アルファ、ベータ、成果はどうだった?」
《アルファって俺のことか? カッコイイし別にいいが…成果は全保有スキルの[鑑定]結果とステータスの詳細情報、あとはステータスのオプション欄の発見だな。あ、あとステータスに関しては面白いものが見つかったぞ》
「おお! 結構な成果じゃないか! 面白そうなものってのが含みのある言い方なのが気になるけど…さて、じゃあベータは?」
〔こっちは言われた通り全てのステータス、固有スキル、職業を鑑定しておいた。結果は<叡智>に記録されてるからな〕
「サンキュ。自分に自分で感謝するのもなんか変な気がするけど、まいっか」
アルファの成果である[鑑定]結果は必要な時にボチボチ出すとして、ステータスについては知っておきたいな。
ということで、ステータスドン!
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個体:不知火 悠 ♂ 16
種族:人間Lv1
職業:なし
状態:健常
属性:なし
【レベル】1
【生命】100/100 【体力】100/100
【魔力】100/100 【氣力】100/100
【筋力】50 【耐久】50
【知力】50 【抵抗】50
【敏捷】50 【器用】50
【運気】100
スキル:
・補助系
<叡智Lv1>[鑑定Lv1]
・特殊系
﴾■■﴿[異邦人Lv-]
称号:
「転移者」「理想の追求者」
装備:
「異界の学生服」
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おっ、ついに謎のスキルが見えてきた!
今回はゴリ押しで並列君に名前を付けてみました。
今のところ、ギリシャ文字を使って名前を付けて行こうと考えています。
もしもカッコイイ案をお持ちの方がいらっしゃれば、お教え頂けるとありがたいです!