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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

数千年後のアダムとイヴ

 アラームは毎朝7時に鳴り響く。

 それを止めて電気とテレビをつける。窓を開けて、明ける日を浴びてはじめて、今日という日を迎え入れる。


 狭い部屋で作る朝食はいつもマーガリンを塗って焼いた食パン一枚と牛乳で浸されたコーンフレークに、熱いココア一杯。

 今日のお天気は、と流れてくる耳障りの良いアナウンサーの声を聞き流しながら今日の気分を決める。今日は傘がいらない、明るい気持ち。


 最寄り駅から聞こえてくる、電車が通り過ぎる音が聞こえてくれば時刻は7時32分。荷物を整え制服に着替え終えたら、大体45分で静かな部屋に行ってきます、と小さく告げた。

 乗り慣れた自転車で学校に向かう時間が好きだ。変りばえのない毎日でも、ほんのすこしだけ変わっている景色を見ながら風を浴びることができるから。今は葉桜が桜吹雪を降らせる時期だ。

 雑多に置かれた自転車が並ぶ駐輪場に停め、一足早い登校。時間ぎりぎりに来る生徒が多いようで、校舎の中はとても静かだ。教室には数人の生徒がちらほらいるぐらい。


 後ろから二番目、左から二番目の席。がらんとした机にカバンを置こうとしたとき。

「おはよう」

 元気があるわけでも控えめでもなく、無味乾燥の、それこそ興味がないけど義務的にかけたようなあいさつをしてくれたのは隣の席の女子生徒。質素におうむ返しをしては、席に座って机の中に教科書やノートを入れる。


 隣の席の女子――和泉(わいずみ)純令(すみれ)――は変わっていた。

 グループを作りたがる他の女子たちとは違い、一人でいることが多い。目立つようなことはせず、そのいい例として何かに劣っているわけでもなければ何かに優れていることもなかった気がする。変に人を避けることもないが、つるもうとはせず、最低限のコミュニケーションしかとらない。特別かわいいわけでもなく、どちらかというと地味な印象を抱くが、顔立ちは整っている方だと隣の席から見てそう印象を抱いている。

 それだけなら、変わっているとは思わなかっただろう。ただ、これはそんな気がする、というだけで彼女が変なことをしているという行動は何一つない。なんとなくといえばそれまでだ。


 それは軽い会話を交わすときに強く感じる。目を見て話してくれるが、その目が自分を見ていない。他の女子生徒と話すときも笑ってはいるが、まったく感情がない、と受け取ってしまう。目が死んでいるわけではない。まるで表情の仮面を被っていて、それが自分にとって無機的な仮面だと見えてしまっているだけだ。

 あの目は何を見ているのか。そう不思議に、気味悪く思えたのもいつのことか忘れてしまった。平凡するぎる決まった毎日の中に溶け込んでしまっていた。



「とうとう今年だよな」

 一限目の現代文が終わった後、意気揚々とクラスの友達の(あきら)が突飛な話題をぶつけてくる。空いている前の席に座って、こちらの机に肘をついた。

「なにが?」

「あれだよあれ、世界滅ぶって話」

「それが本当だと思えないけどな」


 1999年。あと一年でとある神様がこの世界に降り立ってから2000年目の時を迎える……というだけでいろいろ根も葉もない噂がされている。それも世間、この社会中でだ。


 4桁目の数字が2になるだけで会社が書類やパソコンの記録云々で大忙しになるのは割とあるかもしれないと思うが、いくらなんでも隕石が落ちてくるとか大震災が起きるとか戦争が勃発して核兵器が世界中に打ち込まれるとか……それこそ人類滅亡、世界破滅するという話だ。

 さすがにそれは言い過ぎだろうと苦笑した覚えはある。クラス中でもちきりはおろか、実家に住んでいる親までもが信じているのだから、何を根拠に、と思ったりする。


「でも"移住計画"はニュースでやってるだろ。保存カプセルだって実用段階に入って、いま候補者を抽選で募集してるとかなんとか」

「テレビの話はいまいち信じにくいっていうか。考えてみろよ、人が勝手に神話上の神様を作って、よくわかんないけどそこから一年目って年月を決めたわけだろ?」

「まぁ、そうといえばそうだけど」

「別に世界が生まれてから2000年目迎えるわけでもないのに、偶然そんないきなり世界滅ぶってのは考えにくいと思う。そういうのってじわじわと蝕んでいくものだろ。昔あった地球温暖化とか、なんかそういうやつみたいなもので」

 自分なりの意見を率直に述べたのは間違いだったか、昭の反応は神妙なものだった。肩をガックシと落としている雰囲気を醸し出す。

「おまえってなんか、ロマンないよな」

「世界滅ぶことにロマン感じるほうが変だろ……」

 少し呆れ、小さく笑った。

 いろいろ噂したところで、なんだかんだ、あっけなく2000年を迎え、以降も文化や政経、生活水準が変わりつつも何一つ変わりない日々を送っていくんだろうな、と考えていた。


「ねぇ、こんな話信じる?」

 横から聞こえてくるはずのない、澄んでいるも淡々とした声が耳に届く。

 和泉……だよな。けどなんで?

 こんなしょうもない話に参加するような人ではないと思っていた。

「この世界が実は仮想現実で、コンピュータの中で私たちが生きているという説」

 え……、という困惑しか返せなかった。

 ただ彼女の底が知れない瞳は、そのときだけは別で。


「それで今年を終えた瞬間に、この世界は再起動される」

 オカルトオタクのように、ふしぎで魅力的な妄想を嬉々として話す人の目ではない。宗教に忠誠を誓った信者の目でもない。

「神様もご先祖様も、元々は現実世界の人間だったけど、地球問題で仮想世界に移住せざるを得なかった……」

 茶化すように笑っていたけど、ばかばかしいと冗談めかす目でもない。

「なーんてね。楽しそうな話をしてたから割り込んじゃった」

 何かを訴えているような瞳だった。

 それじゃ、と彼女は選択授業のため、教材をまとめて席から立ちあがった。

 和泉が教室から出ていなくなったのをいいことに、昭はボソッとつぶやく。


「あいつって気味悪いよな」

「そうか? ……まぁ、いまのは珍しいというか、びっくりしたけど」

「なんか、普通なんだけど、普通すぎるっつーか。普通もっとなんかあるだろって思うんだよな」

 どうやら先ほどの発言よりも、それをきっかけに普段の彼女について日頃思っていることを昭はいま思いついたように言っているだけのようだった。あの程度の会話では、冗談の一種に過ぎない。

「自分を出さない人なんてそう珍しくないだろ。知られたくない秘密の一つや二つ、俺らにもあるんだしさ」

 遠回しに和泉をフォローしつつ、その場の空気と仲を保った。



 放課後は必ず生徒会室に顔を出さなければならない。ぼくも役員の一人なので、学校行事の企画運営の打ち合わせや今年入ってくる後輩のことも考慮して生徒会費の予算編成や決算書作成といった仕事がある。とはいえそこまで忙しい時期ではないので、すぐに解散できた。

 下校しようと廊下を歩いていた時、美術室のドアから和泉の姿が見えた。ふと足が止まり、様子を覗いてみる。

 そういえば和泉は美術部だったな。確か部員が2,3人程度と少なかった部活だ。今日は和泉一人だけのようだ。それは無意識だったのか、ぼくは美術室の中へ踏み入れていた。


「え、平田……?」物音に気付いた和泉は筆を止め、半ば驚いた顔を向けた。そこで自分の行動が間違いだったかもしれないと今さら気付いた。

「たまたまここ通った時におまえ見かけたから、なんつーか、どういう絵描いてんだろうなって」

 誤魔化して、彼女の書いている絵をのぞき込む。


 自然の風景だとは思ったが、よく見ると餓死して骨だけ残った死骸のように錆びた鉄骨やぼろぼろのコンクリートがむき出しになった廃墟に緑が侵食された中、生命の力強さと無機的で冷たい不純物とが平等に恵みを与えるかのように木漏れ日が差し込んでいる。

「あ、ごめん。邪魔だったよな」

「全然。なんなら見学する? 生徒会の視察って体でね」

「ただの会計だけどな」

 軽く笑い、ちょうど終えたらしいその絵を取り外し、空いたイーゼルに製作途中の油絵が描かれた画材を乗せる。途中とはいえ、その絵も力強さが感じるも、触れればスッとすり抜けえそうな儚さというか、繊細さがあるように見える。精巧な絵、といえばいいのかわからないが、かなりうまい。


 引き続き彼女が描いている様子を見る。真っ白な、何もない世界に彩られていく様はまるで命を吹き込んでいるかのようだ。その絵だけでも魅力的に想えたが、それ以上に、人の真剣な表情というのはここまで引き込まれていくものかと錯覚してしまう。ちょっとやそっとでは微動だにしない、何かとても大きな存在を感じていた。

 それがとても惹かれ、恐れ、気まずくなった。あのさ、と勇気を出して声をかける。

「どうしたの」

「さっきの話さ。その、現実が実は仮想ってやつ」

 こんなときに何を。そう思ったが、和泉は嫌な顔一つせず淡々と答えてくれた。


「えっと……あぁ、あれね。映画で知ったんだ。"ラスト・モーメント"。少し古い作品だけど、今の時期にぴったりじゃない?」

「まぁ、そぉ……だな」

 知らないタイトルではなかった。医療技術の発達による長寿命化と豊かな生活圏の増加による人口爆発。それによる環境問題と社会問題の危機を打開するために、選択性発症型の人工ウイルスを秘密裏に世界中に散布し、自然淘汰的に優秀な人類を残していく。そんな中で繰り広げられるヒューマンドラマを題材にした作品だ。

 その映画の一つの場面に、人間の脳をコンピュータとシンクロさせて電脳空間で活動できる取組を行っている研究者が登場し、ウイルスに侵された妻をどうにかして生き延びらせるために、機械の中で生かそうとしたという。そんな半ば狂ったような話があるようで、ラストは人工ウイルスの突然変異で人類のほとんどが死に絶えてしまい、研究者とその妻の電気信号だけが機械の中で発信し続けているというネタバレを和泉は少しだけ嬉しそうに語った。


「平田はどう思う? この世界のこと」

 スケールの大きい話をするのが好きなのだろうか。ちょっとだけ間をおいては、

「知ったことじゃないし、どうでもいいって思ってる。けど、なんだろうな。毎日が不気味なくらい平和で何もなくてさ、それこそ和泉の言う通り、この世界は虚構っつーか、周りの奴らも俺も、実は何もないんじゃないかって……なんつってな」

 話している途中、なんてバカバカしいことを話してるんだと、急に恥ずかしくなった。案の定、和泉にはくすりと笑われてしまった。

「笑ってんじゃねぇよ。今の誰にも言うなよ」

「言うわけないじゃん。平田の弱みとして利用するね」

 にひっといたずらな笑み。それにドキッとしてしまったとはいえ、このやろう、と思い、何か仕返しでもしようと話題を変えた。


「けど、和泉があんなオカルトを信じるとは思わなかったな」

「平田が思ってるほどそんな真面目じゃないよ。バラエティ番組だって見るし、ゲームも好きで、休みの日は深夜の3時までやっちゃうくらいだし」

「それは意外だな」と思わず吹き出した。

「あ、笑ったな」と冗談めかしてむっとした表情を彼女は向けた。そして、同じようにぷっと笑い返す。


「なんか、平田とこうやって話すのはじめてな気がする。隣同士なのにね」

「だよな。けど和泉って思ったより話せるんだな。そこ意外だった」

「意外ってなにさ」と持っていた絵筆をこちらに突き出してくる。あぶねっと咄嗟に引き下がると彼女はまたけたけたと笑った。こんなに笑う彼女を見るのも初めてで、意外だった。


「ありがとね、"空っぽな"私と話してくれて」

 唐突に重みを感じる一言に、思わず聞き返してしまった。

「どういうことだよ」

「陰で面白みがなくて、何もない人って周りから言われてるんだよね。あっちは気づいてないみたいだけど。確かにその通り中身も何にもないけどさ、私もそれなりに振る舞おうと頑張ってるんだよって話」

 あーあ、と他人事のようにあきれ返る。体を上下に揺らし、古い木材の椅子をカタカタと鳴らす姿は、子どものようにもみえ、一瞬だけかわいらしいと思ってしまう。


「もっと自分を出せば友達できるだろ。今の俺みたいに話せば問題ないと思うけどな」

「そうかなぁ」

「やってみなきゃわからないだろ。中身ないってことないんだしさ」

「……平田さ」

 このとき。

 声色が妙に深みがあり、感情がにじみ出ていた。気がした。


「世界が本当に滅ぶとしたら、最後の日はなにする?」

 突然何を。けどありきたりな質問。

 来ないと思うけどな、と思いつつ、そうだなと少し考えた。

「大切な人と最期を迎えたいよな。年末年始みたいにさ」

「結局いつも通りってことじゃん」

「そうか? そういう和泉はどうなんだよ」

「私はそうだね、……絵を描くかな」

 変わらない日常の景色を、日の沈みと昇ってくる白磁の月を、夕焼けと星空が混じる光散乱が描いた底なしの海を、別々の美しい世界が入り混じる瞬間を、ここから見える街並みと共に忘れないようにね。そう彼女は夕日に溶ける外を眺めながらつぶやいた。

 そっちこそいつも通りじゃないか、と言うと、そうだね、とさびしげに笑った。この瞬間こそ、彼女の本心だろう。


「その絵をさ、最後の瞬間だけでもいいから、好きな人に見てほしいんだ」

 独り言のように言う彼女の横顔は夕日のせいか赤く染まっており、それがとても美しいと思えてしまった。少し高鳴った胸の音でも聞かれたのか、このよくわからない感情を取り消されるように、すぐさま自分のことだと思ったでしょ、とからかわれた。呆れつつも笑い返したが、そのときの彼女の笑顔もやっぱり心から笑っているようで、けれどとても寂しそうだった。あきらめきったような、悲しげな色が見えたぼくは、和泉のことが気になるんだと、はじめて自覚できた。

「ありがとうね」と呟いたように彼女の口から聞こえたのは気のせいだったかもしれない。それは沈む光と共に闇に飲み込まれていった。



 次の日、和泉は欠席していた。最初は風邪なんだろうと変に思わなかったが、さすがに一週間以上学校を休むのはただ事じゃないのでは、と感じ始めていた。

 もしかして、あのときの会話がきっかけで……。理由なく休むとそう考えてしまうのが自然だった。

 二週間後の今日。明日から大型休暇を迎えるので、少しばかり浮足立ってはいた。とりあえず入っている生徒会も活動は休止だ。これを機にぼくは担任に住所を訊き、プリント類を届ける目的で和泉の家に尋ねる。


 学校から歩いて25分と、やや遠めの距離。質素な家だ、というのが第一印象だった。鉄柵があり、中に小さな庭がある白壁の一軒家で、年季も真新しくもない。まるで本人を見ているような感覚だ。

 石門を過ぎ、石畳みの階段を上った先。インターホンを鳴らしても誰も出てくる様子すらない。ノックしても同様だ。好奇心でドアノブを掴むと簡単に初めての客人を迎え入れてくれた。

「開いてんのか」とつぶやき、本当はいけないと思いつつもその中に一歩足を踏み入れた。

 おじゃまします、と少し響くくらいの大きな声でいってみる。物音ひとつ聞こえない。部屋も小ぎれいで、ニス塗りの木材の床も光が反射するくらいきれいだ。それは本当に住んでいるのかと疑ってしまったほど。


「和泉ー、いるかー?」

 おそるおそる廊下を進み、ダイニングやリビングへと顔を覗かせる。出かけているのだろうか。

探していくうちに、和泉の部屋だと思わしき一室にたどり着いた。

 ノックしても返事がない。嫌に静かだ。怒られるだろうな、と思いながら、慎重にドアを開けた。


 いない……。

 やはりここも小ぎれいだが、年頃の女の子の部屋にしては質素な気がする。社会人になった親戚の姉さんの家に行った時に見た個室と似た何かを感じる。

 本棚には教科書も丁寧にしまわれていたが、とても高校生が読むとは思えない専門書も混じっている。ほとんど外国語の文字だ。読めるものがあるとしても生物電気化学やら分子生物学といった、よくわからない辞書みたいな厚書ばかりだ。あいつはやっぱり変わっている。

 また後日伺おう、とシンプルな黒い机の上にプリントを置こうとしたとき、クリップで止められた書類の束が机上の小さな本立てに挟まっていたのが目についた。

 こんなプリントもらったっけ、となんとなく気になったそれを撮って読んでみる。


「"移体計画"……?」

 よくわからないが、いろんな図表や数字が事細かく記入されている。決算? 研究開発実施予定? 評価報告書? 波及効果? 取引・案件情報?

 わけがわからないが、総合概要欄に書いてあることを目通してみる。徐々に理解していくにつれ、自分の顔色が悪くなっていく。しかし憑りつかれたように読むことをやめられない。


「おいなんだよ……なんだよこれ」

 読めば読むほど、信じがたく、具合が悪くなってきた。あいつの妄想で書いたものだったなら、どれだけよかったか。

「電子媒体である人類を……造られた肉体に接続するってことなのか、これ……!? それになんだよ、総合性人工地球関連(GAEA)機能性空間系システムの再起動って」


 10世紀周期で行われる"全世界の再起動"による、大量消去と大規模の更新。これによってこの世界で言う天変地異や大量絶滅等が発生する。全開より大幅に改善されてはいるものの、全く課題解決されたわけではなく、それ相応の影響をもたらすようだ。

 それを打算的に行われたことは、現実世界にあらかじめ適性のある人間を残し、不老不死の肉体のまま現実世界の再生および環境適応性の高いクローンの製造、そしてこの世界のメンテナンス。仮想世界から現実世界へと移り住み、肉体を授かる計画が、そこに書いていた。

 しかし、この書類を理解の範囲で読む限り、クローンの脳に電子媒体の常に流動している複雑系(のう)を移し替えることは相当難しく、拒絶反応や副作用が極度の確率で起き、クローンも電子媒体の人間も死に至る。


「信じらんねぇ」

 SFが過ぎる。きっと創作の何かにちがいないと思いたいが、それにしてはリアルすぎる。

 ふと、和泉との最後の会話を思い出す。

 あいつの言っていた冗談って、もしかして本当のことだったのか……?

 けれど、これとあいつとどう関係が――。

 机の引き出しがわずかに開いていることに気付いた。そこにノートが入っているとわかる程度のすき間だ。ここにしまうからには、きっと和泉の踏み入れてはいけないところが書かれているのだろうか。

 取り出してみると、随分と古ぼけたピンク色のノートだった。


「日記……」

 嫌な予感がする。ドグン、と畏怖して脈打った心臓が拒否をしている。何もなかった、知らなかった。そう思い込ませて逃げるのもよかった。けれど、一生この拭えない不安を抱えるのも気持ち悪くて仕方がなかった。違うと今すぐ確信して、またいつものように退屈な日々に戻ってほしいと切に願った。


 ぱら、とページをめくる。一面真っ黒になるほどびっしりと書き込まれた文章量に圧倒されるが、めくっていくほどその密度はだんだん小さくなっていった。それに比例して丁寧だった字も殴り書き担っているのが分かるがそれでも和泉の字だ。飛ばし飛ばしで和泉の本当の中身を覗いた。




 適性があるため、私はこのまま残る選択を強いられた。

 若い女で、工学PhD.の資格を有し、遺伝子も脳の神経組織も適合性が高いためだという。嫌じゃないといえば嘘になる。かなり不安だ。責任が重すぎる。けど、全人類の未来が私に託されているのなら、断るわけにはいかない。これをチャンスに変えればいい。うまくいけば歴史に残るはず。大丈夫。私ならできる。なんとかなる。絶対に大丈夫!



 不老不死になるのは小さいころからの憧れだった。本当になれるとは夢にも思わなかった。正直、心が躍っている。常に健康体だし、頑丈になった気がしないでもないし、頭の回転もさらに速くなった。この体なら、今の環境でも十分に生きていける。なんだか解放された気分。最高。今日も頑張るぞ!



 専門外のことも勉強するのは正直そこまで興味ない。機械のいじり方なんてわかるわけない。けど時間は無限にある。やんなきゃみんなこの世からいなくなる。やるしかない。がんばれ私。がんばるんだ。あっちの世界でも最初から人類を導いて世界の構築をやり直しているんだ。一人じゃない。まだまだがんばれる。



 ふざけるな。生命倫理の冒涜だ。

 不老不死にした理由が繁殖のため? 人を女を何だと思っている。

 私だって人権ある一人の人間だ。動物じゃない。それ以前にこれじゃあ家畜よりひどい。

 絶対に私の卵子を使わない方法でこの環境に適応できる健全な人間を造ってやる。



 こんな状況になれば倫理も何もなくなるが、こうしてクローンをつくるのはやっぱり罪悪感を感じる。神様に、神に相当することに手を出すと罪の意識を芽生えさせるよう人間は設計されているのかもしれない。

 けれど、造った人間はやっぱり愛着がある。まだ臨界期の6週目程度で、歯と耳が生え始めたばかりだが、一人一人が愛おしい。そう思えるのも、神様から与えられた母性としての本能があるのかもしれない。

 大切に育てていこう。あの子たちが人類の未来を救うカギになる。



 なんで死んだの? 人の形までは上手くいったのに。すぐに死んじゃう。やっぱり人工じゃまともに育たないの? そんなはずはない。嫌だ。生き続けてよ。なんで言うとおりに生きてくれないの。



 誰かを愛することも愛されることもないまま、機械の手で引き抜かれると、心のどこかも、大切な何かも一緒に引っこ抜かれて、穴ができる気がしてきた。私の覚悟に答えてくれたのが幸いか、不老不死の卵子を使うことで、クローンの製造はうまくいきそうだ。あと何人分だろう。どうして私じゃなきゃいけなかったの。せめて男性にも不老不死の適合者がいればまだ人間としての尊厳を保てたのに。これじゃあまるで、



 100年まではなんとか生きてこれた。けど課題がまだ山積みだ。ふざけるな。ロボットもいるけど全部ひとりでやれるわけがない。私が頑張っている間に全人類はこの憎たらしい機械の中でのうのうと理想の生活や人生を送っているのか。憎い。



 200年迎えた。寂しい。



 300年迎えたあたりからなんだか何をやっても退屈に感じてきた。刺激がほしい。



 もう感情というものは不必要だと思えてきた。逆にここまで生きてきてまともな精神でいられるだけ我ながら尊敬する。



 600年過ぎてやっと、あっちの世界に一時的に介入できるようになった。もう怒る気もなくなっていた。軽いシミュレーション形式とはいえ、まともに人を見るのは本当に久しぶりだ。けど短い。せめてコミュニケーションを。



 ここまで最悪なことがある? なんで? 電子媒体だよねあいつら。なんで私の知っている人がもう消去されているの。なんで私の存在が神話にすらなってないの。そりゃ相当の精神力がないとやっていけなかったかもしれないけど、これじゃあ成果につながらないだろうが。



 ちがうあのひとたちはわるくない。紡いでいった電子人間だ。歴史を繰り返すみたいにまた愚かなことをしてどんどん忘れ去っていったんだ。

 もうやだ。どうしよう。



 1000年。コンピュータの都合で再起動をしなければならない。100年ごとに区分別でやっていたが、やはり一回シャットダウンしなければいけないらしい。改良したプログラムでなんとかなるだろうか。失敗すればこの世に私ひとり。別にいいかな。けどさびしいから生かしてはおきたい。この不満をぶつけるためにも。称賛されるためにも。無名だとしても、知らしめてやる。



 ダメだ。脳に支障をきたす。やっぱりアバターで、いやアバターならどれだけマシか。AIだ。私の腕次第だけど、こっちの言うことを聞いてくれるかさえ分からない。けどそれでも動かすしかない。



 結局触れも雰囲気も体感することもできない。神様の視点ってこんな寂しいんだね。けどこころが段々マシになってきたかも。



 うそだといって。クローンのほとんどがしんだ。なんで。



 精子バンクも尽きそう。けど私の遺伝子を使った精細胞の作製には間に合った。けど誰かの電気信号がいる。なんでかまだわからないけど、やっぱり元が人間の神経信号由来の電気信号には、何かしら特別な信号や波長があるのでは。誰か一人でも私の存在に気付いてもらって話を信じてもらわないと。どうすれば。


 もうやだ。一人じゃ無理がありすぎる。くたばれ。どうでもいい。



 さびしい。感情とかしんでたはずなのに、ヘンなときにいやな感情がわいてくる。



 まずい。もうすぐ2000年を迎える。二度目の再起動、今度こそうまくやらなきゃ。けど前回より早めの時期に行わなければならない。3半期の前半までに実施しないと首脳機能に損傷をきたす。それは避けなきゃ。それまでには誰か一人でもこちらに連れてこないともう二度とGAEAシステムに介入できる保証はない。そうなったらもう、移体計画は失敗に終わるかもしれない。それだけはダメ。アバターでの介入も限度があるし、不具合も起きる。



 早く。ここまで生きておいてぜんぶムダにしたくない。



 いままで憎んでいてごめんなさい。グチってごめんなさい。もっとがんばるから。この努力を無駄にさせないでください。



 このままじゃクローンが。お願い。早く。信じて。



 もういいや。あいつらのせいだ。禾ムはわるくない。信じないし気づかないあのバカ共の自ごう自とくだ。矢口らない。



 ねぇなんで。ごめんなさい。あやまります。ワタシを見捨てないで。

 なんでもするから、にんげんやめてもいいから。

 しなせて。



 おねがいだから。ねぇ。



 しねない。なんで。こいつらはしぬのに。なんでわたしだけ。



 だれかわたしにきずいて。



                     たすけ て



「ひっ」

 気持ちの悪い虫を拒絶して払うように、日記を手放した。

 胃液ごとこみ上がってきた純粋な恐怖は指先までも震わせる。脳内に雑音が走り、読んでいるこっちまでもが気がどうにかなりそうだった。


 これが正しければ、この世界が今週中に再起動する、ということは……滅ぶ?

 待って、そもそもこの世界が偽物? ぼくは生身の人間だと思っていた。けど違った。何もない。形として何も形を成していない。

 だとしたらこの記憶はぼくのものなのか。それすらもあやふやになっていく。


「ダメだ、ダメだダメだ……自分を保て。しっかりしろ」

 そう言い聞かせ続け、パニックを防ぐ。息を深く吸っては吐き、長い時間をかけて落ち着ける。こみ上がってきた恐怖を飲み込み、もう一度、資料と日記を視界に映した。


「じゃああいつは……元々あった世界で、ずっと……ひとりで人類(おれたち)のために」

 想像をはるかに超える時間。計り知れない責任をたったひとりで背負って、誰にも共有できることなく孤独で闘い続けてきた。どれだけ弱音を吐いたのか。どれだけ涙を流し、助けを求めたのか。どれだけ狂い、それでもあきらめなかったのか。

 この書類は、この日記は。和泉なりの精一杯のSOSなのかもしれない。

「じゃあいなくなったのは――っ」


 反射的に体が動いていた。それらを握りしめ、家を飛び出し、既に暗くなりかけた街並みを駆け抜ける。

 何かにつまずき、紙を散らかしながらひじや膝、肋骨から変な音と衝撃を感じた。じわぁ、と痛いのか熱いのかわからないのがにじんてくる。構わずぼくは書類をぐしゃりとぜんぶ拾い、上手く動かない体に鞭を打つ。右頬が熱い。呼吸しにくい。


「ぜぇ……っ、ぅげほっ……ぃハァ……ハッ……ハァ゛ッ!」

 無我夢中で走った先は学校だった。休日とはいえ、ぎりぎり遅くまで練習している運動部と休日出勤しては残業している教員を除けばほとんど帰っている。けど玄関口や廊下は薄暗く、一部の通路は真っ暗なところもあった。構わず、走り続けた。

 角を曲がり切れず、雑に掃除された後の廊下は多少乾いていようと水で滑りやすくまたも関節と頭を強くぶつける。痛い。けどそれどころじゃない。早く起き上がれ……!

 息を切らし、体も疲れ切っているが、今はそんなことはどうでもいい。


 どうすりゃいい。

 どうすればあいつを助けられる。

 あいつのいた場所に何かしらないのか。

 教室の机には……クソッ!

 じゃあ美術室には――。


「……あった」

 和泉の痕跡――彼女の描いていた絵。夕日が沈み、白磁の月が光を灯し始める、普段出会うことのない陰陽が顔を合わせ、炎に焼ける青空も何もかも飲み込む深淵の海がカオスに、しかし秩序だって彩る、昼夜二つの世界が一つになる瞬間――今この時、窓から見える景色と同じ絵。

 思えば、あいつはいろんなところでメッセージを残していた。あのときだけじゃない。もしかしたらその前の日々だって。

「だとしてもわかりづらいんだよ」

 衝動的に動いてしまったが、冷静を取り戻すと具体的に何をすれば和泉は救われるのかわからない。

 けどあいつは神の視点としてこちらを観ているはずだ。それが本当なら――。


 ――すぅ……。

 

「おい和泉ぃ!! 聞こえてっかぁーっ!」

 檻をこじ開けるように窓を開け、今まで一度も出したことのないような大きな声を、薄明に向けて放った。

「俺だ! おまえの右隣の席の平田勝成(ひらたよしなり)だァ!」

 グラウンドの夜練に励む野球部がこちらを観ている気がする。おそらく職員室からも聞こえているだろう。時間はない。

「こんの、馬鹿野郎が!」

 なんで一人で抱える。

 どうして直接寂しいって言わないんだ。

 どうして苦しいって、つらいって。どうして助けてって誰かの目の前で叫ばないんだ!

 毎日隣に座ってたじゃねぇか。いつでも頼れたじゃねぇか!

 なんでそういうときだけ強がってんだよ。へらへら笑ってるんじゃねぇぞ!


「助けてほしいなら助けてって言わねぇと! 伝わるもんも伝わらねぇだろうが!」

 それができたら苦労しない。それはわかっている。そんな単純なことができない位、あいつの心も体も弱り切っている。それもわかっている。あいつの気持ちの苦しさは想像できないのも承知の上だ。

 けど、それでも――。

「俺がおまえを! 和泉純令を助けてやるから! おまえのツラいこととかっ、この恩も知らねぇ中身空っぽの世界も時代も! ぜんぶ終わらせてやるから!」

 だから。そのあとを言いかけた時、後ろからドアの開く音と、複数の足音が聞こえる。


「誰ですかっ、校舎で叫んでいるのは」

 教師の声。ざわざわと次第に大きくなる野次馬の声の数々。そのなかでひとつ、聞き覚えのある声も混じっていた。

「平田……!? なにやってんだよおまえ!?」

 昭の声だ。驚愕と愕然が混じり、異物を観るような目へと変わり果てていく。他の生徒や先生も同様だ。それを一瞥したぼくは、乾いた鼻笑いを吐いてしまいそうだった。


 本来だったら、こんなとち狂ったこと、ぼくはもちろん誰もしないだろう。だけど、和泉の苦しみと比べたらそれどころじゃない。一刻も早く、あいつのもとに行かないと、純令はおろかこの世界だって危ないかもしれない。

 これは一生に一度の賭けだ。プライドへし折ってでも引き下がれない。


「純令を……和泉を迎えるんだよ! 助けを求めても理解してくれないどころか気付けないまま、たったひとりで闘い続けるって、そんなの悲しいじゃねぇか……!」

「はぁ? おまえ何言って――」

「今の時代を終わらして次につなげるために、和泉は誰かの助けをほしがってるんだよ。俺じゃあ力になれるかわかんねぇし何も起きねぇかもしんないけど、それでもこうやってあいつに伝えねぇといけないんだよ!」

「わけのわからないことを言ってないで、いいからこちらにきなさい! あなたどれだけの迷惑をかけているかわかっているんですか!」

 腕を無理やり教師に掴まれたとき、空が一気に暗くなった。生暖かくも肌寒い、明らか空気が変わったと肌で感じる。

 窓の外を見上げると、空は暗い鈍色に覆われており、瞬間、強風と豪雨が巨人の腕のように美術室の中へと手を伸ばした。その風圧と雨粒の勢いは一同の体を崩すほどだった。


「なんで急に降って……っ、そうか!」

 すぐさま起き上がった俺は、解放された隙をついて美術室から出ていく。待ちなさいという声は聴き捨てた。

 屋上へと飛び出し、押しつぶしてくるばかりに風雨に投げ飛ばされそうになる。傷だらけの体にこびりついた砂や血も流れ落ちていく。

 そのとき雷鳴が静香に鳴り響いた。それは暗雲の中で蠢く竜の唸り声にも聞こえた。


「よくわかんないけど、答えてくれたってことでいいんだろ?」

 この体は電子媒体。天から鳴り響く雷の先にはおそらく――。

 ぼくはずぶぬれになって重くなった体を転がるように動かしては鉄の梯子を上る。その先は天への道をつなぐ柱――避雷針――がある。


 いつも通りの自分がこんな俺を見たら、狂人扱いするだろう。今の俺だってそう思う。どうかしていると半分笑っているほどだ。根拠もないのに、好きな人のメッセージ程度で信じ込んでしまったんだから。

 体を支えるように金属の柱に手を付け、溺れそうな雨がのしかかりながらも、なんとか呼吸をする。


「……この時代もこの世界もお別れってことだよな」

 仮想の電脳世界とはいえ、この世界の、この時代に両親から生まれ育った。今まで食べてきたものも、できた友達も、思い出も全部、嘘偽りではない、紛れもない本物だ。元々は、先祖は本物の人間の神経細胞から還元された電気信号なのだから、作られた存在ではない。

 けどいつまでも平凡な日々が続くわけではない。時代の変わり目はなからず平等に来る。それが崩壊の時であろうと、人類は生き延びてきた。それは誰も知らないところで頑張っている人がいるからだと知った。


「死ぬかもしれないけど、ちゃんと歓迎してくれよな……純令」

 世界が漂白する。目が眩むほどの白光は全身に駆け巡る一瞬の衝撃と熱と共に訪れた。




 アラームは毎朝7時に鳴り響く。それを体で覚えているぼくはそれを止めて電気とテレビをつけようとしたが、いつもの場所にアラーム時計も電気のスイッチもテレビのリモコンもないことに気が付いた。

 窓はすでに開いており、白いカーテンが風の流れによってゆらゆらと波打っている。そこから差し込む日の光は、今日という日を迎え入れる挨拶をしにでも来たようだ。


 しかし知っている記憶はそこまでだ。部屋の間取りも色も空気もまるで違う。色とりどりの古ぼけた本が詰まった本棚。金属のクローゼット、余計な装飾もないシンプルなデスク……質素でつまらない部屋だが、その抱いた感情に対しどこか懐かしさもある。

 これが本当の現実だと知るには、数が空くないと思う頭に反し、あまりにも多くの情報が目に飛び込んできていた。


 ぼくの傍には、白い服をまとい黒い髪を後ろへ一つに結った、若くも大人といえる年齢と判断できる女性が愛しい赤子を見るような目を少しの間だけ向けていた。顔立ちは整ってはいるもそこまでかわいくなく、というのも自分をかわいく見せようとする化粧もしておらず、地味だという印象の方が強い。それに肌も白磁のように白く、その目は疲れ切っているも、心配から解放されたような、安堵と歓喜、そして愛おしさにあふれていた。


 すぐにわかった。この人が……。

 はじめまして、というべきだったに違いない。だけどぼくにとっては腐ってもいつも顔を合わせる仲だ。ゆっくりと起き上がったぼくは、いつもの調子で震える口を開いた。


「おはよう」

 あまりにも弱弱しく、か細い声で、まるで自分の声じゃないようだった。生まれて初めて出したような声に、思わず頭の中で驚きつつも笑いそうになったが、先に笑顔になったのは彼女の方だった。

 馬鹿じゃないの。ぷっと笑った彼女はそう言った。


「……地球(こきょう)へようこそ、平田」

 そして、ありがとう。

 意志に従うことなく流れる涙に構わず、彼女はぼくを抱きしめた。包み込まれるような、大きな体。嗚咽とも、笑い声ともいえるかわからない震えは、無味乾燥なそれではなく、心から感じるような温かさがあった。


平成の間、ありがとうございました!

そして令和も何卒、よろしくお願いいたします!

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