ありがちなプロローグ
どうもはじめまして鼬一郎です。
初投稿ですので誤字・脱字・不自然な流れがあるかと思います。ご指摘いただけると幸いです。
・・・・・暑い。
汗がにじむ寝床から起き上がり窓を開ける。
もう太陽が西の空を明るく染めていた。
「もう起きなきゃな・・・」
正直、身体は覚醒しきってないが汗でベトベトなまま寝ているのも気持ちが悪い。
身支度を整えると朝食を摂る為、台所へ向う。
ドアノブに手をかける直前、なにやら芳しい香りが鼻孔を擽る。
はて、この家には俺一人しかいない筈。
「泥棒か?」
「ひどい言いようですね」
「ごめんごめん、あやまるからまずナイフを置いてくれ」
青い果実とナイフを持ってにじり寄る少女を宥めつつ卓に着く。
「ああ、それと庭のやくそうを使わせていただきました」
「そんな大層な物でもないけどね」
さっきの香りはこの薄荷茶だったらしい。
薄荷の清涼感に目を覚ましつつ、作り起きのクラッカーにマーマレードを塗り口へと運ぶ。
「セリカさんのマーマレードは絶品だね」
「それを作ったのはわたしです」
これはマズったか?少女の瞳が若干にごる。
「へぇ、マリーちゃんも俺の胃袋を掴みにきたか」
「からかわないでください」
フイと顔を逸らす彼女の頬は少し緩んでいる。どうやら誤魔化せたようだ。
食べかけのクラッカーを頬張り薄荷茶で流し込む。
この可憐な少女を眺めるのも良いがそろそろ開店の準備をしなければ。
まずは店先の掃除からだ。
窓から差す朝日に目を薄めつつ俺の一日は始まった。