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この異世界でも、ヤンデレに死ぬほど愛される なろう版  作者: 緋色の雨
第三章

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エピローグ

 ラクシュ王女殿下のデビュタントにふさわしいドレスを作った後。俺達はウォルト国王陛下からお褒めの言葉を賜った。

 いわく――王女にふさわしいデザインのドレスをよくぞ作ってくれた。しかも、それをラクシュに喜んで身に着けさせた手腕は見事と言うほかはない。よって、褒美を使わす。

 とまぁ、そんな感じだ。


 ウォルト国王陛下としては、愛娘がヤンデレに目覚めたのは仕方がないとしても、マゾの変態になってしまったのは計算外。

 ノーマルに戻って欲しいと願っていたところ、俺の制作した清楚なドレスを喜んで身に着けてデビュタントを果たした娘を見て安心した――と言ったところだろう。


 実際は、思いっきり卑猥なドレスだったので、若干後ろめたいのだけれど……周囲から見て、清楚なドレスでデビュタントをこなしたという事実こそが重要。

 俺は立派に客の要望を満たしたといえるだろう。

 ……たぶん、きっと。


 とにもかくにも、俺達はブラッド伯爵領のグラン島へと舞い戻った。

 ローズはブラッド伯爵である母親のメアリーさんに、そしてシルフィーはギルドにあれこれ報告するために別行動。俺とクラウディアだけが、ウェルズ洋服店に戻っていた。


「ねぇ……ご主人様、これからどういたしますか?」

 ウェルズ洋服店にある俺のアトリエ。俺と新しい洋服のデザインをあーだこーだと話し合っていたクラウディアが、おもむろにそんな言葉を発した。


「……これからって? 王都に行っていたあいだに仕事が溜まってるから、今日はこのまま洋服のデザインを決めるつもりだけど?」

 だから、えっちぃことをしている時間はないぞ? なんて感じで視線を向ける。途端に、クラウディアは「ち、違いますよっ」と真っ赤になった。

 うん。クラウディアはやっぱり、恥ずかしがり屋のスキルが発動してた方が可愛いな。なんてことを考えながら、「じゃあなんの話だ?」と問いかけた。


「夢の話です。ウェルズ洋服店は少しずつ大きくなって、もう潰れる心配はありません。ご主人様も、今回の一件で、ずいぶん有名になりましたよね?」

「そうだなぁ……」

 今回の一件で、俺は当面の目標を叶えた。


 ラクシュ王女殿下は、ローズに肩入れをしてくれると約束してくれた。それによって、いきなりケイオス伯爵家の嫌がらせがなくなることはないだろう。

 だけど、それでも、ローズやブラッド伯爵領の安全は格段に上がったといえる。


 そして、ラクシュ王女殿下にデザインしたドレスは、この国の有力者の大半が目にしたばかりか、ウォルト国王陛下からお褒めの言葉を賜るほどの評価を得た。

 いまの俺の夢。ローズやクラウディアと共に、服飾の道を歩むという夢は叶いつつある。だから、これからどうするのか――という問いかけ。


「そうだな……まず、服飾の道はこれからも歩み続ける。ちょっと有名になったからって、満足した訳じゃないからな」

 そもそも、俺が評価されているのは、前世の知識によるところが大きい。もっともっと勉強して、俺だけのエッチな服を……じゃなかった、素敵な服を作りたい。


「それから、俺達の生活環境を守るのも重要だな」

 ブラッド伯爵領の件もひとまずは安心だけど……ケイオス家のアレスはヤンデレ。割に合わないから、手を出してこない――なんて常識は通じない。

 いつまた強引な手段に打って出てくるか。次のちょっかいを出されるまでに、ブラッド伯爵家に力を付けてもらう必要があるだろう。


「やることがたくさんありますよね。ウェルズ洋服店も人手不足が深刻です。いまはサーシャが頑張ってくれてますけど……」

「人材の教育もしなきゃ、だよな」

 ウェルズ洋服店は大きくしたいけれど、他のお店から引き抜くのは色々とよろしくない。そうなると、服飾の道を目指す者を一から育てる必要がある。


「そういえば……」

 俺はウォルト国王陛下からもらった褒美のことを思いだした。

 もらったのは宝珠。

 マジックアイテムで、その効果は範囲内のヤンデレスキルを抑制するというものだ。

 王城にあったのは、すべてのバッドステータスの抑制と、他人に悪影響を及ぼすスキルの封印なので、能力的には劣化版。そして、範囲も大きなお屋敷一つ分くらいだ。


 ちなみに、王城に設置されている品は国宝級だが、もらった宝珠と同規模のヤンデレ化耐性付与や、ヤンデレ抑制のマジックアイテムは、屋敷一つ分くらいの値段。

 迷宮のレアドロップとして手に入るそうだ。


 俺のスキルでヤンデレ化したものに服飾のノウハウを教えていくのはヤバイとか思ってたんだけど……宝珠を使えば、比較的安全になるんじゃないか?

 そんな風に考えていると、アトリエの扉がノックされた。


「……誰でしょう?」

「サーシャじゃないことだけはたしかだな」

 あの寝取られに目覚めた少女は、相変わらずノックをせずに部屋に入ってくるからな。なんて益体のないことを考えつつ扉を開けると、そこにはローズの姿があった。


「えへへ、ただいま。ユズキお兄さん」

「おかえり、ローズ」

 ローズの家はあくまでお屋敷で、ここにローズの部屋はない。けれど、俺の元に帰ってきたのだと言わんばかりに抱きついてくる。そんなローズを抱き留めた。


「お帰りなさい、ローズ様」

 クラウディアは俺の服の袖を掴みつつ、ローズへと微笑みかける。

 不思議なことに、クラウディアはローズに対しては、あまり嫉妬とかしないんだよな。夜とかに対抗心をむき出しにすることはあるけど……それくらいだ。

 他の相手だとこうはならないんだけど、命の恩人って言うのが関係してるのかな。


「メアリーさんへの報告は終わったのか?」

「うん、ラクシュを味方に付けたって言ったら、凄く褒めてくれたよ。もちろん、ユズキお兄さんのことも。植物紙や生地の件も、可能な限り研究資金を回してくれるって」

「おぉ、それはありがたい」

 服飾の型紙やデザインにも紙は使うし、植物紙は言わずもがな。それらが普及してくれれば、非常に色々と楽になるのは確実だ。


「それでね。ユズキお兄さんやカリンの知識を、ブラッド伯爵家で雇った職人達に伝授して欲しいんだけど……ユズキお兄さんはどう思う?」

「……それは、かまわないけど――」

 そのとき、まさに電撃が走った。


「クラウディア、さっきの質問だけど、答えが決まったよ」

 ブラッド伯爵領を豊かにしつつ、夢も叶えていく。そうして、それに必要な植物紙や、生地の生産の研究。そして、ヤンデレの抑制する宝珠の使い道。

 俺は新たな夢を、二人に向かって語って聞かせた。

 

 

 お読み頂きありがとうございました。

『この異世界でも、ヤンデレに死ぬほど愛される』はひとまず完結となります。

 といっても、第一部完的な感じです。

 ラストから予想なさっている方はいると思いますが、続きは漠然と考えてあります。

 ただ、第二部をどうするかについては現時点ではまったく未定ですので、追って活動報告かなにかでご連絡させていただく予定です。

 また、ノクターン版はもう少し続きますので、そちらもあわせてよろしくお願いします。


 作者の今後の予定ですが、まずは引き続きノクタ版の投稿。

 これが、来月(六月)の後半くらいまで続きます。


 また、今月(五月)末くらいに、無自覚吸血姫に書籍化続報と、なろう版のキャラ紹介をアップ。


 来月(六月)か再来月(七月)くらいに別の書籍化情報の告知予定。

 それに、無知で無力な村娘のキャラ紹介をアップと、異世界姉妹の閑話。

 その後くらいに、異世界ヤンデレ二巻の情報を告知。


 でもって、七月の投稿予定は――


*無知で無力な村娘の二章。

*無自覚吸血姫(タイトル変更予定)の三章。

*新作、仲間に見限られた俺と、家族に捨てられた公爵令嬢の辺境暮らし!(仮)の一章。

 >年下のお姉ちゃんと戯れる辺境スローライフ。

*新作、JKサクヤは異世界でユリに巡り逢う(仮)の一章。

 >孤独なJKサクヤが、異世界でちょっと変わった性癖の女の子に拾われる物語。


 以上の作品の投稿を予定しています。


 なお、無知で無力~と、仲間に見限られた~は既に書き終わっていて、JKサクヤはこの四日で1/4ほど書きました。(書籍化作業を合間にしつつ……)

 来月頭にJKサクヤを書き終えて、来月中に無自覚吸血姫三章を書き上げる予定です。


 ……最近、書籍化作業がありえないほどあるので、遅れたりするかも知れませんが。終わったら、既存のどれかの続きを、書籍化の状況に合わせて書く予定です。


 他にも新作で書きたいのはあるし、もちろん既存の続きも書きたい。更に言うと、ノクターンオンリーのエッチなファンタジーも書きたいんですが……さすがに時間ががが。


 ちなみに、異世界ヤンデレの二巻、表紙がかなりえっちぃ感じになりそうなので、いまから期待しつつ、本屋さんでレジに持っていく心の準備をしておいてください(ぉぃ

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2018年 7月、8月の緋色の雨の新刊三冊です。
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上記を含めた他の作品もよろしくお願いします。
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