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エピローグ この異世界でも、ヤンデレに死ぬほど愛される

 ――八つ当たりサンダーバーストをぶっ放し、非合法の奴隷商人とその部下を一網打尽にして拘束。ローズが甲板に待機させていた騎士達と合流して船をあっという間に制圧した。


 俺達は図らずも、女子供を誘拐して奴隷として売り飛ばしていた組織を壊滅させたのだ。


 だが……その代償はあまりにも大きい。


 青みがかった銀髪に、吸い込まれそうなエメラルドグリーンの瞳を持つ清楚系美少女。それに、サイドツインの金髪に、金と蒼い瞳のオッドアイを持つ妹系美少女。クラウディアとローズによって俺は客室に連れ込まれ、手足を縛られてベッドに転がされていた。


「……一応聞くけど、二人して俺をこんな風にして、どうするつもりなんだ?」

「あはっ。そんなの決まってるよぉ。ユズキお兄さんの性奴隷になったから、さっそく愛してもらうんだよ? 甲板でなにかされたときから、ずっと我慢してたんだから」

「誰がいつ性奴隷にした!?」

「え? ユズキお兄さんが言ったんだよ? 俺の性奴隷になって、エッチな命令に従えって」

「………………そうだったな」


 なんでそんなことを言っちゃったんだろうなぁ。

 いや、他に選択肢はなかったんだけども。


「と、いう、ことで……」


 ローズはスカートを広げて、俺の上に馬乗りになった。


「――って、いやいやいや、それはヤバイ、色々ヤバイから! って言うか、なんで履いてないんですかね!?」

「え? ユズキお兄さんが言ったんだよ? 愛らしい容姿で、実は履いてない方が良いって」

「おぉう……」


 屋敷から逃げようとした……あのときか。

 って言うか、それはつまり……今までずっと履いてなかったってこと?

 ……ゴクリ。

 いや、ゴクリじゃなくて。


「落ち着け! そもそも、ローズは俺の性奴隷になったのであって、俺がローズの性奴隷になったわけじゃないんだぞ?」

「そうだけど……それが?」

「いや、それが? じゃなくて、俺が求めてないのに、俺を求めるのとか反則だろ?」

「どうして? 私はユズキお兄さんの性奴隷だから、求められたらいつでも答えるけど、私がユズキお兄さんを求めないとは言ってないよ?」

「………………」


 俺は思わず天を仰いだ。

 ローズが理不尽なヤンデレであることを思い出したから――ではなく、その通りだなぁと納得してしまったからだ。


 ……って、いやいやいや、納得してどうする。


「とにかく、俺の意思を無視してこういうことしようとするの禁止!」

「分かってるよぉ。私はユズキお兄さんのエッチな奴隷だから、ユズキお兄さんが求めてないのに無理矢理はしたりしないよ」

「そ、そうか。それなら良いんだけど……」


 いや、良いのか? なんか、俺の性奴隷と言うポジションが確立しつつあるんだけど。

 ……いや、考えちゃ負けだ。と言うか、今更、あれはあの場をしのぐための口からでませだったんだとか言う方がヤバイ気がする。


「それで、ユズキお兄さん。……ユズキお兄さんは私のこと、めちゃくちゃにしたくない?」


 ローズは少しだけ腰を動かして、俺のことを見下ろした。その性的なことを想像させる体勢から、あの夜のことを思い出して、俺はゴクリと生唾を飲み込む。


 だけど、ここはきっぱり拒絶しなければ大変なことになる。


「そんなの、ローズをめちゃくちゃにしたいに決まってるだろ! あのときは手足がなくて動けなくて、すっごいもどかしかったんだ。あの日より激しくしたいに決まってる!」


 ――って、俺はなにを言っちゃってるんですかあああああ!?

 慌てて口を閉じるけど後の祭り。俺に馬乗りになっているローズはふふっと微笑んだ。


「……やっぱり。表面上は否定してても、心の底では私のことを求めてくれてるんだね」

「なにを、言って……って、まさか!」


 俺は慌ててステータスウィンドを開く。そこには……


 ローズとの契約。

 その気になったら、ローズを求める。


 とか書かれていた。

 あぁ、またやらかした……って言うか、『その気になったら、ローズを求める』って、俺もその気になってるってこと?


 いや、たしかに、あの日のことは快楽耐性のスキルが一気に2ランク上がるほどに強烈だったし、忘れたくても忘れられないレベルで、馬乗りになられたら思い出しちゃうけども!


 いくらなんでも、この状況で求めるとか自殺行為だろ!?


 ……って、まさか、あれか? 本来なら様々なしがらみという名の理性で拒絶するところを、魔眼の契約で本能が優先されてるってこと?


 あ、ありそうな気がする。

 そうじゃなきゃ、いくらなんでもクラウディアも見てるのに……って、そうだ!


「クラウディア、助けてくれ!」

「え、嫌ですけど」

「即答!? って言うか、なんで!? 浮気はダメって言ってたじゃないか!」

「ローズ様のことだけは許すって言ったじゃないですか。それに……ローズ様にするのと同じこと、あたしにもしてくれるって言いましたよね?」

「え、いや、それは言ったけど……いや、だからってこれは、色々おかしいよな?」


 あまりにもおかしすぎて、どこから突っ込めば良いのか分からない。


 いや、分からないというのは、ツッコミ的な意味で性的な意味では――と言うか、ローズさん、なんで俺を脱がそうとしてるんですかね!


 それはまずいと藻掻くけれど、手足を拘束されている俺は抵抗できない。いや、たとえ拘束されていなかったとしても、フェミニストの効果があるから抵抗できないんだけど!


 誰か、たーすーけーてーっ!


「ふふふっ、これからローズ様と楽しむんですね。それを、後であたしにしてくれると思うと、すっごく……はぁはぁ」

「いや、はぁはぁじゃなくて!」

「はぁはぁ。ユズキお兄さんの匂い。たまらないよぉ。もう、我慢できない。ユズキお兄さん、もう、良いよね?」

「良くない! って言うか、マジで落ち着け! 二人とも興奮しすぎ――」


 そこまで口にしたところで気付いてしまった。


 ラング達をぶちのめして、船内を制圧。それはあっという間におこなわれたので、まだそれほど時間は経っていない。つまり……と、ステータスウィンドを確認すると……


 女神メディアの祝福:残り7分。

 精神高揚+57%


 あぁぁぁ……女神メディアの祝福の効果が――精神高揚の効果が思いっきり残ってる!


「二人ともステータスウィンドを確認しろ! 精神高揚ってのがあるだろ。二人が興奮してるのは、それが原因だ。あと7分で効果が切れるから、それまで――」

「それまでに、後に引けないところまでいけば良いんだね! 大丈夫、私に任せて」

「あたしも、及ばずながら協力します!」

「――うわあああああ、逆効果だったああああああっ!?」


 ……どうして、どうしてこんなことになってしまったんだろう? 俺はただ、ヤンデレじゃない女の子とのスローライフを望んだだけなのに。

 こんなのは俺が望んだスローライフじゃない。ただの、ただのエローライフだよ!


 ぐぬぬ、こうなったら仕方ない。

 ローズとの契約破棄をかねて、精神高揚のバフが消えるまで、死亡して逃げ切ろう――と、ファイア・ボルトの対象を自分の首に設定。


「ファイア・ボルト」

 魔法陣の展開を開始するが――

「させません」

「ば――っ、なにやってるんだ!?」


 俺の手を拘束していたクラウディアが、俺と首を重ねるように覆い被さってきた。このままじゃクラウディアの首まで吹き飛びかねないと、俺は慌てて魔法をキャンセルする。


「それは、あたしのセリフです、ご主人様。街でご主人様が自分の首を吹き飛ばしたとき、あたし、泣きそうになったんですからね?」

「むぐっ。それは、悪かったと思うけど……」


 逃げるにはこれしかないんだと話すわけにもいかずに口ごもる。

 だけど――


「言っておきますけど、死んで逃げようなんて思わないでくださいね? ご主人様が死んだら、ローズ様と一緒に遺体を陵辱しますからね?」

「ちょ、それはアウト、完全にアウトだから!」

「だったら、軽々しく死のうとしないでください!」

「……はい」


 必要に駆られたとは言え、死を軽く扱っているのは事実なのでぐうの音も出ない。そうして言葉を失った俺に対し、クラウディアはどこは不安げな表情を浮かべた。


「……ご主人様は、あたし達のことが嫌いなんですか?」

「いや、それは……そうは言わないけど……」


 クラウディアはもちろん、ヤンデレのローズだって可愛い。もちろん、ヤンデレ的な部分は好きじゃないけど……それを差し引いても、魅力的な女の子だ。


 そんな二人に言い寄られて、嬉しくないと言えば嘘になる。けど、この状況はいくらなんでもあんまりだと思うのだ。


「ご主人様。約束……してくれましたよね?」

「それはしたけど、もう少し待って欲しいというか、この状況はあれというか……」


 俺がそう呟くと、クラウディアとローズを顔を見合わせた。そして、なにやら視線で語り合ったあと、二人はゆっくりと俺に視線を戻した。


「まったく。エッチなくせに、どうしてこういうときに躊躇するんですか」

「……いや、さすがにそこまで上級者じゃないんですが」


 気になる女の子との初体験が三人なんて……のは、まぁちょっとアリだとは思うけど。その結果、一生管理されそうな未来が見えるのは……ちょっと躊躇うには十分だと思う。


「分かりました。ご主人様に選ばせてあげます」

「……選ばせる?」

「ええ。ご主人様が約束どおり、あたし達を求めてくださるのなら、こんな風に強引に迫ったりする必要はないんです」

「ま、まぁ、それはそうなんだけど……」


 だから、もう少し待って欲しい。具体的には一年ぐらい――なんて俺が言おうとするのを遮り、クラウディアとローズが続けざまに口を開く。


「なので、ご主人様が、あたしとローズ様を死ぬほど愛すか」

「――ユズキお兄さんが、私とクラウディアさんに死ぬほど愛されるか」


「「――好きな方を選ばせてあげます(あげるよ)」」


 俺にのしかかっている二人の愛が重い。

 ……あぁ、俺の願いは普通の女の子とのスローライフだったのになぁ。なんでこんなことになってしまったんだろうか?


 ……正直、考えても分からない。分からないんだけど……

 クラウディアに手を押さえつけられ、ローズには馬乗りになられている。フェミニストの効果が発動している俺に抵抗する手段はない。


 だから俺は――この異世界でも、ヤンデレに死ぬほど愛される。

 

 

 お読み頂きありがとうございます。

 ヤンデレ女神の箱庭、一章はこれにて閉幕となります。


 感想やレビュー。それにブックマークや評価。みなさんの応援のおかげで、ここまで来ることが出来ました。本当にありがとうございます!


 ここまで、楽しんで頂けましたでしょうか?

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 二章ですが、ヤンデレと服飾のお話です。

 現在全力で執筆中なので、少々お時間をください。


 *追記 24時間で60件ほど評価を頂きましたっ!(評価だけで日刊総合20位くらいに入れるほどの数です)ありがとうございますっ!

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