~はじまりの国 マラサ王国~3
怪我も無事に癒え、また旅立つ準備をし終わった俺は、ある場所に向かった。
それは、俺に剣の扱い方を教えてくれた師匠のお墓だった。
もともと孤児だった俺を拾ってくれ身寄りのない俺を自分の道場で育ててくれたなんともお人好しな人。
しかし、そんなお人好しもさすがの寿命には勝てずに俺がこの国を去る丁度1年前にこの世を去った。
師匠のお墓の前で手を合わせ、様々な事を話した。
この国を何も言わずに出てしまったこと。
旅先で色々な人と出会ったこと。
一生涯の仲間が出来たこと。
何度も道中でモンスターに襲われ死にそうになったこと。
仲間たちとともに魔王を倒したこと。
そして、またこの国を去ろうとしていること。。。
「師匠、行ってきます」
当然返事は無かったが、師匠に
いってらっしゃい
そう言ってもらえた気がしてなんだか少しうれしかった。
荷物を持ち国を出ようとしたとき、とある声に呼び止められた。
その声の主はベルだった。
「あんたねー、旅立つなら私にも声かけなさいよ!
ちょっと準備してくるから待ってて!」
「ベル、いいんだ。魔王の居なくなった今もう危険な場所はないんだ。
これは、俺自身のある意味けじめでもあるんだ。
お前は、王様から働かなくてもいいぐらいの報酬貰ったんだからここでゆっくりしとけ」
そうベルの頭をポンっと叩いてベルをこの国に残し旅立った。