~はじまりの国 マラサ王国~2
「よくぞ、魔王を倒したな勇者よ!
この王国出身のお主はこの王国の誇りだ。
そしてお主を選んだ私はやはり正しかったのだな!!」
(俺が旅立つ際に木の棒と鍋の蓋しか渡さなかったくせに、何が私が正しかっただ。。。
ほんとにそう思ってるなら、その後ろにある大きな宝箱の中にあると思われる豪華な装備品を渡せよ。。。)
と、心で思ったがさすがに口に出す直前で踏み切り
「ありがたき、お言葉」
旅立つ前より大人になった俺はそう答えた。
俺は正直この王様が嫌いだった。
旅立つ理由も、魔王討伐なんかよりこの王国から去りたいからだったに過ぎない。
この傲慢さが見え隠れし、富や名声、強大な力等の全てを欲していたこの王様。
むしろ王様の方が魔王なのではないかと思うほどだった。
「しばらくは、この国でゆっくりと休むがよい。
そして我が軍の隊長としてこれからもこの王国のために努めてくれ」
「王様からのせっかくのお言葉ではありますが、私は怪我が治り次第これまで訪れた場所があれからどうなったのか、自分の目で確認して参りたいとおもいます」
これは、俺自身の本音であったが、内心ではまたこの国をまた早く去りたいという気持ちもあった。
「それでは失礼いたします」
俺は、この言葉に驚きを隠せない王様を背にただただ広い王室を退出した。