~はじまりの国 マラサ王国~ 1
ふと気が付いたら俺はベットの上だった。
あぁ、ふかふかのベット、暖かい布団、目の前に広がるのは真っ白な天井。
こんなにいつも通りが幸せなんて数ヶ月前には考えもしなかった。
「やっと起きたー!」
急に声が聞こえたので驚いた。
俺は、恐る恐る声のする方に目をやるとそこには見慣れた顔があった。
「ベル、ここはどこだ……?」
「ここ?ここは、私達の国の城だよ!それより、私達やったんだよ!魔王を倒したんだよ!」
僧侶のベルの若干興奮気味な話によると、俺達が深い眠りについてしまった後、王族の直属騎士団が俺達の応援に駆けつけたが、戦いは既に終わっていたため、治療のため俺達をこのご立派な城に運び込まれたとの事。
その後もなかなか興奮が覚めずにピーチクパーチクしゃべり倒すベルを静止しもう一度質問する。
「なんとなく話は理解できた、他の二人はどうした?まさか、俺達が運び込まれている最中に騎士団ごと魔物に襲われ……」
「リヒトとミーナ?あの二人なら勇者より先に目が覚めてて今、王様に呼ばれて王室にいるよ!あっ、そうそう私達も王様に呼ばれてるんだった!早く行かないとっ!!」
そうして俺はベルに傷だらけの体を引きずられながら半強制的に王室に向かうのだった。