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結婚披露宴で泣くな!  作者: 餃子ぱふぇ
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彼女の素晴らしいサービスに触発されたのか、その日のみんなのサービスは素晴らしく、たくさんの笑顔が溢れるパーティーになった。どうも彼女にはそんな才能があるようで、先輩たちのように、動けるという意味での仕事ができるとは違って、目に見えないなにかを持っているようだ。

そしてこの性格からしてわかると思うが、彼女はすぐに好かれる人気者になった。でも僕はどうも元カノに似てる性格ということで、関わりずらかった。なにか仕事を教えるときでもどうしても意識してしまう。彼女もその距離に気づいているのか、申し訳なさそうに話しかけてくるのだった。


その次の日、彼女はいなかったものの、サービスの精神はまだみんな持っていて、この二日間、バイトしてる僕らも楽しめるほどだった。笑顔は伝染するもの、というのは正しいと思う。それはお客さんからスタッフに、逆にスタッフからお客さんに、という二パターンがあって、両方が成立した時、その披露宴は非常に思い出に残るものになる。

笑顔の溢れるパーティーにはなったが、予想以上に披露宴の時間が押して終わった。なぜ押したのか。それは堀先輩がいないからだった。ただのひとりがいないだけで、今の僕らでは、要領を越えることになってしまう。料理を提供する時間が遅くなってしまったり、飲み物を頼まれているのに、他のことで手が一杯になっていて提供が遅くなったりすると、お客さんの満足度は低くなりかねない。それでもやはりここで笑顔でサービスをするのか、辛そうな感じを出してサービスをするのかは、大きな違いを生むことになる。ゲストには申し訳ないのだが、「これが当然」、「いつものことですよ」、みたいな顔をすることも時には僕らに求められる。今日もどうにかこうにか、ごまかしつつサービスをして、終えることができたのだった。

料理を提供するとか飲み物をお持ちするとか、当たり前の仕事は当たり前にしなければいけないのは言うまでもない。その上で気の利いたサービスをするのが必要なことであるはずなのに、今の僕らはひとり先輩がいないだけで、当然のことができなくなってしまうという大きな問題を抱えているのだった。

新人が成長するのには時間がかかるし、どうしても急な進展を望むことはできないのだ。この中で素晴らしい披露宴を作り出すことが僕らの当分の目標だ。


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