9/11
五感
ただそれだけ。
そこに広がるのは、五感で感じとれるだけの世界。
ただそれだけだった。
宙を歩く間、
いろいろなことが頭をよぎった。
確か、私は今仕事がなくて、心が病んでいると言われて友達と連絡も取らず、家でも肩身が狭く、人と関わるのを避け、しかし、一人休まることができる場所を求め、
そう、確か、図書館にいた。
悩んでないふりをしていた。
ずっと、一人になりたくて、どこに行っても、内心途方にくれていた。
ただどこに行っても、誰か人はいる。
そんな時に、私は、いつも悩んでないふりをしていた。
それを自分で気づかず、
毎日を送っていた。特に何をするわけでもなく。
でも毎日、何か違和感があった。
周りを見渡せば、何かが違う。
自分だけ一人違う国に来たみたいに、
何か、取り残されている感覚に陥っていた。
ただ、毎日、そんな感覚をごまかそうと、
私はただただ、悩んでないふりをしていた。
家族の前でも、いつも、悩んでないふりをしていた。
それがさらに自分を苦しくさせていたのかな。
今あるのは、
黒と白と、時々流れてくる風と、それに載った甘い匂い。
とても、穏やかで、
頭の中では、今までのことが、どんどん整理されていく。
そんな、不思議な感覚。




