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以心伝心
私は気にせずぼんやりしていると、
何か、視線を感じる。
さっきのおじさんが、私の手元の本をじ
っと見ている。
私は、あまり関わりたくないけど、見られるし、
わざと、手元の本のページをパラパラとめくった。
まるで、どのページに興味があるんですか、
と言わんばかりに。
するとおじさんも察したのか、
顎に手を当て、パラパラめくるページをじっと見ている。
どのページを話題にしようか、
などと考えているのだろうか。
私は面白くなって、
時々ピタッと、ページをめくるのを止めてみる。
するとおじさんは、首をかしげ、ページを見つめてから首を横に振る。
私は、またページをパラパラとめくりだす。
そんなことを数回繰り返していると、
ふと、私が気になったページをめくった瞬間、おじさんが頷いた。
これだと言わんばかりに前のめりになって何度も頷く。
私はそのページをしっかり開き、
おじさんに差し出した。




