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おじさん  作者: 奥野 心
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幸せ・恐怖感

少年と空を舞い上がり、無言で微笑み合い、

少年が、口を開き私に何か話しかけたが、猛烈な風の音で何も聞こえない。


私が大きな声で、「何?」

と聞き返すと、少年はまた、

笑いながら何かを話しかけた、その瞬間・・・


目が覚め、また黒い世界に戻っていた。


私は急に怖くなって、不安、焦燥感にかられ、

辺りを必死に見回すと、


真っ白く光る長い階段を見つけた。

その先には明るく白い扉が開かれていた。


そこに人影を見つけた。

大きめのスーツを着た、そう、

あのおじさんが、扉の前に立っていた。


向こう側へ行ってしまいそうなおじさんを、

私はひたすら追いかけた。


不安でどうしようもなくなり、必死に扉に向かって宙を走り、泳ぎ、もがきながら。


行けども行けども、扉は一向に近くならない。


行ってしまう、


「私を一人にしないで!!」


叫んだ瞬間、


目の前が明るく光り、扉が目の前に現れた。


おじさんは扉の遥か向こう側へ立って、私を見ている。


扉はゆっくりと閉まりかけていた。


「待って!!」



・・・


目を開けると、


図書館にいた。


隣におじさんはいない。

二人で見ていたはずの本は、

大自然のページのまま私の頭の下敷きになっていた。


・・・戻ってきた


現実の世界に。


目が覚めたが、

頭はぼんやりしていた。


私はゆっくりと体をお越し、

しばらく椅子に座ったままぼんやりしていた。


何だったんだろう・・・


ぼーっとしていると、

館内放送が流れた。


「閉館30分前です。本館は、18時までで、閉館とさせて頂きます。貸し出しされる方は・・・」


いつもの放送、もうこんな時間かぁ・・・


私はまだぼんやりしていたが、

時間が過ぎていたことは認識できた。


もう帰らないと・・・


本を棚に返して、荷物をまとめた。

その後、

このアラサーニート女子は、

自分がアラサーニート女子であることにとらわれすぎていたと気付き、

日々を前向きに送るようになった。

友達とも連絡を取ってみた。

自信を無くし、怖じ気づいていた自分はもうそこにはいなかった。

新しく出逢いを求めて、仕事探しも積極的になり、アルバイトだが、何とか働ける場所を見つけることができた。

そしてとことん、良いことが続いた。

そう、彼氏ができたのだ。交際を続け二人は婚約し、華やかに式を上げ、幸せな日々を送ることとなった。


そしてその彼は、

どことなくあの少年に似ていた。

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