夢
不思議な感覚に陥っていた、
すると歩いていたはずが、
なんだかうとうとしてしまった。
宙を歩いていたからだろうか、
自然と歩く足が止まり、
体は宙に浮き、さ迷っていた。
私は夢を見た。
夢の中では、広い広い、平地が広がり、
そこには無数の、実りを迎えた緑の稲穂が広がっていた。
そこに私は一人、立っていた。
爽やかな晴れた空に、心地好い風が吹き、夏の終わりか、秋の知らせか、
緑と稲の、いい香りがした。
私は目を閉じ、気持ちよく横たわった。
すると突然、無数の稲穂は消え、
目の前に現れたのは、
誰なのか、一人の、少年のような、男の子だった。
短い髪に、私よりは少し小柄なその少年は、私に手を延ばした。
私は、延ばされた手を掴もうとしたが、
なかなか掴めない。
目の錯覚だろうか、いや、これは夢の中だ、
少年の手は、近いようで遠くなったり、
手に触れたかと思うと透かしてしまったり、掴めそうで掴めない。
少年は、無言で、その私の様子をじっと見たまま、手を延ばし続けていた。
すると、突然激しい突風が下から吹き上がった。
少年と私は空高く舞い上がり、
気づいた時には、
手と手を取り合い、二人でその手をしっかりと握りしめていた。
不思議な夢を見ている。
そう、これは夢だ、夢だけど、
手を握りしめているそれがすごく心地好く、幸せな気持ちになった。
無表情だった少年は、いつの間にか、
私に微笑んでくれていた。




