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ファーストコンタクト

「かかれっ!」


 アベルの掛け声に反応して、武装した兵士たちが一斉に動き出す。


「さあ、力場の恩恵で強くなったお前たちの力、存分にみせるがいい!」


 意気揚々とアベルが語る通り、兵士たちは人とは思えないほどの速度で肉薄してくる。

 まるで氷の上を滑るようにあっという間に間合いを詰められ、ロイはすんでのところでどうにか剣を抜いて防御する。

 剣と剣がぶつかった瞬間、火花を散らしながら激しい金属音が辺りに響き渡る。


「クッ!」


 同時にとんでもない膂力で押され、ロイは思わずその場に膝をついてしまう。

 その隙を逃すはずがなく、回り込んだ兵士がロイを横から串刺しにするべく、槍を突き出してくる。


「やらせません!」


 その攻撃に、セシリアが横合いから鋭い突きの攻撃を繰り出してきてロイへの刺突攻撃を弾き、槍を横薙ぎにして肉薄してくる兵士たちを牽制する。


「後は、ボクに任せて!」


 攻撃を嫌い、距離を離した兵士たちの足元へリリィがまきびしを撒いて注意を惹きつけると、今度は小型のナイフを兵士たちの手足目掛けて次々と投げつける。


「クッ、一旦身を引くんだ……」


 セシリアとリリィの見事な連携に、兵士たちは身の安全を守る為に退却する。

 しかし、ロイたちがこの場から逃げられないように包囲を緩めることはしない。

 場が硬直状態に陥ったの見て、リリィはロイへと心配そうに声をかける。


「ロイ、大丈夫?」

「助かった。キリンの戦いで一度見ていたのに、力場の力を侮っていたようだ」

「その力、そんなになの?」

「ああ、油断しているとあっという間にもって行かれる……正面からぶつかるのは避けたほうがよさそうだな」

「わかった。気を付ける」


 まきびしのお蔭か、こちらを伺うようにして攻めて来ない兵士たちを油断なく見やりながら、リリィは頷いた。



 ――一方、


「おい、何を逃げているんだ!」


 勝手に後ろに下がる兵士たちに、アベルが唾をまき散らしながら怒鳴る。


「何のために力場の力があると思っているんだ! その力があれば、ちょっとした攻撃なんて跳ね返すって説明しただろ! ここまできて怖気づいているんじゃねぇよ!」

「で、ですが……」

「ですが、じゃねぇよ! いいから死ぬ気で突っ込め!」


 アベルは兵士たちの背中を蹴り飛ばして前へ押し出す。


「お前等は俺の命令を聞くしかないんだ……俺の言いたいことはわかるよな?」

「そ、それは……」

「わ、わかりました。ですからどうか、家族にこのことは……」

「フン、それはお前等の態度次第だ。わかったらとっとと死んでこい!」

「こ、こうなったら……」

「ああ、いくぞ!」


 兵士たちは互いに頷き合うと、叫び声を上げながら再びロイたちへと襲い掛かった。

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