2-30 吹雪裕也
俺と真美子は、あの小国から旅立った。
愛美さん達のレベルアップは、俺達が中央国家に着いて落ち着いてからという事になっている。
中央国家へは俺に真美子がおぶさって飛んで行くと言ったのだが、魔王討伐には特に期限もないから俺と町を回りながら向かいたいと真美子が言ってきた。
それで、俺と真美子は風景を眺めながら山道を歩いたりして、旅の気分を味わいながら途中の町を回ったりした。
結局、日が暮れた後の野営は真美子が嫌がるので、途中から俺に真美子がおぶさって飛んで町に向かったのは言うまでもない。
◇
途中の町で、魔物への生贄になる少女と出会った。
俺と真美子はその少女を助けるため、魔族が来る場所へ向かった。
そこでは、魔族と数人の冒険者らしき人物が戦っていた。
遠見と鑑定の魔法で確認したら、劣勢なのは魔族ガヤガLV578だった。
そして、その魔族と戦っている者は
吹雪裕也 LV562
ゴロガ LV384
サライト LV341
だった。
俺と真美子は、木の陰で傍観していた。
みるみるうちに魔族ガヤガが追い詰められて、そして倒された。
「真美子どうする?あの冒険者たちに気づかれている。一応魔族の首を町長に見せないといけないし、挨拶してみたいんだが。」
「テツさん、気を付けて、以前話した通り、私のクラスを転移でこの異世界に連れてきた吹雪裕也が居るわ。」
「な、クラス転移させた奴か。」
「ええ、そうよ。」
とこそこそ話していたら、
「そこにいる奴、出て来い!出てこないと攻撃魔法を放つ!」
と吹雪裕也が叫んだ。
私達はゆっくりと出て行った。
俺達と吹雪裕也達は向き合った。
吹雪裕也達は、戦闘態勢を崩してはおらず、こちらを睨んでいる。
「俺はテツ、こっちは俺の女だ。町長の依頼でそこに転がっている魔族の討伐をしに来た者だ。敵対する気はない。」
「町長から依頼か、証拠は?」
証拠って委任状とか討伐命令書とかか?
「証拠はないが、その魔族の首を町長に持っていけば、報酬が出るぞ。」
「そうか。そうすると、この魔族の首が欲しいのか?」
「まあ、欲しいけど、あんた等が、町長に届けて倒したことが分かればいい。こっちはただ、今回の生贄を助けたかっただけだ。」
と俺が吹雪裕也と話していると、横の男が話に割って話してきた。サライトという男だ。
「おい、テツさんだっけ?本当に今回の生贄を助けるため魔族討伐の依頼を受けたのか?」
「ああ、そうだ、だからその殺気を向けるのを止めてくれないか?」
「ところで今回は、サラという町娘が生贄だったはずだが、あんたサラと知り合いなのか?」
サラって誰だ?
「町娘?いや、今回は、万引きで捕まった余所者のカテーサが5日前から生贄に選ばれたんだが?」
「え、サラは、今回生贄から外されたのか!」
「サラって子と知り合いか?」
「ああ、オレは、サラの恋人だ。あのくされ町長がサラを生贄から外せないと言うから、有り金叩いて裕也さんに、魔族討伐の手伝いを依頼したんだ。」
女のために有り金叩いたか、尊敬するよ。
「そうか、それじゃ、町長の所に行って、その魔族の首で報酬を受け取れ。」
「なんだ?、あんたは報酬要らないのか?」
「ああ、さっきから行ってる通り、万引きで捕まったカテーサを開放できれば、俺はそれでいい。」
「なるほど、女目当てか。分かった。」
納得してもらえたみたいだ。殺気も消えている。
話が終わると、吹雪裕也とゴロガは魔族討伐の依頼が終わったとの事で、その場で帰ってしまった。淡白なた奴だ。
俺達はサライトと町まで帰り、町長の所へ向かった。
もちろん認識阻害のアイテムのおかげで吹雪裕也には真美子が勇者ってことはバレなかった。




