2-25 特別教官”ジョン” 1
今日は俺が特別教官”ジョン”として魔法騎士育成学園に行く日だ。
俺は真美子を送り出した後、魔法騎士育成学園の向かった。
愛美さんと合流して理事長室へ行き、理事長に挨拶を済ませた。
そして、愛美さんに連れられて、校庭の左の総合運動エリアに向かった。
少し待つと、真美子たちのTクラスの生徒がこちらにやって来て、俺の目の前に並んだ。
愛美さんが俺を紹介することから、授業が始まった。
「皆さん、今日は特別教官として、”ジョン”さんをお呼びしました。総合的な戦闘法を教えて頂きます。」
「こんにちは”ジョン”です。今日はとりあえず全員と模擬戦をして実力を見ます。こちらは模擬専用の刃を潰した剣を使いますので、安心してください。それじゃ始めます。掛かってきなさい。」
と俺は言って無造作に立った。
しかし、誰も攻撃してくる気配が無い。
よく見ると生徒は皆、ポカンと俺を見ている。
あれ?
と思っていたら質問が出た。
「質問いいですか?」
「どうした?」
「順番はどうするんですか?」
「順番?」
「順番です。」
なんだ?全員一斉にかかってこいって意味、通じてなかったのか。
鑑定魔法を使えば名前は分かるが、一応名前を聞いておこう。真美子にちょっかい出した奴かな?
「キミ、名前は?」
「オルテガムですけど。」
こいつがオルテガム。
「ほう、オルテガム君か、真美子から聞いてるよ。イケメンで、この国で2番目に大きい貴族様何だってな。」
「な、真美子さんからだって、貴様、真美子さんとはどういう関係だ。おっさん。」
おっさんだと!
「教官にその口の利き方は無いだろう。まあ、ケガさせても回復魔法かけてやるから安心しろな。」
「質問に答えてないなおっさん。分かった。俺が1番最初だ。倒して関係を聞いてやる。」
生意気なガキだ。こいつとタイマンで勝負してもどうせ勝つが、真美子から後でいろいろ言われそうだ。
力を見せつけるなら集団の中の一人って事がいいな。
「ちょっとまて。」
「なんだおっさん。怖気づいたのか?」
「えーと、俺はさっき言ったんだ。全員と模擬戦だと。」
「何を言っている。」
話が通じててないな、仕方ない、と思ったら真美子が割って話してきた。
「オルテガムさん、て、じゃなくて”ジョン”さんは、全員同時に模擬戦の相手をすると言ってるのよ。」
「え?真美子さん何言って、それ、本当ですか?」
あれ、真美子の言葉には納得したよ。
「ええ、しっかり連携を組まないと全員負けるわよ。マイルダさん、フラルウさん、ベガガさんは援護魔法を、その他の人は半月形に取り囲んで攻撃をして。」
お、真美子なかなかの作戦じゃないか。
「え?」「何言ってるの、真美子さん?」「そんな1対8卑怯よ。」「真美子さんどうしたの?」・・・・・・・
他の生徒がいろいろ言ってる中、真美子はステップバックして剣を構えた。
愛美さんも真美子にならって剣を構える。
よし、やるか。ちょっと挑発も入れておこう。
「教えてやろう、実戦じゃ1対多数なんてざらだ。待ってやるから攻撃して来い。真美子に振られたイケメンさん達。」
とそれを聞いた、男子生徒3人が顔を真っ赤にし始めた。真美子に告ったのがバレバレだよ。
「おっさん、もう殺す。」「何で知ってるんだてめー!」「いい気ななってんじゃねー!」
と叫び声をあげ、オルテガムは剣で斬撃波を出し、男子生徒B気功波を撃ち、男子生徒Cはフレアアローを放った。
ザンンンンンン!ブオオオオオオオ!ゴオオオオオオオオオオ!
俺は風の渦で攻撃を防ぐ。
シュンンンンンンン!
と風の壁が出来てすべての攻撃が風の壁の渦に消えた。
俺は瞬歩でオルテガムの前に移動した。
「なっ!」
オルテガムは俺を見て驚き、振り下ろした剣を構えなそうとした。
俺は手加減腹パンをして、次の男子生徒に瞬歩で移動する。
「ごふっ。」
俺の移動した後に、オルテガムは地面に倒れる。
他2人の男子生徒も同様に瞬歩後に手加減腹パンをした。男子生徒2人も地面に倒れた。
周りを見ると他の生徒は動かない。わざわざ女生徒に攻撃するのも気が引けるので、ここでいったん終了だ。
「10点だな。掛かって来ないならいったんやめだ。こいつらを誰か看病してやれ。」
と俺は、みんなに言った。
しかし、真美子は剣を構えたまま、愛美さんに近寄って何か相談をしている。
模擬戦を続行する気だな。
真美子は、ファイアーアローを俺に放って来た。その後を瞬歩で近づいてくる。
ゴオオオオオオオオオオ!
ザンン!
俺は、ファイアーアローを剣で切り裂き消滅させる。
シュン!
真美子は、光で出来た短い暗器を投げ、同時に剣で切りかかってくる。
ギャキン!
俺は、光で出来た短い暗器を最小の動きで避け、真美子の剣を受けた。
真美子の剣を受けて動きの動きの止まった俺に、愛美さんがレイピアで突きかかってきた。
「やー!」
キン!
俺は体を少しずらして、真美子の剣を流しながら、愛美さんのレイピアの剣先の軌道をずらした。
ザン!
真美子は剣を切り返し俺に振った。
しかし、そこにはもう俺は居ない。
「うくっ。」
真美子の首の裏に手加減した手刀を当てる。
剣を構えなおしている愛美さんにも、俺は体捌きで横に回り込み、首の裏に手加減した手刀を当てる。
真美子と愛美さんは膝を折り地面に倒れた。
俺は愛美さんを仰向けに寝かせた後、真美子を抱きかかえ座った。
俺は真美子の顔を見つめて、回復魔法をかけようかどうかと考えていたら、真美子が目を開けた。
「大丈夫か。真美子。」
俺は顔を近づけて言った。
真美子は俺を見つめた後、周りを見渡した。
何を勘違いしたのか、真美子は慌てて俺から離れて言った。
「テツさん。ダメよ。みんながいるんだから。」
えっと、また大声で言っちゃってるよ、俺の名前を。
たぶん、俺を偽名の”ジョン”って呼ぶのが難しいんだな。




