4話 神との契約 2
とにかく、今の俺が立たされた状況は心が読まれてしまう不利な状況だ。
駆け引きとかまるで出来ない。
三田村さんは、状況を分かってるのだろうか?
色いろな不安が心を過ぎる。
「もう一度言うけど、わたしは、魔法陣を使ってここに来る人に、異世界で叶えて欲しい願いを叶えてあげているのよ。」
と金髪美人は笑顔で言った。
そうだな、色々考えてもらちが明かない。どんな願いを叶えたか聞いてみようか。
と思っていたら、三田村さんが、先に割り込んできた。
「私は、健吾とずっとラブラブで居たい。異世界とかどうでもいいから、健吾を探して!出来るんでしょう!」
「わかったわ、貴女の願いは、”健吾君とずっとラブラブで居る”こと、”健吾さえいれば、何処の異世界でもいい”ね。」
「そうよ。」
「ちょっと待ってて、探してみるわね。」
と金髪美人は、目を閉じて、眉を寄せながら「う~ん!」と小さく唸ってる。
心を読まれていなければ、直に可愛いと思っていたのだが、今は、俺は恐怖と戸惑いで一杯だ。
それにしても、異世界に来た人って探せるんだ!
それなら、田中麗香さんを見つけられるんじゃ・・・・。
「あ!居たわ。林健吾君ね。フェフェリカーネスのソルジャーね。今、十勇者ミッションに参加中よ。」
「え!見つかったの?早く会わせて!」
何だ?ソルジャー?十勇者ミッション?俺は二人のやり取りを傍観していた。
「慌てないで、対価を頂いてから会わしせてあげるわ。そうね、今空いてるミッションは、・・・・・」
「すぐ会いたいの!どうにかならないの?」
と三田村さんは必死だ。
それを見た金髪美人は言った。
「仕方ないわね。それに貴女じゃミッションクリア出来そうに無いしね。」
「それじゃ、早く!」
「そうね。林健吾君のいる世界に送って合わせてあげるけど、同時にお仕事もしてもらうわよ。それでいいかしら?」
「いいわ。それで決まりね。」
おいおい、仕事の内容聞いてないだろ、恋は盲目と言うけどこの子大丈夫か?
「現地で勇者のサポートをして貰うわ。ちょっと手違いで、大魔王が強くなりすぎちゃって、バランスを取らなくちゃいけないのよ。」
「勇者のサポート?健吾といる時間は取れるの?」
「ええ、もちろんよ。林健吾君は、カラクリの勇者だから。」
「え!勇者様なんだ!」
「具体的には、林健吾君と一緒に行動している勇者達のLVを500~600に引き上げること。期限は一年以内に。」
「え?レベル上げ?それ大変なの?」
「大丈夫よ。貴女には今回、”LVアップの加護魔法”、”魔力MAX”、”魔力自動回復”を与えますから。」
「わかったわ。」
・・・分かったじゃねえだろ、LV500~600上げるのって大変じゃないのか?
と考えていたら、金髪美人が声をかけてきた。
「貴方はどうするの?麗香さんでも探す?」
く、三田村と話していたので、読まれていないと思ったが、心に思っていた事バレバレだった。
しかし、麗香については、もう諦めたんだ。でも・・・。
この金髪美人痛いところをついてくる。
「俺は日本に帰る。今すぐ返してくれ。」
「わかったわ。でも今すぐはダメ、対価を貰うわよ。」
やはりそう来たか、自力じゃもう帰れないもんな。
「どんな対価ですか?」
「そうね、2つ程ミッションがあるわ。説明すわね・・・・・・。」
と説明を受けた。
内容はこうだ。
①勇者としてLV1から魔王を倒し”魔神の欠片”を手に入れるハードなミッション
20人ほど挑戦したが、すべて失敗に終わった。
半分以上が死亡、四分の1が行方不明、残りが、あきらめて、現地に家族を持って生活。
②ドラゴンバスターとなって、魔竜王を倒し”魔神の欠片”を手に入れるミッション
新しいミッションなので、難易度は不明。
どちらも、死ぬこと失敗。
諦めてその世界に定住した場合は、リタイアとみなして、死後ペナルティーを与えるそうだ。
死んだ人は、魂が回収されて別の世界に神様が転生させる。(ミッションに参加した者も同様)
異世界で死んで転生した場合、生前の記憶は基本的に失われる。(ミッションに参加した者も同様、例外もあるらしい。)
特殊能力は、神様から授けられるが、転移または転生先の異世界で制限を受けることが多い。
ミッションクリアした後、望みは叶えられる。
基本的に2回目のミッションの依頼は無い。