42話 剣の修行 2
今日は久しぶりに剣の道場に来ている。
最近は、錬金術の勇者、爆炎の勇者、カラクリの勇者のレベルアップに集中していて、道場は疎かにしていた。
俺はこの間、魔族べルモンガレカラにやられた剣技を破る術を教わりに来た。
その為に、基本のレベルアップを、勇者のレベルアップをしながら行っていたのだ。
「こんにちわ、師匠とほなか師範代。」
「おお、しばらく来ないからもう飽きたと思ってたんだぞ。」
「そうよ、しばらく来ないから死んだかと心配したわ。」
「そうそう、ほなかは井中殿が心配で、仕方が無かったんじゃよ。」
「そ、そんなことないわよ。お爺ちゃん何言ってるのよ。もう。」
「ところで、井中殿、ほなかとの結婚の話は、考えてくれていないのかのう。」
とはなかとの結婚の話をしてきた。
俺は、婚約していると断っていたのだが、事あるごとに、婚約ならまだ間に合うから、ほなかとの結婚を考えてくれと師匠が俺に進めたのだ。
随分と気に入られたものである。しかし、マイラを裏切ることはできない。
「師匠、以前にも言った通り、俺は婚約者を裏切れない。申し訳ありません。」
「そのことじゃが、この国は一夫多妻制があるのじゃ。どうじゃ、その婚約者とほなかの二人と結婚しては?」
なんだ、と、一夫多妻制ありだったのかこの国は!
と固まっている俺に、2人は追い打ちをかける。
「ほれ、ほなかも何とかいってやれ、」
「い、井中、わたしは、その、2番目でいいから井中と結婚したい。井中の子種が欲しい。」
・・・どうしよう、すごいいい条件。しかし、マイラはやきもやきなので無理そう。
「その、すごく嬉しいのですが、俺の婚約者のマイラがすごいやきもちやきなので無理です。」
「それなら、ほなか、ほら・・・・」
「はい、井中さん、結婚しなくてもいいから、子種だけでも私に下さい。」
「え?」
「ですから、貴方の優秀な子供をほしいと言っているのよ。この柳生島流の未来のためにも。」
「そ、それでもマイラにばれるとこまるので。」
「黙っておけば大丈夫よ。」
・・・なに俺の子種が欲しいの?そのための結婚?
「・・・その子種が欲しいだけなのか?ほなかさん。」
「・・・わたし処女なの、初めては好きな人がいいわ。」
なんと、すごい心が揺さぶられる。マイラを説得したい。しかし、誘惑に負けられない。
「ごめん。」
「あたしに魅力がないの?」
としょげた顔をほなかがした。
「いや美人だし魅力的だよ。俺もマイラがいなかったら、すでにほなかを押し倒している。」
あ、やばい隣に師匠がいるのに何てこと言ってるんだ。
「それじゃ、そのマイラって子とわたしが、勝負して勝った方を選んで!」
「何言ってるんだ。マイラがほなかに勝てるわけないだろ。マイラを傷つけたらもうここには来ないぞ。」
「ち、違うわ、そういう戦いの勝負じゃなくて、お、女としての勝負よ。」
「え?そうなの?どんな勝負。」
「た、例えば、夜の運動で貴方をどっちが満足させられるかとか。」
とほなかは顔を赤くしながら言った。
可愛い。けど、それって、どう転んでもアウトだし、ほなかは子種を俺から取れるという作戦だよね。
そもそも、マイラの夜のテクニックはもう凄いので、マイラが負けることはないけど。
「・・・・無理です。マイラが認めないし、そもそも、その勝負では、ほなかさんはマイラに勝てない。」
「な、そんなにマイラって子とイチャイチャしてるの?」
「ま、まあそうだけど。」
「きぃー!」
このままじゃらちがあかない。あとで押しかけてこられても困る。というか俺のどこにそんなに惚れたんだ?あれか、剣の練習で長時間切りあっていたので、フラグになったのか?
俺はステータスを見る。
柳生島 大刀隆 LV392 剣技LV93
柳生島 ほなか LV332 剣技LV81
俺 LV571 剣技LV74 拳法技LV82
これならいける。
「ほなか師範代、俺に勝てたらマイラにその”女の勝負”を頼んで来てもいい。もちろん奥義ありでいい。しかし負けたら諦めてくれ。」
「な、今ままで、引き分けか私の奥義で切り刻まれていたくせに。・・・あ、もしかして口実かしら、私とするための?」
と何故かほなかはニンマリとご機嫌になった。
師匠は、俺のレベルを知っているので難しい顔をして言った。
「はなか、この勝負止めなさい。勝てないかもしれないからじゃ。」
「そ、そんなお爺ちゃん、でもやるわ私。」
とほなかは真剣になった。
そして勝負が始まった。
◇
荒原に二人向き合う。
ほなかは、日本刀のような剣を構えて、目が血走っている。
俺は、ロングソードを構えた。
「それじゃ行くわよ。」
と俺の返事も効かずにほなかは、いきなり奥義をだした。
”天地風山乱れ十連撃!”
連続した剣十連乱舞が俺を襲う。
シュン!ザン!サシュン!シューン!・・・・・・・
だが、俺はこの奥義を何度も食らっている。伊達に切り刻まれていたわけじゃない。
俺はバックステップをしながら。、風の渦をいくつものカーテンのように出し。風に当てられ鈍った剣先を弾く。
ザキーン!バキュ!ガン!ギャーン!・・・・・・・
全て防いだ俺がほなかに切り込む、しかし、ほなかはそのまま俺を通り過ぎて避け、かなり離れてから体制を立て直した。
さすが、この奥義の弱点を知っている。
”天地風山乱れ十連撃!”は最後の剣戟を撃つと硬直してしまう奥義だが、ほなかは最後の斬撃を軽い切り込みに変えていたのだ。
「やるな。師範!」
しかし、ほなかは答えずに瞬歩で俺に近づき、次の奥義を放つ。
”燕4連返し”
燕返しの剣先が4度俺に襲い掛かる。
シュン!シュン!シュン!シュン!
俺は、レベル差で何とか見える剣先を躱す。
俺の体制が崩れた。
”天地鳴哭連斬切り”
続けて、ほなかの奥義が放たれる。
サンンン!シュン!シュルーン!ザン!サシューン!シュン!・・・・・・
上下の激しい連撃が俺を襲う。
俺は、体全体に風の渦を高密度に纏わせた。そして、俺独自の連続切りをその奥義にぶつけた。
バキュ!ガン!ザキーン!ガン!ガン!バキュ!ガン!ギャーン!・・・・・・・
俺のレベル任せの連続切りが剣撃の壁を作る。
「きゃー!」
とほなかが吹っ飛んだ。
俺は、ほなかに瞬歩で近寄り、切りつける。
そう、俺は勝利を確信していた。
しかし、ほなかの前に盾が現れた。
物理シールドアイテムであった。
俺は、ほなかを殺す気はないので、剣にほとんど闘気や魔力を込めていなかった。
そう、普通なら、こんな幼稚なアイテムの盾など、そのまま相手ごと切れるはずであった。ほなかは、俺が剣に最低の闘気か魔力しか込めてないことを利用したのだ。
ガキーン!
俺の剣が一瞬弾かれ、その盾の後ろには、ほなかが居合の構えで立っていた。
”閃剣居合残像切り”
ズシュ-ンンンンン!
俺の体は、居合の一線で切られた。体全体に風の渦を高密度に纏わせてなかったら、胴で上下に分かれていたところだ。まったく殺す気で奥義を放ちやがったよこの女。
ぶしゅううううううううう!
と俺の腹から血が噴き出す。
「そこまでじゃ!」
と師範から勝負あったの声が聞こえた。
・・・・・・
ほなかは何故か、へたり込んで動かない。
俺は、回復魔法を掛けて傷をいやした。
「わたしの勝ちよ。」
とほなかは、ようやくこっちに来て言った。
「まいった、最後の盾、あれは反則だよ。」
「あら?何でもありじゃなかったの?」
「そうだけど、まあ、その、ああ、油断したよ。でも危険な方法だな。」
「まあ、井中が剣にもっと魔力とか込めてたら、私もあれで終りだったけど、わたしと打ち合う時って、いつも最低の魔力しか剣に通して無かったじゃない。」
やっぱり計算済みか。
「それにほなかさん、あんなに連続して奥義を放てるとは思わなかったよ。」
「あれね、実は疲れを一定時間無視して動けるアイテムを使ってたのよ。おかげで体が痛いわ。」
そんなものまで!
「そ、それじゃ、俺帰るわ。」
「ちょっと待ちなさい。」
「マイラさんにちゃんと言ってよね。そうじゃないと押しかけるから。期限は3日以内よ。」
「・・・・分かりました。」
・・・・・
◇
トボトボと俺は、伯爵家に帰ったが、とてもじゃないが言い出せない。
しかし、そこは、気が利く俺の嫁になるマイラだ。
「何かあったのですか?哲次郎さん。」
「え、まあ、その、うん。」
「言いにくい事?」
「うん。」
「まさか女?」
「うん。」
と俺は土下座して話し始めた。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
マイラは俺の話が終わると、
「哲次郎さん、それじゃまだそのほなかさんとは、エッチな事していないのね。」
「はい。」
「それなら、いいわ。」
「ほんと?」
「でも、これからが問題ね。」
「そうですね。」
「明後日ほなかさんとやらを呼んできて、私が話すわ。貴方も一緒にね。」
「はい?」
「哲次郎さん、聞こえなかったの?」
「いいえ、分かりました。」
「それから、今晩は、私に一杯サービスしてよね。」
「はい。」
と、その晩は終わった。
・・・・その後の話は、またの機会という事で・・・・・




