30話 ダンジョンでマイラを探索
部屋に転移で帰ると、マイラの家庭教師サラサーミと貴族の中年男が俺の部屋で待っていた。
しまった、長距離転移を見られた。
と思ったが、何か2人は慌てていて、俺の転移の不自然さはどうでもいいような切羽詰まった態度で言った。
「やっと帰ってきた!井中さん!マイラが大変なの!」「貴方が井中か?協力ししてくれ!」
「なん?落ち着いてください。マイラがどうしたのですか?」
「マイラがダンジョンで行方不明なのよ。」
とサラサーミが言った。
色々慌てた調子で言われたが、要約すると以下のようだ。
歌う勇者と格闘の勇者と一緒に、”サキュバサイトネスダンジョン”に入った。
途中で転移トラップにマイラが罠にかかってしまい、ダンジョンの中ではぐれてしまった。
歌う勇者と格闘の勇者と他の付き人は、マイラを探したがMPが切れかけてしまったので、捜索は無理と判断して帰還したそうだ。
貴族の中年男はマイラの父で、この城にいる勇者達などにマイラ捜索を頼みに来ていたのだ。しかし、勇者達には明日にならないと、出発できないと言われたそうだ。
それはそうだ、ダンジョンに夜向かうなんて自殺行為である。夜は魔物が活性化して道中の魔物も凶悪になっているからである。それにマイラもバカじゃないから、結界など張ってじっとしているだろう。一晩は持つはずだ。それに物資の準備も必要だ。
「明日から捜索ではだめなのですか?」
と俺はマイラの父に聞く。まあ、俺一人でこっそり行こうかとも考えているけど。
「ダメだ、あのダンジョンは、”サキュバサイィス”という卑猥な魔物がいる。男型は女性ならどんな種族でも襲って犯すんだ。しかも高知能で魔法も使える。マイラが危ないんだ。」
「なん、だと!魔法も使うのか!しかも女性を犯すって・・・・・」
「そうなんだ。井中さん、私は心配で心配で堪らない。マイラが今まで守ってきた純潔の処女が魔物なんかに奪われるとは、悔しくて、もうどうにかなりそうだ。」
なんだって!マイラって処女だったのか?しかし、許嫁が居たよな。
うな垂れているマイラの父から離れ、俺はサラサーミさんに近づいた。
そして、俺は小さい声でサラサーミさんに聞いた。
「サラサーミさん、マイラって許嫁が居たんですよね。この国って、結婚前は純潔を守るものなんですか?」
「いいえ、でもマイラが許嫁になったのは、お互い5歳の時でしたし、相手は5歳で暗殺されてます。幼いころから一緒にいましたけどマイラは処女ですよ。そんなことより、助けてくれないんですか?井中さん。」
なるほど5歳じゃ出来ないわな。そうとなれば、すぐにでも、マイラを助けに行かねばならないな。処女と聞いては断然やる気が違う。
誰も助けてくれなくて、うな垂れているマイラの父に俺は言った。
「マイラのお父さん!俺が、行って助けてきます。そのダンジョンって外から転移魔法とか使用可能ですか?」
「おおお!行ってくれるのか井中さん。必要な荷物などは外にあります。外の従者と共に出発してください。」
「えーと、転移魔法は?」
「私からお教えします。あのダンジョンですと転移魔法は、中層まで使えます。これがダンジョンの地図です。」
「ありがとうサラサーミさん、それじゃ外の荷物貰っていってくるよ。」
と俺は、外に出て食料などの荷物を少量もち、貰った地図と”グラス”の地図を見比べて、転移で飛んだ。
もちろんマイラの父とサラサーミさんには、長距離転移のことは内緒にしてもらった。
◇
以前も解説した通り、”グラス”ではダンジョン内の阻害作用で、魔物類、人などがうまく表示できない。
表示が可能なのは、自分のいる場所から平面の半径10メートルの範囲のみである。
しかし、大体の位置なら表示から見当がつく、そう、マイラの位置が地下何メートル程度なのかという事ならだ。
ただその周りが壁なのかどうかというところが分からない。
つまり、転移だと壁にめり込んでしまう危険があるため転移が出来ないのだ。
俺は、中層までマッピングされている地図を使い、最短距離でダンジョン内を飛行魔法で進んで降りた。
もちろん魔物は倒しながらだ。中層までならLV324の俺にとっては瞬殺だった。
そして、マイラのいる場所を”グラス”で確認する。中層より15メートルほど地下にいた。約3階降りたくらいだ。
俺は、マッピングしながら、ダンジョンを下に進んでいった。
・・・・・・・・
3階下の階に到達して、マイラのいる辺りに近づくと、魔法か何かの光とその攻撃が当たっている音がした。
そばまで行った時、異様な人型の魔物が8体いた。
上半身は蝙蝠を人型にした感じで、下半身はビックフットのようであった。尻尾からは蛇が出ている。
しかしその魔物の顔は何故かイケメンだった。
どれも男型である。あそこで分かる。
LVは平均60位だ。
その先には、アイテムか何かで、防御結界が張られている。
奥にマイラを確認できた。マイラの純潔はまだ大丈夫のようだ。
俺は、アイスアローを15本撃つ。
ズシャー!ズシャー!ズシャー!ズシャー!・・・・・・・・
・・・・ざしゅ!ざしゅ!ざしゅ!ざしゅ!ざしゅ!・・・・・
ギャワー!ガワー!グワー!・・・・・
ブーン!ブーン!
不意打ちで3体を倒したが、流石は高知能で魔法も使える”サキュバサイィス”だ、魔法防壁を張りやがった。
俺は魔力を込め、ロングソードで防御魔法壁ごと切り裂く。
ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!・・・・
数分で、サキュバサイィスは俺の剣ですべて切られて床に転がった。
転がっているサキュバサイィスのあそこはデカかった。この大きさじゃ処女にはつらいわな。
「マイラ大丈夫か?」
と俺が呼びかける。
「哲次郎さんなの?」
「ああそうだ。」
マイラは俺だと分かると結界を解いた。
そこには、ボロボロのマントにやつれた顔のマイラがいた。
可愛い顔が台無しだ。
俺が近寄ると、マイラは抱き付いてきた。
「うあぁぁぁぁぁんんん!」
俺は、マイラを抱きしめてやった。
「ぐすん!ぐすん!もう、ダメかと諦めかけてたんだよ。」
「ああ、もう大丈夫だ。」
漫画ならここで感動のキッスだろうが、マイラを見ると鼻水と涙でちょっと無理。しょっぱそう。
「さ、帰るぞ。」
と手をマイラの引いたが、なんか動かない。
「あ、その、トイレいいですか?」
ああ、そうか緊張が解けたら、出したくなったと。
「ああ、いいよ。」
「向こう向いていてください。」
「ああ分かってる。」
たぶんその手の趣味の人は大興奮だな。
俺はまあ、音がするけど聞かなかったことにする。紳士だからな。変態紳士じゃないぞ。
「あ、終わりました。」
「じゃあ、行こう」
と手を引いたら、「あた!」とマイラがつぶやいた。
見ると足をねん挫している。
「マイラこっち来い。」
「きゃっ!」
と俺は引き寄せた。ライトの魔法で照らされたマイラの顔は赤くなっていた。
「よいしょっと。」
俺は、仕方がないのでお姫様抱っこしてあげた。
なんでおんぶじゃないかって、決まってるだろ、ヒーローはお姫様抱っこなんだよ。
でもお姫様抱っこって結構きついな、腰に来る。でも我慢我慢。
俺は飛行魔法で来た道をダンジョンのマッピングで確認し、魔物を倒しながら地上に出た。
もちろんマイラは、俺に抱き付いたままでね。
◇
地上に上がると、俺の顔を見てマイラが言った。
「哲次郎さん助けてくれてありがとう。」
そして、俺の頭を両腕で引き寄せて俺の唇を奪った。
ちょっとしょっぱい。でも気持ちいい。俺は舌を入れた。マイラは驚いたみたいだけど、舌を絡めて返してくれた。
暫らく見つめ合った。マイラの顔がうっとりしている。
このまま致したいところだが、魔物が寄ってきてしまった。
さっと俺は魔物を倒し
「そろそろ帰ろう。お父さんとサラサーミさんが待ってるよ。」
と俺は言いながら、荷物から簡易設置型転移ゲート魔法陣を取り出した。
簡易設置型転移ゲート魔法陣を作動させ、城の入り口付近にあらかじめ設置して置いた転移ゲート魔法陣とリンクさせた。
俺とマイラは、一気に城まで転移した。
城に帰ると、マイラの父とサラサーミさんが泣きながらマイラに抱き付いていた。
俺は散々2人にお礼を言われた。
もう深夜過ぎているので、3人は城の空き部屋に泊まることになった。
・・・・・
俺も部屋に戻った。
「ごしゅじんさま。大丈夫でしたか?」
と眠そうにサクミは待っていた。
「なんだ起きてたのか、寝ても良かったのに。」
「でも、さっきの二人もいたし、ごしゅじんさまが心配だったし。」
「そうか、ありがとう。サクミ」
とサクミを抱きしめてやった。
サクミは眠そうだったが、嬉しそうな顔をした。
サクミには悪いことをしたな。
でも、ついでにサクミに湯あみを手伝ってもらった。
そして、抱き枕にして一緒に寝た。
サクミの耳は、モフモフしてた。




