27話 レベルアップ 剣の勇者 2
本日2回目の投稿です。
俺と剣の勇者ケイゴは、ガルガナ蝙蝠に向かっていった。
上空からガルガナ蝙蝠が多数牙を向いて襲ってくる。
ギャー!グワー!ギャー!グワー!ギャー!グワー!ギャー!グワー!・・・・・・・
俺にとってはこの程度は訳ないが、剣の勇者ケイゴは苦戦をしている。
まあ、さっきの”痛い目を見てもらう”為、俺は手抜きをしながら剣でガルガナ蝙蝠を切って行った。
「きゃー!」
と女の子みたいな叫び声がした。後ろを振り返るとマイラムだった。
マイラムは足が泥に埋もれていた。魔法防壁を展開しているので、かろうじてガルガナ蝙蝠の攻撃は防いでいる。
ダンジョンのトラップが発動したのだ。
ドブトプドブトプ・・・・・
俺と剣の勇者ケイゴの足元にも泥水が迫る。
そう言えば、ドラゴンの勇者と螺旋の勇者が言ってたっけ、ダンジョンには泥沼トラップがあるってさ。
今回、俺はお宝がで頭一杯、剣の勇者ケイゴはレベルアップで力を存分に振るいたいなどの要因が働いて、トラップ確認を怠ってしまったのだ。
とりあえず現状を確認する。
魔導士や従者は、通路で魔法防壁を張って待機中なので安全。
剣の勇者ケイゴは、泥に足を取られてはいるが、剣を2本出し、周りすべてのガルガナ蝙蝠を切りまくっている。結構全滅させそうだ。
マイラムは、・・・・・・ガルガナ蝙蝠が多数マイラムの張った魔法防壁に群がっている。
そう言えばダンジョンだと広範囲の魔法が使えないから、厳しいとマイラムは言ってたっけ。
という事は、マイラム救出先だな。約束の剣もまだ貰って無いしな。
俺は、襲ってくるガルガナ蝙蝠を切り裂きながら、飛行魔法で泥の地面から這い出て、マイラム救出に向かった。
サシュ!サシュ!サシュ!サシュ!・・・・
俺はマイラムの周りのガルガナ蝙蝠をすべて切り落とした。
「マイラム、早く従者たちがいる通路へ!」
「はい、でも足が埋まっちゃって動けないです。」
見ると、マイラムの足は膝上まで泥に埋まっていた。
仕方ないので、俺は担いで持って行くことに決めた。
「マイラム!担いで連れてくぞ!」
「え?でも」
「いいから!」
と俺は、マイラムを引っ張り上げようとして、後ろからマイラムの腕の両脇に手を差し込んだ。勢い余って鎧の隙間に手が入った。
むにゅっ!
な、何だこれは?
俺は、わきの下に手を入れて引き上げるつもりだった。
しかし、手が滑った先は非常に柔らかいものがあった。
つい揉んでいた。いい感じだ。
「いやー!」
バチン!
と、俺のほほにマイラムの平手うちが叩かれた。
俺はもう一度確認しようとしたが、ガルガナ蝙蝠が迫った来ていたので、そのまま強引にマイラムを引き上げ、担いで従者たちがいる通路へ飛んで行った。
気づくと剣の勇者ケイゴが動かないので、俺はターンして、剣の勇者ケイゴのいる場所に飛んだ。
剣の勇者ケイゴの周りには、ガルガナ蝙蝠の死体が散らばっていた。
ガルガナ蝙蝠は全滅していたのだ。
その代償に、剣の勇者ケイゴは瀕死の重傷だ。
「ケイゴ大丈夫か?」
「テツ、ちょっと無謀だったかもな。体中痛いぜ、直してくれ。後、足がハマっちまって動けねえ。」
「ああ、今回復魔法を掛けてやる。」
と俺は、回復魔法を無詠唱で掛けた。
「お!すげえ!テツは無詠唱で回復魔法が使えるのか?」
「ああそうだ。それより、どうだ?足は、泥から出られるか?」
「・・手を貸してくれ。」
「分かった。」
と俺は手を差し伸べた。
これで、剣の勇者ケイゴは急なレベルアップの後も、無謀なことは慎んでくれるだろう。
しかし、もう一つ問題が発生している。そう、マイラムの胸にに付いている柔らかいのものだ。あれはいいものだ。
じゃなくて、普段は男として通しているマイラム、鎧で分からなったが、あれは胸だよな。マイラムは女か?それとも両方ついてるとか。
そうじゃなくて、女だってことを隠してあげないといけないな。あとで理由は聞くとして、とりあえず男として扱っておこう。
それよりお宝は?
見ると一面泥の湖になっていた。俺は飛んで中央の宝箱を開けたが中はなにも無かった。トラップの一環だったんだろう。
俺はがっかりした。
・・・・・
そのあと、マイラムの側に行き、女だという事は黙っていると伝えた。
マイラムは、頷いて顔を赤らめていた。
かわいい。
◇
泥のその部屋を迂回して俺たちはダンジョンを進む。
また、何度か魔物と遭遇して倒しながらパーティは進んだ。さっき懲りたので、トラップを注意して進む。
3か所お宝箱のある部屋を発見、1つはミメックだったが簡単に倒せた。
残り2か所がお宝だった。”ヒャッハー”大儲けだぜ!これで、明日から俺も女魔導士を雇える。
勇者への”LVアップの加護魔法薬”は3本使い時間も切れていたが、俺達は宝探しを続けた。
そして、今またお宝箱のある部屋に来た。
調子に乗って、目の前にある宝箱を開けた。
宝箱が光り、魔法陣が現れた!
しまった、これってあれか?転移か?
と俺が思っていたら、違っていた。
魔法陣は部屋の隅に浮かんだ。
そこから”アアナナベアーアー”が現れた。熊の魔物だ。
俺が昔ライトノベルで読んだ、女の子が連れている可愛い熊じゃ無く、とても凶暴そうで毛が逆立っている。
アアナナベアーアーは、召喚の直後の硬直で止まっている。
俺はステータスを見た。
アアナナベアーアー LV299
俺は叫んだ!
「みんな、逃げろ!俺が足止めする。」
しかしこのフロアは転移魔法陣が使えない、1階上の層に上がらなくてはいけないのだ。
従者たちは慣れているのか、まとまって逃げ始めた。
俺はアアナナベアーアーに”エアプレッシャー”の魔法を放つ。範囲を人サイズに狭めた高密度の俺独自のバージョンだ。
ダンンン!
ぐあわあああ!
とアアナナベアーアーは叫び、動きが止まった。
しかし、ダメージがあまり無さそうだ。
俺の経験からすると、”魔獣大陸”のLV300前後の魔物でも、ダメージを受けるはずなのだ。
何かの加護でもあるのか?
と考えていると後ろから声を掛けられた。
「テツ、何か策はあるのか?」
見ると、俺の脇には剣の勇者ケイゴとマイラムが残っていた。
「何やってる逃げろ!2人とも。」
と俺が言ったが、
「テツ1人死なせるわけにはいかない。」
と剣の勇者ケイゴは言った。
泣かせてくれるじゃないか、でも剣の勇者ケイゴはまだLV100以下、俺としては逃げて欲しい。
あと、マイラム、俺のレベル知ってるのになんで残ってるの?
しかし、アアナナベアーアーがまたこちらに向かってきたので、俺は、”フレアアロー”の魔法を放つ。
ゴオオオオオオオ!
ぐあわあああ!
とアアナナベアーアーは叫び、再び動きが止まった。
しかし、やはり大したダメージが無い。
その間に、俺は剣の勇者ケイゴに言った。
「ケイゴ逃げてくれ、俺なら大丈夫だ。言ってなかったが、俺のレベルは318だ。逆に足手まといだ。」
「な!認識阻害を使っているから、そこそこレベルは高いと思ったがそこまでとは、分かった。」
と言って剣の勇者ケイゴは逃げてくれたが、マイラムは残って言った。
「私も手伝います。指示してください。井中さん。」
「逃げろ!」
「でも。」
「いいから逃げろ。マイラム、足手まといだ。」
「・・井中さん、これを。」
と短剣を俺に渡してやっと逃げ始めてくれた。
俺は、魔力を纏わせた鋼の剣で切りつける。
ザン!
バシン!
アアナナベアーアーの右手で剣が止められる!そして、左の手を振りかぶって攻撃してきた。
ブン!
俺はバックステップで避ける。鋼の剣を見るとヒビが入っていた。
アアナナベアーアーの手を見ると、魔力か闘気が纏わりついていた。
『なんてことだ!ヤバイ!』と呟きながらマイラの渡してくれた短剣を見た。それは、鞘からチラリと黄金の輝きを見せていた。
アアナナベアーアーが突進して、右手と左手を振るう。
ブンンン!
ブンンン!
バックステップで右手の攻撃は避けたが、部屋が狭く、後ろの壁に詰まってしまった。
俺は左手の攻撃を、鋼の剣で受けた。
バキンン!
鋼の剣が折れる。アアナナベアーアーは、更に右手で攻撃してきた。
ブンンン!
俺は、ダッキングしながらマイラの渡してくれた短剣を抜く。
そして、左に半歩移動しながら、アアナナベアーアーの横腹を、魔力を纏わせた短剣で切った。
ぐぎゃあわあああ!
とアアナナベアーアーは叫ぶ。その脇腹からは、大量の血が噴き出した。
俺はその傷に手を添え、エアカッターを小さく絞り込み螺旋を描くように魔力を多め放った。
ズシュールルブブルルンンン!
・・・・・・・・・・・・バタン!
アアナナベアーアーの体内で肉がミンチになる音が聞こえたあと倒れた。
俺は、ようやくやったかと思ったが、アアナナベアーアーはのっそりと立ち上がってきた。
俺はサイドステップして距離を取った。
アアナナベアーアーは、魔法陣を出し攻撃魔法を放ってきた。
ガワガー!
3本の氷の槍が俺を襲う。高密度の”アイスランサー”3発だった。
俺は無詠唱で中級魔法防壁を10枚展開した。
”アイスランサー”は、今まで貰たことのない高密度の攻撃魔法のため中級魔法防壁9枚まで破られてしまった。
あと1枚残っていたが、アアナナベアーアーはその後続けて、熊咆哮を放った。
ガガガガガガガガガガオオオオオオオオオオオオ!
衝撃波が中級魔法防壁を破り、俺を襲う。
ぐはっ!
俺は部屋の壁に叩きつけられた。
しかし、アアナナベアーアーは俺に追い打ちを掛けてこない。
よく見るとアアナナベアーアーは足がガクガクしている。
そして、血が床に大量に流れていた。
動け無かったのだ。
俺は、回復魔法を自分に掛け歩き出し、アアナナベアーアーの前に立って力をため、深呼吸する。
アアナナベアーアーは、もう何もできない。恐らくこのままでも死ぬだろう。
しかし、俺は止めを刺してやることにした。
「おまえ強かったな。今、楽にしてやるよ。」
と俺は言って、動けないアアナナベアーアーの心臓を短剣で突き刺した。
ごぼっ!
・・・・・・・ドスン!
アアナナベアーアーは、倒れ死んだ。
アアナナベアーアーは、光に包まれて消えてしまった。
どこに消えたのだろうか?きっと熊の国とかだろう。
俺は、みんなの後を追った。
・・・・・・
みんなは上へ上がった所に心配そうに立っていた。
マイラムが俺を見つけて駆け寄ってきた。
「井中さん大丈夫ですか?」
マイラムの目が潤んでる。女の子とわかったとたん、すごく可愛く見える。抱きしめたい。
でも、マイラムは女という事を隠しているので、俺は我慢した。
「大丈夫だ。この通り。」
「血が一杯付いてるじゃないですか!」
「回復魔法使ってるからもう治ってる。」
「・・・・そうね井中さんなら回復できるもの。」
「ところで結構魔力少ないんだわ。マジックポーション持ってない?」
「もう無いです。宝探しで時間かけすぎたから切れました。」
「え、それマジ!」
「はい。」
俺は、剣の勇者ケイゴとその従者たちもマジックポーションを持ってないか聞いてみたが、残り3本しかないと言われた。
結局その日はこれで帰ることになった。
帰りにマイラムに女だという事を隠してる訳を聞いたが、後で家に剣を取りに来たとき教えてくれる事になった。
また、この日の分け前は、パーティでお宝箱を2つ手に入れたこともあり、凄い金額になったのは言うまでもない。




