26話 レベルアップ 剣の勇者 1
今日は、剣の勇者のパーティと一緒にレベルアップに行く予定だ。
俺は待ち合わせ場所に向かうため、部屋を出ると、そこにはマイラムがいた。
どうも俺を待っていたみたいだ。
「あの、井中さん、今日は剣の勇者のレベルアップに行くと聞きましたが。」
「そうだけど?」
「よかったら、私も連れて行って下さい。」
・・・・・歌う勇者めぐみと格闘の勇者リュウゴの御供はいいのかな?くびになったとか・・・・・。
「マイラムは、今日は歌う勇者と格闘の勇者について行かなくていいのか?」
「はい、今日お二人は、町の外れの温泉宿に行くそうです。その為、今日はフリーです。」
なんだと!デートじゃねえか!いいな、俺も彼女作って行きてぇ!
そうすると、マイラム休みだよな。休みの日にレベルアップとは、マイラムは真面目だな。
「・・・わかった。今日は、俺の付き人ってことでいいな。」
「ありがとう。」
と、剣の勇者のところには、マイラムと行く事になった。
◇
俺たちは、剣の勇者との待ち合わせ場所に来た。
8人もいる。
しかも、剣の勇者ケイゴの両脇には魔導士の女性が2人腕に絡まって楽しそうにイチャイチャしている。
くっ!リア充め。
俺は、イチャイチャしている剣の勇者ケイゴに話しかけた。
女性の魔導士は、俺が話し掛けると後ろに下がった。
「やあ、ケイゴさん。モテモテですな。」
「井中さんか、待ってたんだ。今日はよろしく。で、そちらの人は?」
「マイラムっていう魔導士で、今日は俺の付き人だ。よろしくな。」
「ああ、マイラムさんよろしく。ところで”井中”って名前呼びにくいんで、下の名前教えてくれない?」
「哲次郎だ。」
「・・・”テツ”って呼んでいいか?」
なんかなれなれしいな。
「・・・勝手に呼んでくれ。」
「わかった、勝手に呼ぶよ。あと俺は、ケイゴって呼び捨てにしてくれ。堅苦しいの嫌いなんだ。」
・・・・敬語とか嫌いなタイプか・・・
「ところでパーティの人数が多いのだが、どうしてだ?普通、城から勇者一人に3人位しか遣わされないはずだが。あと、そこの2人はケイゴの彼女か?」
「ああ、2人は俺の彼女ではなく雇っているんだよ。最近ダンジョンに入ることが多くてな、長時間もぐるために、転移魔法陣が使える魔導士の女性2人と、そこの荷物持ちを別にお金で雇ってるんだ。」
「でも、モテモテじゃないかよ。」
「まあ、2人には、あっちの方もしてもらってるからな。」
なん、だと!あっちの方もか!
「そ、それは、その2人に好意でしてもらってるのか?」
「んーと、最初は、金額をあっちの分多く取られたよ。でも今じゃ普通さ。」
普通ってなんだ?普通料金なのか?
「そ、その金はどこから?」
「そりゃ、ダンジョンでお宝を見つけたり、魔物の素材を売ったりさ。」
お宝だって!人を雇うほど、タンマリと見つけたのかよ。
「お、お宝はどれくらいの額だった?」
「ああ、もう一獲千金だったよ。」
「そりゃすげえ!」
是非、お友達になりたい。
「今度のダンジョンも沢山あるみたいだぜ。」
「本当か!」
「ああ、お宝タップリと噂のダンジョンだ。」
「早く行こうぜ。相棒!」
俺もお宝ゲットするぜ!そして俺も雇うんだ。女魔導士ってやつを!
・・・・・・・
そのあと、”LVアップの加護魔法薬”について勇者に説明してからダンジョンに向かった。
◇
馬車に揺られ、俺たちは、ダンジョンの入り口に着いた。
【”古代ジャバイレト”ダンジョン】
昔のジャバイレトという魔法使いが作ったと言われている。
今回のパーティ構成は、以下の通りである。
剣の勇者ケイゴ LV21
城から、従者二人、神官一人、魔導士一人
剣の勇者から雇われた、女魔導士2人、荷物持ち一人
魔導士マイラム LV62
俺(井中) LV318 |(だが、ばれないように今は認識阻害アイテムを使っている)。
ダンジョン内は、転移魔法陣を設置しても動かないところもあるが、このダンジョンは中層まで転移魔法陣が使えるそうだ。
その為、ダンジョンの外に転移魔法陣を2つ設置してからダンジョンにもぐった。
・・・・・・・
魔導士達は”ライト”を唱えて明かりを作っている。
中は洞窟のように湿っていて、空気が重い。
苔がびっしり生えている。
ライトに照らされ、無数の歪な影が出来る。
彼女がいれば、”キャー怖い”などと抱き付かれるような場所だ。
ぴちゃん!ぴちゃん!
奥で水音が響く。
入って、地下2階の通路の先に魔物が現れた。
灰色穴ネズミ LV12 3匹
「みんな、下がって魔法防壁を張れ!」
と、剣の勇者ケイゴは叫び、中央の灰色穴ネズミに切りかかる。
ザン!
じゅわー!
と一撃で一匹倒す。
俺は、左側の灰色穴ネズミを剣で突き刺す。
ズブ!
ぎゃわー!
と俺も一匹倒す。
右側の灰色穴ネズミには、マイラムが”フレアランサー”を撃つ。
ボシューン!
・・・ぎゃわーボウゥウウ!
と灰色穴ネズミが燃えて倒された。
魔法の一部がダンジョンの壁に当たって、壁を削ったが、見ていたら壁の傷がズズズと盛りあがり元に戻った。
後で聞いた話だが、魔法使いや錬金術師が作ったダンジョンは自己修復機能があるらしく、一定以上のダメージ以下なら自然に治るという事だ。もちろん大きすぎる破壊攻撃が行われると、修復する前にダンジョンが崩れてしまうそうだ。
戦闘が終わった。
「なかなかやるな!テツとマイラム」
と剣の勇者ケイゴが言ってきた。
「そういうケイゴこそやるじゃないか。」
と俺は返した。マイラムはペコっとお辞儀をしただけだった。結構人見知りなのであろうか?
「それじゃ、従者のみんな、魔物を解体して。」
と剣の勇者ケイゴは言った。従者はそれに従い解体を始める。
俺は先ほどの戦闘の仕方が気になったので剣の勇者ケイゴに尋ねた。
「ケイゴ、さっきは、あの程度の魔物なのに、みんなに魔法防壁を張らせて下がらせたのは何故だ?」
「ああ、言って無かったな。オレのパーティは、基本的に俺だけ戦う事にしたんだ。」
「何でだ?」
「今まで従者に戦わせたら、みんなひどいけがを負ったからさ。」
「そうか。」
確かに、急作りのパーティじゃ、怪我人ぞく出だわな。
「城ももう少しレベルが高い従者送ってくれればいいのにな。そこのマイラムみたいな強い人をさ。」
「人材不足なんだよ。しょうがない。」
と話していると従者の魔物解体が終わった。転移魔法陣を使い2名が魔物の素材を地上に持って行った。
便利だな、確かに人が多いが、これなら魔物の素材をすべて持っていける。人が雇えるわけだ。
「さあ!冒険の続きをしよう!」
と剣の勇者ケイゴは言いながら進み始めた。
俺は冒険はいいからお宝はまだか!と思いながらついて行った。
◇
それから何度か魔物と遭遇して倒しながらパーティは進んだ。当然トラップも注意して進む。
魔物が多く出現するようになってからは、剣の勇者ケイゴに”LVアップの加護魔法薬”を使ってもらっている。
地下16階に入り、通路を通ると、開けた空間があった。その中央には宝箱がある。
その空間の天井に、ガルガナ蝙蝠が3百匹以上存在した。この部屋のガルガナ蝙蝠の平均レベルはLV25である。
お宝だよ!『ヒャハァー!』と心の中で俺は叫んだ。
しかし、あの数のガルガナ蝙蝠だよ。
開けた空間の天井にガルガナ蝙蝠が多数いるのは、この世界では当たり前なのだろうか?
と思っていると、マイラムが話しかけてきた。
「井中さん、あのガルガナ蝙蝠の数だと攻撃3人じゃ無理そうです。迂回しませんか?」
・・・・しかしお宝が・・・・
「ケイゴどうする?」
「何言ってる、レベルアップのチャンスじゃ無いか!」
もう、剣の勇者ケイゴはLV42であった。
たぶん、剣の勇者ケイゴは急にレベルが上がって調子に乗ってる。
止めさせないと重傷を負うか死んでしまう。
と俺は思ったが、今までの経験上、本人が痛い目を見て無理だと分かってくれないと、同じことを繰り返す。なので痛い目を会ってもらおうと思った。
そう、今回は従者たちは安全だから。
もちろんお宝もゲットするためじゃないよ、信じてくれ。
「分かった。マイラムは後方で援護してくれ、俺は左側、ケイゴは右側でいいか?」
「そうこなくちゃ!いくぜ!」
と戦闘が始まった。




