19話 レベルアップ 格闘の勇者&歌う勇者 1
ゴトン、ガタン、ゴトン。
俺は馬車に揺られて移動している。慣れたせいか乗り物酔いはしていない。
勇者一行と馬車に乗って、魔の海岸に向っている。
今日のパーティメンバーは、勇者が二人、若手の神官が二人、魔導士が二人、従者が二人、そして俺。
勇者二人のベルアップの手伝いに来ている。
勇者二人のステータスは以下の通りである。
歌う勇者めぐみ:磯貝 恵美 LV12 金髪の18歳くらいの妖精のような人物
装備:歌の勇者指輪 魔法の服+
HP **/** MP ***/***
・・・・・・・
格闘の勇者リュウゴ:木下 満男 LV17 世紀末のヒーローの様な筋、短髪黒髪。
装備:格闘の腕輪 ライトアーマー メリケンサック
HP ***/*** MP **/**
・・・・・・・
二人とも、三日程でレベルが二ほど上がっていた。
ついでにこの間、魔法の訓練で知り合った。若い魔導士
魔導士:マイラム LV60
装備:魔道の杖 魔法の服+ 魔法のマント+
HP **/** MP ***/***
・・・・・・・
歌う勇者めぐみと格闘の勇者リュウゴは、出発からずっと楽しそうに話している。
俺は蚊帳の外だ。
他の神官とかは緊張しているせいか、黙ったままであった。
俺は退屈だったので、マイラムに話しかけた。
「なあ、マイラムさん、勇者のサポートはいつからやっているんだ?」
「はい、一週間前からです。」
「なんかみんな緊張してるけど、どうしてだ?」
「それは、前回、同じ歌う勇者様と一緒だった時、魔物の大群に襲われて、従者が四人と魔導士が一人死んでしまいました。」
いきなり重いな。
「それは、大変だったな。魔物が強かったんかな?」
「いえ、魔物は強くなかったんですが数が多く、しかも、歌う勇者様が一番先に逃げてしまって、陣形が崩れパニックになり・・・・最後は、私が何とか魔法で追い払いました。」
・・・・あの女勇者ならやりかねないな。
「・・・・今回は俺がいる。勇者に先に逃げるなんてみっともない事させないよ。」
「ありがとうございます。」
もっと明るい話がしたかったんだけどなぁ・・・。
ゴトン、ガタン、ゴトン。
・・・・・・・
そろそろ、海が少し見えてきた。
ゴトン、ガタン、ゴトン。
・・・・・・・
魔物の気配がした。
俺は、腕輪の宝石を触り”グラス”と呟く。
サングラスが俺の顔に現れる。
マップを表示した。
「え?なに?」
隣にいたマイラムは、俺のサングラスに驚いていた。
マップを見ると、上空に魔物が六匹飛んでいた。
表示によると”大海魔鳥”と言う魔物だ。
レベルを見ると、LV15だ
俺は勇者達に知らせ、馬車を止めた。
当然、勇者には”LVアップの加護魔法薬”を飲んでもらった。
神官や魔導士が馬車から降りて配置につく。
格闘の勇者リュウゴは、空に向かって構えをとる。
歌う勇者めぐみは馬車から降りて歌いだした。
「らあーらあーっ♪・・・・・・・♪」
歌と共に、音のウエーブが大海魔鳥に響きとどく。
グギャー!グギャー!グギャー!
それを食らった三匹が、苦しそうにバランスを崩した。
『超音波攻撃だったか。ジャイアンも真っ青だな』と俺は思った。
しかし、倒すまでに至ってない。
横から別の大海魔鳥三匹が波状攻撃で襲ってきた。
それを格闘の勇者リュウゴが迎え撃つ。
「気功波!」
ゴオーッ!
グッ!ハー!
・・・ドズーン!
と最初の一匹が気功波で撃たれ落とされる。
俺は『ほう、気功波かゲームで出てくる白い道着を着たキャラが出す技みたいだ。』と感心した。
次に迫りくる大海魔鳥を魔導士が魔法攻撃をする。
「アイスアロー!」
翼につきささり、大海魔鳥が方向を変えフラフラする。
『中々優秀だが、レベルのせいで倒しきれないか。』と俺は心の中で呟く。
後ろに控えていた三匹目が襲い掛かる。
ガァー!
その三匹目に、格闘の勇者リュウゴがジャンプして蹴りを放つ。
「破!」
ガァッ!
・・・ドスン!
その蹴りで、大海魔鳥は地面に落ちる。
歌う勇者めぐみは、格闘の勇者リュウゴが落とした魔物二匹にに止めを刺す。
「エアカッター!」
ザシュウウ!
大海魔鳥二匹は、その魔法で切り刻まれて絶命した。
しかし、攻撃は終わらない。
先ほど、歌う勇者めぐみに超音波攻撃を受けた大海魔鳥三匹が、バランスを取り直して襲ってきた。
三匹の同時攻撃だ。
三方向からパーティを襲う。
ボオオオオオオオ!
そこに、マイラムが”ファイアウォール”を展開する。
ギャース!ギャアア!グワー!
大海魔三匹がファイアウォールにぶち当たり苦しむ。
大海魔三匹はフラフラと回避行動をとった。
『ファイアウォールか、今度教えてもらおう。』と俺は思った。
格闘の勇者リュウゴが”気功波”で追い打ちをかける。
ゴオー!
グギャ!
・・・ドズーン!
体がへこみ、大海魔鳥は地面に落ちる。
歌う勇者めぐみが、”ファイアアロー”を放つ。
ゴシュン!
ガ!
・・・・ボタン!
翼が燃え尽き大海魔鳥が落下した。
マイラムもつづけて、”ファイアアロー”を放つ。
ゴーシュン!
ガゴオオ!!
・・・・パラパラ!
大海魔鳥は灰に変わった。
『レベルが違うと威力がやっぱ違うね。』と俺は心で呟く。
残るは一匹、翼にファイアアローを食らって地面にもがいていた大海魔鳥には、魔導士が再度”ファイアアロー”を放ちこれを倒した。
・・・・・
戦いが終わると、歌う勇者めぐみが俺に抗議してきた。
「ひどいじゃないの、何故、貴方は戦わなかったの?」
「・・今のは俺抜きで、つまり、このパーテイだけで倒せる相手だったから手を出さなかった。」
「そうなの?一人だけ楽するつもりなんじゃなくて?」
・・・・・楽って、あんたはレベルアップに来たんじゃないのか?むしろ魔物を譲ってやってるんだが・・・。
「俺はレベルアップのサポートに来ている、なるべく勇者が魔物を倒して欲しい。どうしてもっていうのなら少し戦闘に参加するが。」
「わかったわ。好きにするといいわよ。」
と言って、格闘の勇者リュウゴの所に行ってしまった。
マイラムも俺に抗議してきた。
「井中さん!どうして見てただけなんですか?」
「今の話聞いてなかったのか?」
「それは・・・・でもみんなで協力して戦わないとチームワークが乱れます。それにさっきは、”勇者にみっともない事させない”って大きな事言っておいて・・・井中さんがみっともないです。」
・・・・・えらい言われようだが、俺が間違ってるのか?
「危なくなったら、俺も戦うからそんなに怒るなよ。」
「・・・・・・」
なんかジト目で見られてるよ。




