16話 剣の練習 1
今朝は、神官に防具一式あるかどうか尋ねた。
神官は使用人に言って、ライトアーマーと鋼の剣を用意した。
俺は、ライトアーマーと鋼の剣を手に入れた。
その時に聞いたのだが、今日は、週に一度の剣の訓練がある日だという。
勇者と言っても、剣の勇者以外は、剣術を自分で身に付けなければならなかったのだ。
城から、騎士団員数人が中庭に集まって来た。
勇者達も歌う勇者以外は全員来ている。
俺も勇者達と一緒に参加する事に決めた。
ちょうど林健吾が居たので話しかけてみることにした。
「よぉ林、この訓練って、どういう事するんだ?」
「井中か、剣の型の練習を最初してから、刃が無い刀で騎士たち相手に模擬訓練をするんだよ。」
「へえ、林は、どれくらい上達した?」
「まだ、今日で2回目だ。前回は騎士に遊ばれたよ。」
「仕方ないよ。だってお前、運動もろくにして無かったじゃないか。」
「そうだな、でも、俺TUEEする為がんばるんだ!」
「そうだな。俺TUEEいいよな。」
「ああイイ。」
・・・・そういえば、ベッタリの三田村さんがいないな。
「ところで、彼女はどうしたの?」
「剣の練習見てるのは嫌だからと言って、歌う勇者めぐみさんと一緒に美容の湯に入ってるよ。」
「美容の湯なんてあるのか?」
「あるみたいだな。今度いっしょに覗くか?」
「・・・彼女に殺されるぞ。」
「冗談だよ。」
と話していたら、騎士団長が来て型の練習が始まった。
内容は、片手剣の基本の型で”突く”、”切る”、”受ける”、”受け流す”の四つの理念で出来ていた。
俺は、中国武術の剣舞を昔教わったこともあり、似ている動作はすぐに覚えられた。まあ、変な癖があると注意されたけど。
模擬戦になった。
刃が無い刀と盾をもって順番に模擬戦が始まる。
俺の順番になった。
若い騎士と俺が練習場に立つ。
「お願いします。」「お願いします。」
とお互い挨拶する。
「始め!」
と言われて、若い騎士が、ダッシュで俺の前に切りかかってきた。
おいおい初心者にそれはないだろ。
俺は盾で受けた。
ガン!
と鈍い音がしたが、衝撃はほとんどなかった。
次の攻撃をかわして切ろうと思っていたが、遅い、若い騎士の動きが遅く見えるのだ。
俺は騎士の腹に軽く剣を当てた。
「ぐふう!」
と吐いて、倒れてしまった。
「そこまで。」
と騎士団長がストップをかける。
回復薬の神官が急いで若い騎士に回復魔法を掛けた。
忘れていた。俺はLV300だった。
若い騎士のレベルをステータス表示で見たら、LV25だった。
騎士団長が近づいて来た。
俺は身構えた。
「これは、弱い者を練習相手に選んでしまい。申し訳なかった。」
と騎士団長は言ったが、目は俺を睨んでいる。
「いえこちらこそ、もう少し手加減をすれば良かったです。」
「ほう手加減、見たところ、剣技は素人に近いと思いますが、レベルはどうやって上げたのですかな?」
「私のレベルが分かるのですか?」
「いや、鑑定能力はないので分からないが、今の勝負はの優劣は、剣技ではなくレベル差であったと見受けられる。」
鋭いな。ちなみにステータスを見たら、騎士団長のLV122だ。グリーンドラゴンより高い。
「レベルはそこそこあるのですけど、剣技が素人で、剣技を身に付けたいのですが、・・・・・」
「それなら、私直々に教えよう。して、其方のレベルは?」
「・・・他の人には言わないでください。・・・ごにょごにょ・・」
と俺は小声で言った。
「そんなにあるのか!わかった、他の者には黙っていよう。」
と騎士団長は目を見開いて驚いていた。
「では、今から私と模擬戦をしようぞ。井中殿!」
・・・レベル差があるのに模擬戦を挑んでくるとは、バトルジャンキーか?
「騎士団長、もし、俺が勝ったら面目が立たないと思うのですが、本当にやりますか?」
と親切に言ってあげたら、眉をししかめてこう言った。
「その程度のレベル差で、剣技もない奴が勝てると思っているのか未熟者め。」
俺はその言葉に、ちょっと冷静さを失って、模擬戦を受けてしまった。
◇◆◇◆◇
団長と俺が練習場に立つ。
「お願いいたす。」「お願いします。」
とお互い挨拶する。
「始め!」
の声が響く。
団長は動かない。
俺は、先に攻撃を仕掛けた。
ザッ!
斜めにステップインして、盾が無い右側から首を切りつける。
ギャン!スルッ!
団長は、動きは早くないが、何故か俺の剣撃を受け流す。
俺の剣が綺麗に流されるのと同時に、滑らかに団長の剣先が俺にはしる。
ヒュン!
恐らくレベル差で、ゆっくり見えているのだろう、そのカウンターを俺は無理やり避けた。
体制が崩れた俺に団長の剣先がブレて俺に向き直る。後で聞いたが”燕返し”らしい。
ヒュッ!
ガキーン!
俺は無理な体制だったが、これを盾で受ける。
受けた反動を利用して、団長は俺の胴を切りつける。
ビュン!
体制が悪い俺は、見えているのに避けられない。
そこで俺は、前方受け身で転がって逃げた。
その時、剣が邪魔なので手放してしまった。
ゴロンっ!
スカッ!
団長の剣が空を切る。
俺が立ち上がる頃には、団長が目の前に迫ってきた。
当たらないことにイラつているのか、殺気立っている。
先ほどと違って、剣も何かうっすら魔力が纏わりついてるようにも見えた。
団長の一撃が、俺に迫る。
ザン!
ガキュッ!
俺は、盾でブロックすると同時に、無意識に右拳を団長に繰り出していた。拳法の突きだ。
ドガン!
バガン!
団長は盾でこれをブロックしていたが、レベル差の力でぶっ飛んで後ろの城壁にぶつかってしまった。
「止め!」
とそこで、審判の止めが入った。
勝負が終わってほっとしたと時、気づいた、俺の盾が砕けていたのだ。
さっきの魔力の乗った剣か?と考えていたら、団長が立ち上がった。
そして、ゆっくり俺の所に歩いてきた。
「井中殿、さっきは暴言をはいてすまなかった。其方の拳法の技量は大したものだ。」
どうやら、俺が拳法をかじっていることを手合わせで感じたらしい。しかし、完全にレベル差で勝ったようなもんだ。恥ずかしい。
「いえ、私は未熟者です。団長のレベル差をものともとしない剣技に感服しました。どうか剣技をご教授下さい。」
と剣技を教えてもらうため頭を下げ、それらしく褒めながら俺は言った。
レベル差があるのにあそこまでできる剣技に興味がわいたからだ。
「あい分かった。」
とそれから、終わりまで団長に剣技を教えてもらった。
・・・・
・・・・
・・・・
あとで、ステータスを確認したら、剣技LV19だけでなく、拳法技LV37が増えていた。




