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実母を異世界に強制送還してくれませんか?

作者:

ふと思いついたお話です。

さらりと流し読みしてください。

私、リリージュ・マリナ・サンルージュには二人の『両親』がいる


生みの親と育ての親


生みの親には生まれてから一度も抱きしめられたことはない

彼らにとって私は予定外の存在らしい

私が生まれて数日後

赤ん坊である私に対して育児放棄していたので、育ての親が私を強引に引き取ったらしい


生みの親と育ての親は『親友』らしい。

だが、育ての親である沙希さんとリューイさんはその話を聞くたびに無表情で

「あいつが俺(私)の親友だって?どこまで頭がお花畑なんだ?」

とものすごーく冷たい低い声で告げるそうだ。

その言葉の意味を理解した人は二度と同じ話題を振らないという。


さて、両親の名前を見て気づいた方はいらっしゃるかしら…

沙希さんは異世界人です。

本名は黒澤沙希

この世界では珍しい漆黒の瞳と背の中ほどまである艶のある髪をもつ美人さんです。

ただ美しいだけではなく優しく、心が温かい人です。

優しいだけではなく時にはものすごーく厳しい時もありますが、それも愛情だとわかっているので沙希さんを嫌う人はあまりいません。

沙希さんは私達若い女性たちの憧れなんです!

私も沙希さんのような黒い髪がよかったな…

私の髪はこの世界では大勢いる、実母と同じ栗毛色なんです。

瞳はダークブルーで光の加減で黒かったり青かったりします。

って、話が逸れたので戻しますね。


沙希さんは私が生まれる前に通っていた学校の扉を開けたらこちらの世界『アグラージュ』に来てしまったらしいのです。

その時『アグラージュ』は魔族が暴れまわっていました。

そこで国王が魔族を抑えることができる聖女を召喚したのですが、召喚されたのは二人。

沙希さんともう一人…私の実母でした。

国王たちは魔族の象徴である漆黒の髪を持つ沙希さんを忌避し、実母を『聖女』として崇めました。

沙希さんは『聖女』の願いにより、彼女たち『聖女ご一行』と魔族を説得する旅をしたそうです。

その時、沙希さんは知ったのです。

実母の頭の中が常にお花畑(イケメンが関わらないと行動しないバカ)であることを…

『聖女』とは名ばかりで、旅先で出会ったイケメン達を自分のハーレムの一員にして遊んでいると…


実質『聖女』として魔族と交渉したのは沙希さんでした。

殺戮では堂々巡りでいつまでたっても平和は訪れないから話し合いをしようと…

交渉という手段を取ったのです。

これは、旅に同行した実母のハーレム要員ではないまともな騎士たちから聞いた話なので間違いありません。

魔族が暴れていたのは私たち人間が魔族の領域を侵したから…

はるか昔に交わされていた誓約を私たちが破ったからだったのです。

そのことに上級魔族と根気よく交渉を続けていた沙希さんは気づき、同行していた第一王子にその旨を伝え国王から再び魔族の王と誓約を結ぶことを確約しました。

この時、沙希さんは魔王に見初められて一緒に暮らさないかと言われたらしいですが、丁重に辞退して、代わりに『聖女』はどうかと提案したが「こんなバカはいらない」と速攻断られたそうです。

ちなみに魔族との再誓約という功績は沙希さんではなく『聖女』のものになったのは言うまでもありません。

同行していた第一王子や魔道師たちは本当のことを伝えようと頑張ったらしいのですが、国王たち頭が固いおじさんたちが受け付けなかったそうです。

沙希さんも

「私がやったというよりも『聖女様』のほうが後々面倒がないでしょ?私は平々凡々の生活ができればいいよ。それに二度と聖女様(あの娘)とは関わりあいたくないからね」

とあっさりと功績を手放したのでした。

もっとも、元の世界に帰れないと言われていたので居住と生活に困らないだけの金はしっかり受け取ったみたいです。


その後、『聖女』は魔族から人々を救った救世主として崇められ、王位継承権はないが一生贅沢をして暮らせるほどの金を持っている第三王子と婚姻を結んだ。

婚姻を結んだ後も逆ハーレムを築き、イケメンを多数侍らせていたらしい…第三王子もそれを容認していた。

(第三王子も何人か愛人を囲っていたからお互い様だと思っているのだろう)

そして、数年後『私』が生まれた。


沙希さんも同じ頃に一緒に旅をしていた魔道師の補佐をしていたリューイさんと恋仲になり結婚し、双子の男の子を産んでいた。

ある日、実母たちが私の教育を放棄していると知り(第三王子付の侍女たちからの情報(リーク))、死にかけていた私を助けてくれたのです。

一応侍女たちが実母たちに見つからないように私の世話をしてくれていたみたいなのですが我儘な人達(私の実の両親)の世話で手一杯で、私にまで手が回らなくなって沙希さんに泣きついたそうです。

私が生まれた時、国王は孫の誕生を喜びはしたが息子たちが育児放棄していたことを6年間も気付いていなかった。

この国では子供の成長を願う儀式(3年ごとに成人する18歳まで行う儀式)を行っていないことを知って、初めて私がサンルージュ家に引き取られたことを知ったという。

普通、気づくだろうが…

仮にも王家の人間だぞ…と成人した時に思いっきり批判してやりましたけどね。



私は6歳になるまで沙希さんが実の親でないことを知りませんでした。

6歳の誕生日の時、初めて第一王子(魔族との再誓約後王太子になった)から聞かされたのです。

あ、リューイさんと王太子殿下は幼馴染で実母たちにばれないように密かに連絡を取り合っていたそうです。

6歳と言えば魔法学院(魔力を持っている者は身分に関係なく入学できる)に入学が許される年です。

戸籍上は沙希さんたちの娘ではない私。

世間では私は離宮で隠れるように暮らしている病弱な姫様という設定になっているらしい。

そのことで王太子殿下が心配されてサンルージュ家にお忍びで来られたのです。

しかし、沙希さんは笑いながら

「だれもマリナを『聖女様(あのバカ娘)』の子だとは思わないわよ。姿形は似ているけど雰囲気が全然違うでしょ?心配しなくても私たちの娘として入学させるわ。そのことはすでに国王陛下にも許可貰っているしね」

とあっさりと解決策を提示したのだった。


あれから10年

私は今度は社交界デビューをしなければいけない。

サンルージュ家は質素な暮らしをしているけど実は大貴族…歴史ある由緒正しい侯爵家だった。

「名前だけだよ。まあ、過去に何人か王女が降嫁したり、一族の娘が王妃になったりはしたけどね」

とリューイさんは笑っていた。

さて、ここで問題が発生しました。


実の両親が私を引き取りたいと言い出したのです。

その話を魔法学院の応接室で聞いた時は

「何を言っているんだこいつら」

と思いましたね。

どうやら私の成績(学年首席)を見て自分たちの娘だと自慢したくなったらしいのです。

もっとも、沙希さんたちの猛反対にあっています。

今まで放っておいて今更何を言っているんだ!と国王陛下やお偉い様達を巻き込んで毎日攻防戦を繰り広げているそうです。

「沙希さん、リューイさん」

学院の応接室で私は沙希さんとリューイさんにお願いをした。

「実母を元の世界に強制送還させることって可能ですか?たしか、今実験してますよね?」

「は?」

「え?」

私のお願いにお二人は一瞬驚いたような表情を浮かべましたが、次の瞬間にっこりと微笑むと

「なるほど、その手があったわね」

「うんうん、ついでだからあの第三王子(バカ)も一緒に送るか。実験にはちょうどいい」

「実の両親がこの世界からいなくなれば、私は堂々とサンルージュ家縁の娘になれるし、あの我儘な人(うるさい人)たちからも解放されるし…ね」

にっこりと笑みを浮かべ微笑み合う私たちを見た、たまたま居合わせた学院長は

「絶対にサンルージュ家を敵に回してはならない」

と顔を青ざめながら知人たちに話していたとか…


数か月後

転移魔法の実験中に魔力が暴走して、たまたま見学に訪れていた第三王子夫妻が異世界に飛ば(追放)された。

魔道師たちは(表向きは)必死に捜索をしたが、帰還不能と判断された。

そして、私は晴れて『サンルージュ家』に縁のある娘として社交界デビューしたのであった。


あ、そういえば…

私、実母の名前知りませんでした。

まあ、もう二度と会うこともないですし…もう関係ない人ですから構いませんわよね。

だって、私の母は『黒澤沙希』だけですもの。



勢いだけで書いちゃいました。

人物設定とかあるけど…まあいいか(笑)

お読みいただき、ありがとうございます。

誤字脱字は見つけ次第訂正しようと思います

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