第七話 理事長
今度は高級そうな扉の前にいる。
そして表札には[理事長室]と達筆な字で書かれている。
なぜ俺を選んだのか、それ知りたくてここまで来た。
コン、コン
誰もいない廊下にノックの音が響く。
「どうぞ。」
部屋の中から、威厳のありそうな男の声で返事が返ってきた。
「失礼します。」
そして俺は扉を開けて中に入った。
部屋の中はアニメなんかで出てくる部屋そのままで、全体的に落ち着いた雰囲気をかもし出している。
「やはり君だったか。」
部屋の奥から先ほどと同じ声が聞こえた。
そこには、理事長としてはまだ若いだろう30歳ぐらいで、茶色の髪をオールバックにし、スーツを着た男が座っていた。
そして俺はこの人を知っている。
「お久しぶりです。仁{じん}さん」
「そんな他人みたいな言い方じゃなくて父と呼んでくれよ。」
「すみません、俺はまだ[信じていますから]・・・」
「・・・なら仕方ないね。」
俺にも秘密のいくつかはある。
そしてそれを知っているのはたぶん仁さんだけだ。
少しの沈黙の後、先に口を開いたのは仁さんだった。
「用件は、特活部のことかな?」
「はい、そうです。なぜ無能力者の俺を特活部に?」
「それは月光君が言わなかったかい?」
「あれだけじゃ納得いかないんです。もう少しちゃんとした理由を教えてください。」
いきなり『君たちと彼の為だ』と言われても納得する方が難しいだろう。
「それは君のほうがわかっているんじゃないかな?」
「??、言葉の意味がわかりません。」
「いずれわかるさ。で、用件は用件は他にあるかい?」
「い、いえ、これだけです。」
なにか追求しようとしたが、話を終えられてしまった。
(また今度聞けばいいか・・・)
「では失礼します。」
後ろを振り向き帰ろうとした俺に
「たまには、帰ってきてくれ。そうしたら[家族]も喜ぶから」
俺はその言葉を聞いた瞬間、泣きそうになった。
([赤の他人]の俺のことを家族とまだ言ってくれるなんて)っと。
でも俺はそれをしちゃいけない、と同時に思った。
「すいません、俺は帰りません。・・ですがいつかは伺いたいと思います。」
俺はそういった後に、逃げるようにその場を後にした・・・。
■□■□■ sile仁
「『でもいつかは伺いたいと思います』・・・か。」
(彼も一人で背負い込む必要はないのに・・・)
「そして自分の[秘密]にも気づいていないか。」
彼には、大きな謎がある。
そして本人も気づかない。
「でもいつか君は大きな壁にあたる。その時にその[秘密]に気づくだろう。」
(後は君の選択次第だよ。錬君・・・)