第三話 火の妖精
俺はまず相手の放ってきた火の玉をかわした。
「へー、結構やるじゃない。ならこれはどう!」
フードの先輩{次からはフード先輩}は今度は、複数の火の玉を作りこちらに放ってきた。
(おいおいマジかよ!)
とりあえずこんな狭い路地裏じゃ避け切れそうにない。
どうしようか考えていたら、近くに大きなゴミ箱があった。
(これならっ!)
俺はそのゴミ箱を一番多く火の玉が飛んできたところに蹴り上げた。
思った通り火の玉は蹴り上げたゴミ箱に当たって消えた。
ゴミ箱は燃えてしまったが・・・。
(今のうちに!)
そしてゴミ箱を蹴った方へと走って行き相手に近ずいた。
こちらは何も持ってないので近づいて攻撃するしかないからだ。
「あんた戦い慣れてるわね?今のは普通とっさに出来る芸当じゃないわ。」
「お褒めの言葉どーも。」
「でもあたしに近づいたのは不正解!」
なんとこんどは自分の前に火の壁を作り上げたのだ。
「どう?まーファイヤーウォールってとこかしら?」
「こんなのどうってことないさ。」
俺は両手を顔や頭の前でクロスさせて火の壁へ飛び込んだ。
そして服についた火を消すように地面に転がりながら着地した。
「な!じゃあこれなら」
なんとフード先輩は手に剣のようなもの持っていた。
(あんなん喰らったら死んじまうぞオイ!)
「喰らえ!ファイヤーウィップ!」
なんと手に持っているのは、剣ではなくムチだった。
しかもすごくムチの動きが速いから近づけない。
「くそ!」
「さっきまでの勢いはどうしたの!」
今度は相手が近づいてきた。
(あのムチは火で出来てるからつかむ事ができねぇ!かといって後ろは火の壁だ!)
まさに逃げ場など無く、絶体絶命な状況にある。
「もうここまでね。じゃああたしのストレス発散を手伝ってもらうわよ!」
(どうすればいい!?どうすれば・・・!)
「安心しなよ。そんなに痛くないように燃やしてあげるから。」
(そうか!まだ手はある!)
「まだ終わってないぜ先輩!」
「負け惜しみ?男の癖に見苦しいわね。」
「これならどうだ!?」
と言い足元の小石を拾いそれを投げつけた。
だがフード先輩は火のムチでそれを止めようとした。
だが・・・
「なっ!」
投げた小石は火のムチを通り抜けて焼け石状態で飛んできた
すかさず体を軽くひねり小石を避けた。
「やっぱりそのぐらいの火じゃすぐには石が燃えないようだな。」
俺はその隙ににフード先輩の目の前まで近寄った。
「くっ!でもその距離じゃあたしのファイヤーウィップは避けられないわよ。」
「避けられないなら止めればいい。」
「どうやってあんたにはさわれない火のムチを止めるのよ!?」
「火のムチは無理でもあんたの手は止められる!」
俺は火のムチを振るおうとした瞬間に右手を左手で抑えた。
「もらったーーー!!」
俺は右手を大きく振り上げて殴りかかった。
「まだまだぁ!!」
とフード先輩が言った時、火のムチは形をグネグネした槍に変わり俺に襲い掛かってきた。
(やばいけどタッチの差で俺の方がわずかに速い。これなら殴って攻撃を止められる!)
「うおぉぉーーーー!!」
「はぁぁーーーー!!」
互いに叫ぶ。
そしてパンチがフード先輩に当たる瞬間
ドカッ!
という壁を殴ったような音が殴った方向から聞こえた。
■□■□■
(なんだこれ!?)
なんと殴った先にあちらが透けて見える薄い水色の壁があった。
(おかしい!この人の能力は炎{フレア}のはず。こんなもの出せないはずだ!?)
ふとフード先輩の顔を見ると、とても驚いた顔をしていたがすぐに怒ったような顔つきになった。
さらにフード先輩の攻撃も同じものに遮られていた。
つまりどちらの攻撃もこの壁らしき物のせいで当たらなかったわけだ。
(どうゆうことだ?この近くに他の能力者がいるってことか?)
だが周りを見回しても誰もいない。
と言うかさっきフード先輩の出した火の壁のせいで、入れないはずだ。
(まさか視覚操作系の能力者か!?いやでもそうだとするとこの壁みたいなのの説明がつかない・・・)
あれこれ考えていると
「部長!いるんだったら出てきてくださいよ!」
とかフード先輩が言い出した。
「ずっといますよ。あなた達の上に。」
その声を聞いて俺は上を見上げた。
そこにはなんと人が浮いていた!
(いや違う。自分の足元にさっきの壁みたいなのがある。)
その人は女性で髪の色は濃い茶色で長い髪をなびかせていた。
顔は大人っぽく、なんと言うか優しそうで綺麗な人だった。
驚いたのはその女性も風雲高校の制服を着ていたことだ。
リボンは黄色、つまり最上級の三年生だ。
そしてなにより
(くそー!向かい風のせいでスカートの中が見えない!これが噂の[鉄のカーテン]か!?)
などと落ち込んでいたら
「物が燃える匂いがしたからまさかと思い、きてみれば・・・。」
「部長!人の私情に首を突っ込まないでくださいよ。」
「あのまま戦っていたらそちらの彼は大怪我を負ったでしょう。それになんで一般人に対して能力を使っているのですか?」
「それはそいつがあたしの獲物をt「まぁ、大方その後に小さいやらなんやら言われて能力を使っただけでしょうね。」
「うぐっ!」
(おお!大体合ってる。すげーあの部長とか言う先輩、あのフード先輩を押してるよ)
「でも・・「言い訳は聞きません。とりあえず学校行ったら反省文です♪」
「えーー!」
「ですから学校へ行きますよ。」
「ハーイ・・・」
すごくダルそうなフード先輩をよそに三年の先輩こちらに降りてきた。
だがやはり鉄のスカートは破れなかった。
「この度は本当にすみませんでした・・」
「いやいや!こっちにも非はあるんだし、おあいこですよ!」
「まあ!お優しい人ですね。」
すごく綺麗な笑顔でおもわず[ドキッ!]っとしてしまった。
「えっ!いや普通ですよ。」
「ありがとうございます♪では私はこの辺で。急がないと遅刻ですよ。大瀬 錬さん。」
と言い行ってしまった。
(ん?なんで俺の名前しってんだ・・・?)
「って遅刻って今何時!?」
携帯で確認すると
「授業まであと2分!!」
そして周りを見るといつの間にかフード先輩までいなかった。
「遅刻するー!!!」
となんか朝と同じ台詞を言いながら全速力で学校まで走った。