第二話 禁句
「なぁ、良いだろ~。学校で勉強するよりずっと楽しいぜ~。」
(おいおい。いつの時代のナンパだよ。)
とか思いながら声がするほうを見ると、路地裏にちゃらちゃらした男3人が赤いフードをした女の子を囲んでいた。
(これは助けるべきかな?ってゆーかあの女の子えらい堂々としてるな。ちっちゃいけど。)
と思っていたら秀司が
「ここは俺っちに任せてくれぃ。」
とか言ってきた。
「おいおい大丈夫か?無理しないほうが良いぞ。」
「そーだね。秀司はあんまり強くないから無理しないほうが良いよ。」
「し、紫苑ちゃんはストレートに言うね(汗)でも俺は{能力者}だから大丈夫♪」
そう、この世界には能力なんてものがある。
けれどみんなが能力を持ってるわけでもなく、だいたい100人か150人に一人しか持っていない。
そして能力者にもランクがあり、AからFまでの六段階まである。
ちなみに秀司の能力は速度変化{スピードアップ}で、ランクはDである。
「まぁ、そんなに強くは見えないしな。あいつら」
「すぐに終わらせるから、手ぇだすなよ。」
とか話していたら向こうもこちらに気ずいたらしく
「なんだぁ!見せもんじゃねーぞ!」
「どっか消えろ、ガキ共!」
「おいっ!あの子可愛くね!?」
などと言いながら、こちらに近づいてきた。こんどは紫苑にナンパする気らしい。
「ねぇねぇ、そこのそこの左右に髪を結んでる女の子、俺たちと遊ぼうぜ」
「そうだよ。そんな女みたいな野郎といるよりは、楽しいよー。」
ブチッ!!と俺の何かが切れた。
「「あっ!」」
「なぁ秀司、あいつらは俺が狩って良いか?良いよな!?」
「お、おう。(あーあ。あいつら禁句言っちゃったよ。)」
「わ、私たちは先に学校行ってるね。(ここにいたら、巻き添えが来そう)」
「おう。すぐに終わりそうにないからな。」
と言って二人は言ってしまった。まぁそんなことよりあいつらどうやって狩ろう?
「おいおい俺たちの邪魔すんなよ。ガキはどっか行け」
と相手の一人が手をパタパタさせながら「しっし!」と言ってきた。
「うっせーよ。この時代遅れのナンパ野郎共。気持ち悪い顔しやがって。その鼻のピアスは牛の証ですか~。」
「なんだと!このガキ図に乗りやがって!」
と鼻にピアスをしてる男が突っ込んできた。そして殴りかかってきた。
「図に乗ってんのは、テメーらだろーがぁ!」
俺は男のパンチに合わせてカウンターを顔に当てた。
男はそのまま1,2mくらい飛んでった。
「テメー、ぶっ殺してやる!」
今度はサバイバルナイフを持って違う男が走ってきた。
そして俺に向かってナイフを振ってきた。
だが俺はナイフを振ってきた手をよけずに振ってきた腕をつかんだ。
「こんなもん降ってきても当たるかよ!」
そして腕を思い切り握りナイフを落とさせた。
「イテテテテッ!」
「だーれーが、男女だー!!」
男にボディーブローをした後に、顔に回し蹴りをお見舞いした。
男は壁に顔を打ちつけ、その場に倒れた。
「残りはあんただけだぜ。逃がしゃしないから覚悟しろよ。」
と俺は言い男に近づいた。
「俺をこいつらと一緒にするなよガキ。」
と男がが言うと手のひらに、限りなく透明な玉が出来上がった。
「へーあんた能力者か。」
「これは空気球{エアーボール}って言う能力だ。どうだビビたか。」
「はっ!その程度でビビるかよ。あんたどーせランクFかEだろ?」
「くっ!そこまで言うならこれ喰らってから言うんだな!」
(図星かよ。)
男は手に作った玉を投げてきた。
(避けるのめんどくせーな)
そう思ったので俺は空気の玉を手のひらを合わせて叩き潰した。
パンッ!!っとなって空気の玉は消えた。
「俺の空気球{エアーボール}が!」
「こんなの喰らうかよ!今度はこっちからいくぜ」
俺は男の近くまで近づいて、アッパーの構えに入った。
「このロリコン野郎が!!」
「ひい!」
そして拳を思い切り振り上げた。
男は宙に浮き、思い切り背中から地面に落ちた。
■□■□■
あの後、俺はまだ気がすまなかったので二度と言わないように脅した。
男たちは、脅したらすごい速さで逃げ出してしまった。
「弱かったなぁ、あいつら。もう少し出来ると思ったのになぁ。」
俺はふと女の子がいたのを思い出した。
(そういやあの子はもう逃げたかな?)
と思ったが女の子はまだここにいた。
しかもなんかすごい殺気を出していた。
それが自分に向けられていた。
(なんで助けたのにこんな殺気向けられるの!?普通はここお礼とか言う場面だよね?)
なんて考えていたら、フードの中から唯一見える口が動きだした。
「ねえ、君。」
「あ、はい。」
「なに人の獲物横取りしてるのかな?」
「はい?」
(横取りって俺助けただけなんだけど・・・まあ理由は女男って言われたからだけど。)
「それにあたしのこと馬鹿にして・・・」
「へ?ば、馬鹿になんていつしたんですか?俺。」
「さっきあんたはあたしのこと子供って言ったでしょーが!」
「いや、言ってねーよ!」
(なんだこの女の子!?被害妄想激しいだろ!)
「さっきあいつらにロリコンって言ったじゃない!ロリコンって小さい子好きな奴らのことでしょ!つまりあんたはわたしを子供扱いした!!」
「なんだそりゃ!結局俺は小さいなんて言ってねーじゃん。」
「ふざけんなー!人の獲物とって小さい呼ばわりした挙句、しらばっくれるな!」
(えー!?事実ですけど!)
とか思っていたら女の子は堪忍袋が切れたらしく
「もー怒った」
(すでに怒ってるけどな・・・)
「後輩の癖に生意気言って・・・燃やしてその根性叩きなおしてやる!!」
(この子が先輩?)
よく服を見るとなんと風雲高校の制服をきてた。
余談だが風雲高校の制服は、白いブレザーに黒のズボンで学年ごとにネクタイやリボンの色が違う。
今年は一年生が青、二年生が赤、三年生が黄色なのだ。
そしてあの女の子のリボンは赤、つまり二年生というわけだ。
(こんなちっちゃい子が先輩!ってゆーか燃やすって!?)
そう思った時、女の子の周りから火があがった。
「見ての通りあたしは能力者。ちなみに能力の名前は炎{フレア}。その名の通り火を扱うの。」
「まてまt・・じゃなかった。待ってください先輩!タメ語や獲物を横取りしたの謝りますから!」
「イヤだね♪とりあえず怒りをぶつけなきゃ気が済まないし。なにより子ども扱いが許せない!」
(えー!?ほとんど八つ当たりじゃん!)
「まぁとりあえず・・・燃えろー!」
と言い、火の玉を放ってきた。
こちらも半ばヤケクソ気味になり
「あーもー!いいぜやってやろうじゃねーか!!」
と言い先輩との喧嘩が始まってしまった。