プロローグ
そこはまさにこの世の地獄だった。
建物は崩れ落ち、その周りには夥しい数の死体だった。
地面は死体から流れる血で赤く染まり、銃声や叫び声が絶え間なく聞こえてくる。
そんな地獄の中に小さな少年が、建物の陰にうずくまっていた。
小さな少年は泣きながら、
「お父さん、お母さんどこぉ」
と呟いていた。
しかしその声は誰にも届くことなく、銃声や叫び声にかき消された。
小さな少年は寂しくなってしまい、大声で泣き始めた。
すると足音がこちらに向かって聞こえてきた。
小さな少年は泣くのを止め少し笑顔になった。
だがすぐに恐怖で顔が引き攣ってしまう。
小さな少年の前に現れたのは父親でもなく、母親でもなかった。
現れたのは重装備の男だった。
「こんな小さな子供まで殺さないといけないなんてな・・・でもこれも命令だからな。悪く思わないでくれ。」
と言い銃を小さな少年に突きつけてきた。
「イヤだ。やめてよ。助けてよ、お父さん、お母さん!」
と小さな少年は叫んだが、男はわずかに眉間にしわがよるが
「せめて安らかに逝ってくれ。」
と言いトリガーを引き始めた。
その瞬間、小さな少年は叫んだ。
「イヤァァァァァァァァァッッッ!!」