偽聖女のなりかわり
よろしくお願いします!(´∀`*)
「恨んでいるからよ!きまっているじゃない!」
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世界に瘴気があふれ、その王国は異世界より聖女を召喚した。
あらわれたのは女二人。
若く美しい少女とみすぼらしい年嵩の女だった。
立ち会いの王子は少女を聖女と断定。
年嵩の女を巻き込まれて召喚された邪魔者とし、国境の森へと追放した。
追放された女は命からがら森をうろつくうち、自らの魔法の才に気づき、危機に陥っていた隣国の王子を助ける。
隣国の都に同行した女は、その力で瘴気を消し、人々の病を治し地を富ませた。
一方、王国の少女は華やかな都で貴人たちに傅かれ、聖女として豪奢に過ごす。
しかしその力が発揮されることはなく、瘴気はあふれ、地は枯れ人々は倒れ、魔物が溢れた。
ついに王国は少女を偽聖女と認め、追放した女が隣国で聖女と呼ばれ力を発揮していることを知り、返還を要請したのだったーーーー…
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「王国へ帰る気はありません。
ですが、瘴気は祓いましょう。国民に罪はありませんもの…」
「まったく、君は優しすぎる…(ファサ(髪をかきあげる音)」
というような次第で王国へやって来た隣国王子と追放された女ことユリ。二人は王宮にて、追い出し王子と対峙していた。
「しかし!その女は我が国で召喚した!我が国のものだ!!」
「彼女をモノ扱いするのはやめてもらおうか(ファサ」
「私を不要と仰ったのはそちらではありませんか」
「ぐぬぬっ…!か、かわりに我が国の聖女をやろうではないか!!交換だ交換!!」
王子がのたまうと、控えていた騎士たちがふんじばられた偽聖女ことアリサを連れて来た。
「はなせ!はなしなさいよ!!」
いまや偽聖女となったアリサは豪奢なドレスも薄汚れ、すっかりぼろぼろ。
反してユリは、召喚時こそ日々のブラック勤務でやつれきった姿だったが、今ではうるつやピカピカだった。
そんなユリの肩をそっと隣国王子がひきよせ、アリサを見下ろした。
「なんとみっともないことだ。
聖女と偽りながら何の力もなく、見目麗しい男を侍らせ献上品を強請り国庫を空にしてまだ足りぬか。飢えた民草をどう思う。万人は平等だと下々にまで手を尽くす聖女ユリと大違いだな(ファサ」
「やかましいわよ!!あたしが贅沢して何が悪いってのよ!!ばーかばーか!」
叫ぶアリサの頭を王子が押さえる。
「ほ、ほら!こんな女なんです!ユリ様の追放もこいつが言い出したことで!きっと魔女です!悪しき女に騙されたのです!」
ユリは思わしげに眉を顰めた。
「追放もアリサさんが…?そうね、とめてくれなかった…。
アリサさん、どうしてなの?」
アリサはぎっと一同をねめつけた。
「そんなの……
恨んでいるからよ!!きまっているじゃない!」
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「勝手に人を攫って聖女だ助けろ二度と元の世界へは帰れないって!!!
ふざけんじゃないわよ滅べばいいのよこんな国!!
ああほんと上から下まで馬鹿ばっかでやりやすかったわ!!さすが困れば拉致のくそ国家よねお追従しか脳のない馬鹿ばっか!!!ちょっとつつけば人間関係もぐちゃぐちゃよ!!
そこの女を何で追放したか!?
あんたが聖女とわかってたからよ!!
だって自分に何の力もないことくらいすぐにわかった。ならこの国の為に働かせないようにするでしょう!!
死んでくれるとまでは思わなかったわ聖女だし。
それでもせめてこの国が滅ぶまでの時間が欲しかったのに!
なにやってくれてんのよクソ女!!!」
「なっ…!!(ファササッ」
「まあ…!!」
「も、ものを考えられたのか…!!」
驚く一同。
「しかし!民草に罪はなかろう!今もこの国の民は瘴気に侵され苦しんでいるのだぞ!(ファサ」
「あるわよ!!罪が!!!
聖女がいなけりゃ死んでるってんなら拉致の恩恵受けまくりじゃない!!
なんならあんたもよ隣国王子!!
この国にしか召喚術がないってんで過去には金払って聖女レンタルしてたんでしょうが!!国力逆転できるー♩て浮かれてんじゃないわよ!!
捨てられてたの拾っただけだから罪がない!?
政治決定に関与してないから罪がない!?
あるのよ!!この世界の人間ぜんぶ!!!
この世界のすべてに罪が!!!」
アリサの怒号に広間は静まり返った。
隣国王子の手がユリの肩から浮く。
立場は同じだ。
では想いはーーー…?
ユリが踏み出す。
「私が…はじめからあなたに協力するとは思わなかったの?
私だって攫われたのよ。それなのに…」
「子供やなんかに同情していいように使われるだろうと思ったのよ。案の定イケメンに絆されて聖女様やってるし」
アリサが深く息をつく。
「世界を滅ぼせるなんて思ってないわ。
でもできる限り、仕返しがしたかった。
少しでも多く爪痕を。
それってそんなに悪いこと?
私から全部奪ったのに。
お母さんに会いたい、お父さんに会いたい、家に帰ってあったかいご飯が食べたい、部活の県大会がもうすぐだったの。好きなひとがいたの。友達がいたの。部活のあと好きな人の話とかして、話し込んで遅くなるとお母さんすごく怒るの。はやくかえんなさいって。いつもあったかいご飯つくって。いつも心配しすぎてうっとーしーなって。きっといますごく怒ってる。すごく怒ってるよ。怒られたって、あたし、あたし、帰りたい。
帰りたいよおーーー」
子供のように(子供なのだ)泣き出したアリサを、ユリが抱きしめた。
「アリサちゃんっ……!帰りたい…帰りたいよね…!!」
「帰りたいよ…ぐすんぐすん…でなけりゃてめえらみんな死ね……」
王子たちはこの少女が何の力もなくてよかったーと思った(反省していない)
ユリはアリサの頬をそっとなで、
「大丈夫よ、アリサちゃん。」
「なにがっ…!!」
「聖女の力ってすごくてね、全ての魔法が使えるの」
「えっ…」
「つまりーーーー
帰還魔法も」
「「なっ……!!!?」」
「か、帰れるってこと!?」
「そうよ!!」
アリサは再び号泣し、ユリに抱きついた。
「帰して!!帰してください!!!お願いします!!追放してごめんなさい!!!なんでもするから帰して!!!!」
「ま、まてユリ!!まさか君まで…!?」
隣国王子は肝が冷えた。
まさかユリまで帰ってしまうのでは!?そのためアリサの元へ来たのでは!?
「いいえ私は帰らないわ。
だって…拉致とはいえ、どうしても必要で呼んだのでしょう?この世界のひとたちも、きっとどうしようもなかったのよ…。
私もね、徐々に使える魔法が増えたから、初めは帰れるってわからなかった。
どうしてこんなことにって思ったけど、ここで生きていくしかないなって思ったの。
お人よしっていうけど、ここで生きていくしかないなら、恨むよりも、少しでも暮らしをよくしたほうがいいじゃない?だから人を助けて、人に助けられて……見放せなく、なっちゃった」
「……やっぱり、お人よしだわ」
「まあ家族もいないしブラック企業で死にかけてたしね…」
「そうなんだ……」
というような次第でアリサは元の世界へ返還され、隣国王子はユリはなんと心が広く清らかなのかとよりいっそう敬慕を深め、王国はさまざまな事物を隣国へとゆずり、かろうじて国体をたもった。
そして聖女ユリは、世界中のひとから、長く崇められたのだったーーーー……
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ユリは知っている。
真の聖女はアリサである。
ユリはありとあらゆる魔法を使えるが、瘴気を祓うことはできなかったのだ。
ユリが行っていたのは、転移である。
瘴気を消すのではなく、転移させていたのだ。
転移先は王国だった。追放されてむかついていたので。
そうこうするうち隣国で聖女扱いされるようになったのはついてたが、王国が滅ぶ様子もないので何じゃいだった。
おそらく聖女というのは存在するだけで瘴気を浄化する。アリサはそれをしていた。無自覚に。
これは実際、かつての聖女の手記でのちに確認した。王国の伝承では、聖女を幸せにすることで浄化がなされると伝わっていたが、これは「いるだけでOK」と思われてはまずいと、聖女たちがごまかしたのであろう。監禁放置される。信用できる連中ではないのだ。
ユリが何かというと、おそらく護衛だ。
年若の聖女が召喚された時、そうしたものがオマケであらわれることがあったらしい。
巻き込まれていい迷惑といったところだが、ユリには幸いだった。
生活が苦しかったのだ。
元々両親が早逝し身寄りもなくなんとか入った会社はブラック企業、束の間の気休めに合間時間でソシャゲをし課金をしグッズをリボで買っていた。
返済は膨らみ胃は痛みやってられっかというとこで召喚されたのでマジラッキー。
追放された時こそ憤慨したがテンプレよろしく聖女聖女とちやほやされた。ぶっちゃけ魅了魔法を使っていた。最早対等な関係をもちたいとかないのだ。調子こいたやつらが聖女様に反抗しようとしてきたら煩わしいので。そしてこの世界のやつらは調子こきそうなので。もともと拉致だ。精神汚染したところで気が咎めないのも良い。
ちやほやされ大事にされ生活が安定している。
仕事はちゃんとやった。アリサ返還以降瘴気は宇宙へとばしている。やったぶんだけめっちゃ感謝される。自己肯定感爆上がり。元の世界と大違い。
最高であった。
ちなみに元の世界から漫画やなにかを転移させこっそり楽しんでもいる。自宅のグッズ部屋を見られるのもなーと、身辺整理にいっぺん戻ろうかとも思ったが、帰って来れなくなったら困るのでやめた。
ただかつての職場へちょいちょい瘴気を転移させているので会社のみんな死んでるといいなあと思っている。あそこのやつらはみんな敵だ。
そんなこんなで聖女の座はぜってーわたさねーマンだったユリなのだ。アリサが帰りたがってたのはうぃんうぃんである。いてもらっては困る。
ちゃんと帰してやった。三県くらい離れたとこへ。
追放されたんでね。国外じゃないから楽勝でしょ。警察いきゃいいんだから。へっ。
さてそういうわけで、聖女ユリはみなに尊敬され生涯を幸せに過ごし、世界は守られ、アリサも多分家に帰った。
めでたしめでたしーーー……
ーーーーまあ、ユリが召喚魔法に関する一切の事物を消し去り、聖女がいなくてもなんとかできるようなシステムを構築させないよう誘導したので(自分の価値がおちるからね)、次に何かあった時は大変かもしれないがーーーーー………
それもまあ、仕方のないことではあった!
♡完♡
ありがとうございました!(´∀`*)
追放聖女系で棚ぼたしてる隣国てなんか仕掛けてね?が元だったんですがこんななりましたね…とほほ!Σ(´∀`;)




