ターゲットBその2
翌日、私は放課後に内田の後をつけることにした。強面二人組は帰りは一緒ではないようだ。彼の帰路をたどっている間彼がなぜあのような状況になっているか想像してみた。彼はしかし抜けているのでなにもないところでこけて、強面二人組にぶつかってしまったところ脅され、ビビり舎弟のようなポジションになってしまったのであろう。それかぶつかってしまった後ビビらず立ち向かったもののあっけなくやられてしまい従うことしかできなかったのだろう。容易に想像できてしまう
想像している間に少し広めの公園に着いた子供達の黄色い声が飛び交う中、その場にそぐわない人が4人奥に見えた。その場に入り込む内田はその輪の中にいるのがとても似合わなかった。様子を見る限り揉め事ではなさそうだが昼休みの「親父狩り」の四字熟語が脳によぎる。我慢できなかった私は公園を囲む垣根にそって彼らの会話に耳を傾ける
強面A 「いや〜絡んでみて正解だったな。こんなやつがこんなこと言い出してきたからびびったよ」
強面B「だなだけど喧嘩に勝てばがっぽりだし退屈じゃなくなるな」
そばかす小物野郎「人集めるのは任せてくださいよ
〜他校の奴らにもこの企画のるか聞いてみます」
内田「いや〜我ながら悪いこと考えてしまったな〜先輩にこの企画持ち込んでみて正解でしたよ」
ターゲットBまたの名を「とんだ馬鹿野郎内田」は親父狩りの企画提案者だった。
強面A「人数が集まり次第お前にも1割ぐらいは出してやるから集めてこいよー」
強面B「じゃなきゃしけた金額しか集められねぇからな
人集まらなかったら、卒業まで毎月お前から金取るから覚えとけよ〜」
楽しそうな横顔の強面二人組とそばかすが内田を置いて公園を後にした。そして内田は魂が抜けたようにベンチにぐったりと座り込んでしまった。流石に彼が親父狩りの提案者と知ったときは、空いた口が閉じないどころか増えるところだった。すると
内田「やべぇよもう、つまずいて転んだら、前にいた強面二人組を突き飛ばしちゃって、その後裏庭でボコボコにされそうになったから、咄嗟に親父狩りしますって言っちゃって、もうやる流れになっちゃってるよ。どうしよう」めっちゃバカだこいつ。ってゆうか私の予想通りのトラブルの巻き込まれ方してるし、まずなんで咄嗟に出たのが親父狩りなんだよ。
内田「やべぇよもう、つまずいて転んだら、前にいた強面二人組を突き飛ばしちゃって、その後裏庭でボコボコにされそうになったから、咄嗟に親父狩りしますって言っちゃって、もうやる流れになっちゃってるよ。どうしよう」
2度同じことを言ったと同時に、瞬きをした瞬間、彼と、ターゲットBと目があった。天然で少し抜けているように見えた彼からは、違う人が乗り移ったかのように、私には見えた。だんだんその眼差しは、サスペンスやホラー映画などにでてくるような血走った目になっていった。ビビり散らかしていた私は、ただその目から背けずにただ、今にも殺してくるようなその目と合わせることしかできなかった。
しかし彼は顔をこちらに向けたまま目を閉じて、こちらに聞こえるように
内田「まぁいいや、邪魔だけはしないでねぇ、誰かわかんねぇけど。おそらくノーリスクで俺だけ金が手に入る中々いい作戦なんだから。」
内田がこちらにくるかもしれないと思い私はカバンで顔を隠し、その場から逃げた。