手違い
「ごめんねー。ちょっとこっちの手違いで君死んじゃったみたいなんだよねー」
はぁ? いや、ちょっと待てよ。死んだってどういうことだよ? えっ? 誰が? 私が? というか、お前誰だよ。マジで。それにここもどこだよ?
「いや、まぁ、流石にこのまま死んだら、嫌でしょ? だから、別の世界に転生するのはどう?」
「いやいやいや、ちょっと待って。頭が追いつかないんだけど」
と、私が言うと、「あっ、そうか」みたいな顔をする。
「あー、ごめん。説明足りなかったよね。えっと、まず初めに我はアテムっていう神だよ。で、君は死んで、今ここにいるわけ。だけど、本当は死ぬ予定じゃなかったんだけどね」
「死ぬ予定じゃなかったって?」
「そう。ちょっと我の手違いで、死んじゃったんだよね」
「はぁ?! どうやったら、手違いで人殺せんだよ?! っというか、なんでそんなラフなわけ?! それに神ってもっとこうお爺ちゃんっぽい見た目を想像してたんだけど?!」
思わず、早口で喋ってしまった。いや、でも仕方がないだろう。手違いで殺されて黙っているほど私はお人好しではない。
すると、目の前にいる、35歳くらいに見える神アテムがタブレットに似ているものを出してくる。
「ほら、ちょっと見てよ。本当はこの人が死ぬよてだったんだけど、間違えて下にあった君をおしちゃって」
アテムに見せられた画面にはずらっと人の名前が並んでいてそこに私の名前もある。つまりこの神はうっかり違う人の名前をタップしてしまったわけだ。
「いや、おしちゃって、じゃ、ねーわ! ってか、神なのに間違えるかよ。普通。あー、もう! もっとやりたい事沢山あったのに!」
「いや、神だって万能じゃないし。それに我最近神になったばかりの新神だし」
神に最近なったとか、あんのかよ。
「で、それでさ、本題なんだけど、君転生する? 本来は記憶を消して転生する形になるんだけど、今回は特別に記憶を持ってまま、転生できるんだけど、どうする?」
転生かー。最近、転生ものの漫画とか流行ってるんだよなー。あっ、もしかしたら乙女ゲームに転生できちゃったりして。
「ねえ、乙女ゲームに転生できたりする?」
「うん。別にできないことはないけど」
マジか! 今世では彼氏無し歴イコール年齢だったけど、乙女ゲームに転生すれば、ついに彼氏ができる!
「じゃあ、love dram schoolっていう乙女ゲームに転生させて! あと、キャラクター選べる?」
「うん。できるよ」
「やった! じゃあ、ヒロインに転生させて!よろしく!」
「わかった。じゃあ楽しんでね」
アテムにそう言われると、突然意識が遠のいてきた。
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