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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔法主体のゲーム世界で魔力0

続×4・魔法主体のゲーム世界で魔力0 〜時間制限付きイベント〜

作者: 大貞ハル

「魔法主体のゲーム世界で魔力0 〜拳ひとつで生きていきます〜」のシリーズと言うか番外編というか、です。一応、どれを読んでも良い様に書いているつもりですが、全部読んでも意味不明かも知れません(


ゲームの世界っていう設定なのでこう言うサブタイですけど、本文にはそう言う要素はないです…

王都から程遠い森に名も無い1人の少女が居た。


水色の髪に蒼い瞳。この辺りではあまり見られないほど美しい娘だった。


「いっそ、何も知らずに今日まで生きて、その日ただ死ぬのなら良かったのに…」


彼女はこの集落に伝わる儀式のために生かされていた。


『良いか、お前は15になったら神のみもとに行くのじゃ』


彼女にそう伝える老人は顔を隠し、普段は彼女の元を訪れない。

おそらく、恨まれたりするのが嫌なのだろう。


彼女の世話をする者たちも、袴の様な体型を隠す衣装を身に付け顔を隠していた。

普段、そのような格好をしている者はいない。


そこまでするくせに、彼女の住む場所は集落の中にある座敷牢の様な部屋だった。

他の者たちの話し声が聞こえてくるし、生活が垣間見える。

中には彼女を気遣って話しかけてくる者も居た。


『良いのか? このままだとお前は化け物の生贄にされて死ぬんだぞ?』


 なぜ、態々そんな事を教える?

 知らなければ恐れることも悲しむこともなく、ただ生きて死んだのに…


彼らは何かあれば、まるで彼女自身が神か何かの様に祭り上げた。




とうとう、その日がやってきた。


シンプルなデザインだが、普段着ているものよりはちょっと綺麗なドレスを着せられ、貝殻や宝石と言うほどではないが綺麗な石をちりばめたアクセサリーを付け、花の冠を頭に乗せられて、地下へと向かう。


裸足ですり減ってスベスベした石の階段を降りる。


あの老人を先頭に、体格の良い男たちが囲む様に歩いている。

皆やはり顔は隠したままだ。


 そんな事をしなくても恨んだりしないし、逃げたり出来ないのに…




地の底まで続く様な階段を降りていくと広い空間が見える壁面へと出た。

地下に巨大な空洞が出来ていた。

さらに遥か下に地底湖が見える。

天井にいくつか穴が開いて僅かだが日が差し込んでいるのだ。

一番高いところは地上すれすれまであるのだろう。


空洞の壁面に彫られた階段をさらに降りる。


そうしていると、大きな岩が地底湖に向けて突き出しているのが見えた。

その先端に儀式をする様な飾りがしてあるから、おそらくそこが目的地であろう。




「なんだ貴様は」


一行が大岩にたどり着くと、そこには先客がいた。小柄で華奢な赤毛の女の子だ。薄暗い地底湖だからすぐに分かった事だが、琥珀色の瞳がうっすらと発光している。


「おい!」


先頭の老人が振り向くと、そこには少女と黒髪の女性しか居なかった。

いや、ほかの男たちは地面に転がっている。


「ひっ」


老人は転びそうになりながら走って逃げた。既に目的は半分達成しているのだからもう用は無いのだろう。




「時間が無いから、単刀直入に聞くわね。君はどうしたい?」


赤毛の少女が問いかける。厚手の生地の長袖のワンピースだが、膝までしか無い裾がゆらゆらと揺れ始めた。


「私は生贄なのです…」

「そんな事は聞いていないよね?」


少女の言葉を遮った。

小さな可愛らしい少女の姿をしたそれはあまりにも威圧感が凄かった。

隠していた気持ちが溢れてくる。


「し、死にたく無いです。もっと、普通の女の子みたいに生きていたいっ!!」


少女が叫ぶと同時に地底湖から巨大なドラゴンが現れた。

水色の、首の周りや背中に魚のヒレの様なものが生え、ナマズの様な髭のあるドラゴンだった。


「分かったわ。貴方がそう願うなら力を貸しましょう」


赤毛の少女はドラゴンに向き直った。


ドラゴンは直接噛みつこうと目にも留まらぬ速さで首を伸ばしたが、少女に届く前に横に逸れた。

赤毛の少女の足元の岩に亀裂が入り、礫が舞い上がる。

横を抜ける様に軌道を逸らされたドラゴンの巨大な頭、その顎に向けて蹴りを繰り出した。

ドラコンの頭が吹き飛ばされる様に遠ざかって行き、本体があるであろう辺りは巨大な渦が出来た。


遅れて水滴と呼ぶには大きすぎる水の塊が大量に飛び回り、大きな水しぶきが上がった。

瞬き一つにも満たない時間だった気もするし、永遠にも思えた。


この世界は魔法に依存した世界だった。あらゆる力は魔力によって導き出された。

だから、防御魔法や身体強化魔法は相手の魔力に反応して作用した。

だが、赤毛の少女ティナはほとんどのステータスを打撃力に変換するパッシブスキルのために魔力は0だった。


全ての魔法を素通りして、非常識なほど高まった打撃力を叩き込んだのだ。


「赤だったわ…」


少女の言葉はティナには届かなかった。


「ちょっとやり過ぎちゃったかしら?」


地底湖を覗き込んでいる。

ドラゴンは沈んだまま浮かんでこない。


「ドラゴンは死なない。肉体が滅んでもそのうち蘇る」


などと言っていたら、水面が輝きだし、光の粒子がティナたちが立っている岩が生えている根本の辺りにある祠へと吸い込まれていった。


「復活」


両手を上げて水色の髪を姫カットにした巫女が出てきた。

どうやら、復活用の魔具を予め用意していた様だ。


「なんで人型なの」

「いや、なんとなく」

「続き、やる?」

「悪く無いけど、もう呪いから解放されたから神様ごっこはお仕舞いだよ?」


悪びれもせずに答える元ドラゴン。


「呪い? 生贄とかさせてたのはあんたの意思じゃ無いって事?」

「正解。肉体にかけられていた物らしくて、もう綺麗さっぱり抜けちゃったけど」

「そうなんだ」

「うん。だからこの狭くて暗い洞窟ともおさらばして海に帰るよ」

「海って結構遠いよね?」

「うん」

「じゃあ、この子も連れていってあげてよ」


ティナは少女を元ドラゴンの方に押し出した。


「え?」

「だって、自分を生贄にした人たちのところに戻るのはいやでしょ? 下手すると殺されちゃうし」

「あ、そうですね…。あの、ありがとうございました」


少女はティナの言葉に納得すると、改めて頭を下げた。


「何が?」

「助けてくれましたし…」


「ちがうでしょ。もっと早く、それこそ貴方が生まれる前に来てたら、苦しまずに済んだんだよ?」


物凄い威圧感に尻込みしたが、少女は頭を振って振り払う。


「何言ってるんですか。見た感じ私が生まれる前って貴方も生まれて無いですよね」

「一応、少し先輩だけどね。君は強いね。恨む相手が必要かと思ったんだけど、大丈夫そうだ」

「なぜ怨まれ役なんて買って出てるんですか」

「んー、なんとなく?」

「そう言うの、良く無いと思います」

「ごめん」




「それじゃ、次は海だね」


黒髪の女性、シェスティンは冒険の旅に憧れた元ドラゴンの美女だ。

2人と言うか1頭と1人と言うか、姉妹の様な彼女たちを海辺の町まで送った。


「それじゃ、またね」

「…はい。また」


電話もないこの世界でこれからどうするかも決めていない上に一緒にいるのが人外の少女と、当てもなく冒険の旅をしている人たちが再会する事はないだろう。なんとなくそう思いつつも再び会う事を誓い合うのだった。





連載にした方が良かったのでは感出てきたので、もうちょっとシリーズなだけで一つの作品じゃない感じに持って行きたい

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