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僕と彼女の星旅行  作者: おっとー
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意味不明な女

僕の将来の夢と書きたいものを混ぜたものなのでハチャメチャな部分があると思いますが少しでも楽しんでもらえたらと思います。

誰もが思い描いたであろう将来の夢。

男子ならサッカー選手、パイロット、医者など。

女子ならパティシエ、保育士、獣医などなど。


もちろん、僕も小学生の時は「宇宙飛行士になりたい」とか中学生の時には「学校の先生になりたい」とか高校生になったら「起業しても面白いかもしれない」などと将来のことをふんわりと考えていた。


だが、宇宙飛行士になるにしろ、学校の先生になるにしろ、起業して成功を収めるにしろ、結局は勉強ができなければなれるものではない。


そうして、高校3年生の大学の進学先を確定しなければならないシーズンになってしまい、こんなふわふわな考えだからどの程度頑張ればいいのか分からないし、テレビや周りの大学生はアホに見えるから「まぁ関東の有名大学には受かるんじゃないの」と高をくくっていた。結局、問題の傾向など全く対策せずに受けたため大学は全落ち。一番最初の滑り止めの推薦試験はむしろ潤滑油の働きをしたんじゃないかというほど受験に失敗。


今まで失敗とは無縁であった。というわけではないが受けた大学すべてから届く不合格通知に今までの勉強が無駄だったと、思わずにはいられなかった。頭の中には「高卒で就職。それとももう一年勉強する。もしかしたらまた…。」のループ。目の前が真っ暗になるとはまさにこういう感じなのかもしれない。などと自分にあきれ果てながらわらった。


そして、そんな風にこれからどうしようかなんて考えて気づいたら4か月が経っていた。ふと、窓の外を見上げると「今日は新月なんだな。それにやぎ座流星群ってこのシーズンじゃなかったっけ。」などと本当にどうでもいいことが頭をよぎり何も考えず引き出しから小学生のころに愛用していた天体望遠鏡のレンズをささっと拭いてちょっと大きめのリュックサックに望遠鏡とブルーシートと三脚を雑に突っ込んで、棚から携帯、財布、自転車のカギをポケットに突っ込み、家の階段をダダダダっと駆け下り親がキッチンから何か言っているが何も理解できてない。できないので無視。高校生の時使っていたトレッキングシューズを履いて自転車のカギを開けて全力で漕いだ。何故か空がきれいに見える。小学生の時のほうが夜空に夢中だったのに今のほうが星が爛爛と輝いて見える。信号が赤だが車なんて深夜に走ってないし飲食店やスーパーも閉まっており人の気配なんて感じない。この世の中すべてを独り占め出来たかのような気分。


しばらく漕いで山の麓についた。この山を登ると今は使われていない平屋の研究所のような建物が建っている。ここが昔からの観測スポットだった。まるで明日にでも世界が終わるのではないかというほどに全力で駆け、漕ぎ、登った。ここに来るまでに目に入ったものなんて空、空、たまに道。


研究所(仮)にぜぇぜぇと息を切らしながら入り小学生の時に隠した脚立を取り、壁に立てかけて、屋根に上り、砂利や石などを適当に足で払い、ブルーシートを敷き、三脚を立てて、天体望遠鏡を設置。赤いクリアシートでぐるぐる巻きにしたスマホを使って天体状況を見る。運よく土星が通っているようなので方角、地上からの角度を揃え、ピントを合わせる。そこで一息。下山して自動販売機でコーヒーを買って登ってブルーシートに寝転がる。


小学生のころに覚えたあれがアルタイル、デネブ、ベガ。はくちょう座のくちばし部分はアルビレオ。夏の方が天の川が明るいのは夏は夜の日本が銀河系の中心部分を向いているから結果目に入る星の数が増えて明るくなるんだよね。とか独り言をだらだらとこぼして目を閉じた。




宇宙は良い。人が観測できている星の数はほんの一握り。ましてや人が降り立つことができた星なんて一つまみどころか月の一つだけだ。何十億年も前に何もない空間に突如起きた爆発”ビッグバン”。そこから瞬く間に膨らんでいき、原子ができ分子ができ…。何百年、何千年と天文学のエキスパートは生涯を賭けて研究に打ち込み未だに分かっていることがほんの少しという未知の空間。今、宇宙は膨らんでいるのか、はたまたしぼんでいっているのか、ひょっとすると宇宙はもう閉じてしまって虚無に帰するのかもしれない。地上の上は空。空の外は宇宙。じゃあ宇宙の外は何なのか。そもそも宇宙の外側は本当に何もない空間なのか。銀河の集合体の形がヒトの脳細胞の形に似ているからこの宇宙は人の頭の中なのではないか。という面白SFのような説を唱える人もいる。なんて空想に耽るだけで日が明けそうになる。


「お兄さん何やってるの。こんなところで。」

「え。」


気が付かなかった。目を瞑ったまま生まれて初めて自分以外の人類にあったような反応をする。そもそも受験に落ちてから妹か両親くらいしか話していなかった僕がとっさにしっかりと答えられる訳もなく、

「えっ…何かなぁ。あはは。」

「もしかして空を見てたの。」

と聞かれ

「うん。」としか答えられない10年前のAIでももっと話すことができるであろう会話の中身のなさに自分でドン引きした。


しばらく会話が止まってしまい、気まずさから

「こんな時間にどうしたの。家出かな。僕みたいなやばい人が最近多いから止めた方がいいんじゃないかな。親も心配するかもしれないし。」

とかつまらない冗談を言いながら会話を切り出した。

「うーん、家出って言ったら家出なのかな。でも親はもういないよ。」

「えっ、ごめん。」

「いや、他界したとかじゃないの。なんて言ったっけ。確かってそんなことはどうでもいいのよ。お兄さん、宇宙に行けるとしたら行きたい?さらに星に降り立てるなら?」

「そりゃ、行けるなら行きたいけど、俺みたいな一般人が宇宙へ行くなんてそんな」

「じゃあ決まりね。2年後迎えに行くから準備してまってなさい。」

そういうとその少女は研究所(仮)に入っていったきり戻ってこなくなった。

まぁ、何かの冗談だろうし放っておこうと思った。



まさか彼女との出会いが僕のこれからを大きく動かすことを僕だけが予感していた。

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