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第二話

人里離れた森に彼らは住んでいた。

若い男が一人。

そして若い女が三人。


男には不思議な力が備わっていて、何もかもが常軌を逸していた。

その加護は男だけに留まらない。

女三人も勝るとも劣らない恩恵を受けていた。



「タケル。お昼ご飯が出来たけど?」

「ありがとうニコラ。いただくよ」



広々としたキッチンから柔らかな声が聞こえる。

男にニコラと呼ばれている女からだった。


彼女は顔立ちのはっきりした、笑顔の似合う美女だ。

濃紺色の長い髪を後ろに縛っており、透明感のある白い肌のうなじが際立つ。

背丈は男より若干低いながらも、女性にしては高い方だろう。

体のラインは極端な凹凸はないものの、程よい曲線が他を威圧しない。



「シエラはどこかしら。見かけてないけど」

「さっき外から声が聞こえたぞ。近くにいると思う」



噂をすれば何とやら。

パタパタと小走りする音が窓の向こうから届いた。

足音から察するに子供であろう。

そしてドアが勢い良く開け放たれる。



「ウキョキョキョキョッ! 飯だぁ、飯食わせろぉ!」

「あらシエラ。お帰りなさい」



現れたのは10歳くらいの少女だ。

名をシエラと言う。

彫刻のような端正な顔立ち。

太陽に照らされた麦畑を思い起こさせる、美しく輝く金髪。

体型は年相応。

右手には真っ赤に染まったナイフ。

口の端からはコオロギらしき虫の足が覗く。


この姿は特別酷いという事はなく、少女の日常である。

その為、迎えた2人は一切気にかけていない。



「あとはダイアか。どこに居んのかな」



その時、地響きが鳴る。

ーーズドォン、ズドォン。

時間は短いものの激しく地が揺れる。

そのせいで天井からはパラパラと埃が舞う。

それがしばらく続くと、唐突に止む。



「なんだダイア。居たのかよ。飯だぞ」

「ブモォオオ」



身の丈3メートル。

バストサイズ2メートルの大爆乳。

そのため歩く度に世界が揺れる。

まともな単語を発することが出来ないのも彼女の持ち味だ。



「さぁさぁ、ご飯ですよ。冷めないうちにどうぞ」

「いただきます」



野菜の具沢山のスープ。

空腹のためか皆が皿を抱えるようにして食事を摂りはじめた。

そして……。



「ゲフッ」

「オェエッ」

「ブモォオオ」



三人が一斉に血を吐いて倒れた。

その姿を少し頬を赤らめたニコラが、微笑みながら眺めている。



「あらあら。今度の毒は効いちゃったかしら。みんな仲良く死んじゃったかしらねぇ?」



言葉を発するなり、呼吸は次第に荒く激しくなっていく。

そして身を悶えさせ、官能的な長嘆息が吐かれた。

満足げに息を吐くと両手を広げ、まるで舞台女優のように優雅に踊り始めた。

観客は一人も居ない公演である。


それから彼らはどうなったか。

結論から言うと、全員が無事だった。

神の加護の力は伊達ではなくケロリとしたものである。

一人として死ななかったことに対し、ニコラは若干不満そうにしていたが。


これが世に言う、異世界チートハーレムである。

多様な三人の美女に囲まれたスローライフは、これより開幕するのだった。


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