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不幸な男
高校三年の夏、恋をした。
一流とは言えないが、比較的良い大学に進学し、彼女とも上手くやっていた。
就活の時期になり彼女の仕事に合わせ、サービス業に入社し、社会の厳しさ、もといブラック企業にやられてしまい半年で退職。
それでも次の仕事を得るため頑張ってはみたものの彼女に振られ、俺のやる気は削られていった。
付き合い始めて5年も終わるとなると一瞬だった。
なんでこんなことになったのか、振り返れば色々ある。それでも自分だけは別れないなんて思っていた。
なんで人間は何かが終わってから、大切なものも失ってからでしか気付けないのだろう。
失業と失恋が同時に襲ってくる中で、世界で一番不幸なのは俺なんじゃないかとまで思っていた。
まさかそれが本当になるとは思いもせずに。