表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

名も無き日常

作者: Runa@Haru

学舎の3階の窓際の席。


先生の話を聞いている人、居眠りしている人、ぼうっとしている人。


周りのみんなの様子を見渡してから、窓の外を見る。


空はどこまでも続く青い海のように、真っ青。


あの甘くて美味しそうな雲や、絹のような薄い雲すらない、綺麗な青が世界を染めている。


先生が難しい問題を解説しているのを聞き流しながら窓を開ける。


開けた途端、涼しい、だけど心地の良い風が私の身体に染み込んでくる。


気持ち良い、そんな気持ちを表すかのように、私の長い髪は横へ流れる。


まるでドラマに出てくる主人公みたい...


そんな考えが私の脳内に浮かび、くすっと笑ってしまう。


一度黒板へ目を向けると、先生が答えられなかった生徒にズラズラと理屈を並べて説明している。


私もやらないと、そう思いつつもまた窓の外に写る景色に見入ってしまう。


さっきまで聞こえてこなかった声がグラウンドの方から聞こえる。


見ると、ワイワイしながら一つのボールを追いかけて走っている人達がいる。


味方にパスを出している。


ボールを奪うために必死に走っている。


友達と笑いながら見ている。


ゴールをしっかり守っている。


味方に指示を出している。


それらを見ていて、あぁ青春だなぁと思う私。


何が可笑しいのか分からないけれど、やっぱり笑ってしまう。


そしてまた、空を見る。


この時間が、たまらなく好きだ。


ここから見える景色は、時間が経つ度に変わっていく。


まるで、青春時代を過ごしている私達のように。


楽しいと思う日もあれば、悲しいと思う日もある。


そしてそれは、この景色もそう。


私達と同じ時間を、同じように過ごしている。


まるで、生命が吹き込まれているかのように、大きなその地球は脈打っている。


なんだか不思議なこの気持ち、そしてまたいつものように思う。


「また明日も頑張ろう」


そう思いながら、この景色から目を離し、前を向いた。


窓を開けっぱなしにし、私の背中を押してくれる風に見送られながら。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ