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女の子(ペット)を飼います  作者: 恵/.
第四話 幼馴染と再会です
39/46

「ご主人様はこんなにも魅力的なのに、これを分かってもらえないなんて間違ってるよ。ここは是非、私が体を張って、露出調教でご主人様の素晴らしさを知らしめるしか―――」


  ◇



 ……昼食の時間になって。


「私、このままじゃ駄目だと思うの」

「そうだな。適当にアパートでも探してとっとと出てけ」

「そ、そっちじゃないから……」

 何かを決意するような絆の台詞に、呈は同意する振りをしつつ自身の願望をぶつけていた。……同居人に出て行けだなんて、いくらなんでも酷くないか?

「そうじゃなくて、呈君のことだよ」

「俺?」

 絆が口にしたのは、呈の名前。しかし彼は、何故そこで自分の名前が出たのか分かっていない様子だ。

「呈君、評判最悪だよ? このままじゃ駄目だよ、絶対」

「なんだ、そんなことか」

「そんなことって……!」

 自分の評価があまりに理不尽だというのに、呈はなんでもない風にそう呟く。そんな彼に、絆は思わず声を荒げてしまった。

「別に仲良くしたいわけでもないんだ。そんな奴らにどう思われてたって、関係ないだろ?」

「……っ! ち、契ちゃんはいいの!? 呈君が、みんなから嫌われてても」

「確かに、それは良くないかも」

 本人が全く意に介さないので、今度は契に話を振ってみた。すると彼女は、絆に同調するような反応を見せる。

「ご主人様はこんなにも魅力的なのに、これを分かってもらえないなんて間違ってるよ。ここは是非、私が体を張って、露出調教でご主人様の素晴らしさを知らしめるしか―――」

「それやったら、社会的に抹殺されるぞ。お互いに」

 なのだが、やはり契は頭の螺子がぶっ飛んでるらしい。途中から斜め上の発言が混じって、呈に突っ込まれていた。

「そうでなくても、ご主人様は交友関係が狭すぎます。鹿山さん以外に、校内にご友人はいらっしゃらないのですか?」

「……お前、最近反抗的だよな。一回〆るか?」

「あぁんっ! それでは寧ろご褒美ですぅ~!」

「え、えっと……」

 ペットにまでぼっち呼ばわりされて、さすがの呈も頭にきたようだ。とはいえ、契はドMだから、お仕置きしようとしても逆効果だろう。

「……大体、自然と出来たならともかく、無理して作った友達なんて何の意味もないだろ」

「そ、そうかもだけど……」

「そうは言いますけど、私だってご主人様の「ペット」なりたくて、ご主人様に服従していますし」

「……友人と「ペット」を同列に扱うなよ」

 なんか格好いいことを言って、契に論破されている呈。一応ちゃんと反論しているのだが、言い訳っぽさが拭えないな。

「ともかく。呈君がこのままなのは嫌なの、幼馴染として。それに、ちゃんと呈君の評判を良くしないと、私が「ペット」になったときにあらぬ噂を立てられるでしょ? 二股とか」

「ご主人様くらいになればハーレムを作ることも容易いでしょうけど、それには風評の改善が必須です」

「……ったく」

 二人の少女にそう言われて、呈は溜息を吐いた。……自分の人生は、常に女難に悩まされていたのだと思いながら。



  ◇



 ……放課後。


「さてと。今日はどうするか」

 益田家にて。呈は顎に手を当ててそんなことを呟いた。それは当然、契の調教についてだろう。

「昨日は肉体的に虐められたので、今日は精神的な苦痛が欲しいです」

「そうだな……とはいえ、バリエーションを揃えるのは大変だからな」

 精神責めは肉体責めに比べて慣れやすい。故に、同じ内容を繰り返すとすぐに慣れてしまい、効果が薄れる。だからこそ、毎回違うものを用意する必要があるのだ。

「トイレの汚水は飲ませたし、生ゴミも食わせたし、ガラス釘の音を無限ループで聞かせるのも前にやったしな……」

「なんてことしてるのっ!?」

 今までに行ってきた調教内容を思い出していると、絆が驚いたような声を上げる。……最初の二つ、下手すれば体調崩すぞ。最後のは地味だけど。

「これより軽いのは、思いつく限り全部やったんだよ。そしたら刺激が足りないだの、もっと人としての尊厳を失くすようなのがいいだの、文句を言いやがるからな」

「だからって―――」

「私としては、薄まった汚水よりも、排泄物を直接食したかったのですが」

「契ちゃんも何言ってるのっ!?」

 契の性癖が本格的におかしくなってきたな……。そろそろ規制されそうなので自重してください。絆も全力で阻止しようとしている。

「とにかくっ! そういう不潔なのは駄目っ!」

「駄目って言うがな。お前、自分からそうなろうとしてたんだぞ?」

「うっ……」

 少し前までの自分を思い返して、絆は言葉に詰まった。……そうだよな。呈の「ペット」になるってことは、そういうこともしないといけないわけだよな。

「まあ、俺としてはそのほうが好都合なんだが。お前の面倒見なくて済むし」

「そ、そういうこと言うんだ……」

「事実だからな。それとも、今から飲んでくるか? 汚水」

 そんなわけで、みんなで騒ぎすぎたせいで、本日の調教は流れてしまったのだった。



  ◇



 ……夜、契は。


「……ふぅ」

 自室にて。風呂上りの契は、ベッドでくつろいでいた。寝巻き姿でごろごろしている。

「……こ主人様と絆ちゃん、うまくいってるかな?」

 契が考えているのは、主と友人のこと。彼らが仲良く出来ているか、それだけが気懸かりだった。

「……やっぱり、ご主人様と絆ちゃんは、幸せになるべきだよ」

 呈と絆は互い、過去の傷に苦しめられている。呪縛から逃れられず、傷ついて、歩み寄ることすら出来ないでいるのだ。

「……だったら、私がなんとかしないと」

 そんな二人を助けるのは、自分の仕事。「ペット」であり、友人である自分の役目。契はそう思っていた。

「とりあえず、作戦を考えないと」

 そこまで分かれば、後は行動あるのみ。と言いたいところだが、勢いに任せて何とかなる問題でもあるまい。まずは外堀から、確実に埋めていくことにした。

「やっぱり、人手は多いほうがいいよね。それに、ご主人様自身のこともどうにかしないと」

 呈と絆を仲直りさせるだけではなく、呈の評判も回復する必要がある。やることが多いのだから、仲間がいると心強い。

「とりあえず、結と鹿山さんは引き込まないと。鹿山さんなら放っておけないだろうし、結もなんだかんだでご主人様のことが大好きだし」

 本人が聞いていたら全力で抗議しそうなことを呟きながら、契は人選を完了させていく。まあ、あの二人に頼むのが妥当だろうけど。

「……ふぅ。ともかく、その辺は明日にでも話すとして。今日はもう寝よっと」

 一通りのことを決めてから、契は布団の中に入った。

「……ご主人様と絆ちゃん、うまくいって欲しいな」

 主と友人のことを思いながら、眠りに就く契であった。

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