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魂章 KONSHO  作者: しそれ
9/11

ミッション

「……やば、もう朝のチャイム鳴りそうじゃね?」


とじけんが時計をちらりと見て叫ぶ。時間的にかなりギリギリだった。


「まずい!月曜から遅刻は勘弁だわ!」


「俺も戻る」


俺たちは入部届をカバンに押し込み、保佐先輩に「放課後また来ます!」とだけ言い残して、廊下を駆け出した。


教室に滑り込むと、ちょうどチャイムが鳴ったところだった。


「セーフ……」


とじけんが机に突っ伏し、俺は肩で息をしながら席に座る。


授業は淡々と進み、特に変わり映えのしない時間が過ぎていった。けれど俺の頭の片隅では、ずっと「新聞部」の三文字が残っていた。


──放課後。


最後のチャイムが鳴ると同時に、とじけんが振り返る。


「部活、行こうぜ! なんかワクワクしてきた!」


「……うん」


俺たちは連れ立って新聞部の部室へと向かう。すでに先輩がいて、ノートPCを開きながら何やら打ち込んでいた。


「おかえり、ふたりとも」


にこりと笑って、先輩は言った。


「じゃあ今日は、さっそく“体験”ってことで……ちょっとしたミッションをお願いしていい?」


「ミッション?」


とじけんが身を乗り出すと、カオリ先輩は頷いた。


「この校舎の裏庭に、小さな花壇があるんだけど。そこ、誰が世話してるか知ってる?」


「え、誰かいたっけ?」


「いるのよ。こっそり手入れしてる先輩が一人」


先輩はにやりと笑う。


「その人に、こっそり取材してきてほしいの。“なぜ世話をしてるのか”、“どうしてこっそりなのか”。それを今日の記事の練習にしてみよう」


「マジで記者じゃん!」


「うん、新聞部だからね」


とじけんがやる気満々の顔をしてこちらを振り返る。


「なあ夢宮、行こうぜ!俺、インタビューしてみたい!」


「……わかった。でも、“こっそり”ってのが気になるな」


「バレないように聞き出すのも記者の腕の見せどころ!」


とじけんが拳を握る。俺は小さく息を吐き、頷いた。


「じゃあ行ってくるよ、先輩」


「うん。終わったら戻ってきて。ふたりの記事、読むの楽しみにしてるから」


そうして俺たちは花壇へと向かった。

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